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パパ、お金と愛ってどっちが大事なの?
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「パパ、お金と愛ってどっちが大事なの?」
またまた僕の膝でゲームをしながら、美智果がそんなことを訊いてきた。これもまたそろそろそういうことに疑問を持ち始める年頃だってことなのかな。なら、僕も人生の先輩としてそれに応えてあげなくちゃね。
「結論から言うと、<どっちも大事>っていうつまらない答えにしかならないかな」
「うわ~、ホントつまんない」
「でも、つまらないけど大事なことってあるんだよ。だって、愛がなくちゃ楽しくないけど、お金がなくちゃ生きていくのは大変だし。
美智果、僕が美智果のことを『好きだ、愛してる』って言ってるのはそれこそ<愛>そのものだし、美智果がこうやって呑気にゲームで遊んでられるのはそれをやってられるだけのお金があるからなんだよ。
もし僕が美智果のことをほっぽり出して仕事だけやって『お金は置いとくからそれで自分で勝手に生きろ』とか言われたらどうする?」
「うえ~…それはイヤだなあ」
「そうだろ? 逆に、美智果のことを『好きだ、愛してる』って毎日言っていつでもこうやって一緒にいるけど、今晩のご飯も用意できないくらいお金がなかったらどう? もちろんゲームとかもできないって感じで」
「うわ~、それもイヤすぎる」
「だろ? だから結論としては、『愛もお金もどっちも大事』としか言いようがないんだよ。どういう意味で大事なのかが違うだけで、本来は比べるようなものじゃないんだ。
ただ、<愛のないお金>は、お父さんは要らない。美智果とこうやってのんびり生活できるだけのお金は欲しいけど、これ以上は別に無理して手に入れたいとは思わない。
必要以上のお金は人を狂わせることもあるからね」
「あ、お金お金でケンカばっかりしてるセレブとか?」
「あ~、あるね。そういうの。財産だ遺産だっていがみ合って命まで狙ったりするの。あんなになるくらいなら多すぎるお金とか要らないよ」
「だよね~。ありがと、パパ。なんか納得した」
僕の考え方に納得できない人もいると思う。だけどそれは僕にとってはどうでもいい話なんだ。お金の方が大事だって思う人は思う人で好きにしててくれていいよ。わざわざ関わろうとは思わないから。
僕は<美智果オタク>だから、こうして美智果と一緒にいられる生活を維持できればそれでいい。この子を大切に想う気持ちがない僕なんて味気ない。
だから僕はどちらかだけを選ぶことはない。それに、完全にどちらかだけを選択することを求められるシチュエーションなんて、現実にはそうそうないと思う。
もし現実でそういうシチュエーションに遭遇するなら、それはたぶんよっぽどな前振りがあってからだろうし、僕はその前振りの段階でさっさと対処するから。
またまた僕の膝でゲームをしながら、美智果がそんなことを訊いてきた。これもまたそろそろそういうことに疑問を持ち始める年頃だってことなのかな。なら、僕も人生の先輩としてそれに応えてあげなくちゃね。
「結論から言うと、<どっちも大事>っていうつまらない答えにしかならないかな」
「うわ~、ホントつまんない」
「でも、つまらないけど大事なことってあるんだよ。だって、愛がなくちゃ楽しくないけど、お金がなくちゃ生きていくのは大変だし。
美智果、僕が美智果のことを『好きだ、愛してる』って言ってるのはそれこそ<愛>そのものだし、美智果がこうやって呑気にゲームで遊んでられるのはそれをやってられるだけのお金があるからなんだよ。
もし僕が美智果のことをほっぽり出して仕事だけやって『お金は置いとくからそれで自分で勝手に生きろ』とか言われたらどうする?」
「うえ~…それはイヤだなあ」
「そうだろ? 逆に、美智果のことを『好きだ、愛してる』って毎日言っていつでもこうやって一緒にいるけど、今晩のご飯も用意できないくらいお金がなかったらどう? もちろんゲームとかもできないって感じで」
「うわ~、それもイヤすぎる」
「だろ? だから結論としては、『愛もお金もどっちも大事』としか言いようがないんだよ。どういう意味で大事なのかが違うだけで、本来は比べるようなものじゃないんだ。
ただ、<愛のないお金>は、お父さんは要らない。美智果とこうやってのんびり生活できるだけのお金は欲しいけど、これ以上は別に無理して手に入れたいとは思わない。
必要以上のお金は人を狂わせることもあるからね」
「あ、お金お金でケンカばっかりしてるセレブとか?」
「あ~、あるね。そういうの。財産だ遺産だっていがみ合って命まで狙ったりするの。あんなになるくらいなら多すぎるお金とか要らないよ」
「だよね~。ありがと、パパ。なんか納得した」
僕の考え方に納得できない人もいると思う。だけどそれは僕にとってはどうでもいい話なんだ。お金の方が大事だって思う人は思う人で好きにしててくれていいよ。わざわざ関わろうとは思わないから。
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だから僕はどちらかだけを選ぶことはない。それに、完全にどちらかだけを選択することを求められるシチュエーションなんて、現実にはそうそうないと思う。
もし現実でそういうシチュエーションに遭遇するなら、それはたぶんよっぽどな前振りがあってからだろうし、僕はその前振りの段階でさっさと対処するから。
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