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なんなんだこれは!?

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<白い六本の脚を持った大きな虫のような何か>

は、<アラニーズ>と呼ばれる種族だった。

その体は、一見するとクモのようにも見えつつ、実際には、頭部、胸部、腹部という三つの部位に分かれ、胸部から六本の脚が生えているという、明らかに<昆虫>の特徴を持った生き物であった。そしてその頭部が<人間の形>をしているのである。人間の形をしたそれの腰の部分で胸部に繋がっていて、人間の形をした部分の<手足>に見えるものは昆虫の<触覚>に当たる。

普通に生物の常識から考えれば有り得ない体を持った存在だったが、それについてはジャック達にはまったく理解できない話なのでここではさて置くとして、そんな生物が彼らの目の前にいるということだけはまぎれもない事実だった。

そしてそいつは、人間としての意識と人間としての知識を持ちつつ、強大な猛獣としての身体能力も兼ね備えた途轍もない存在でありつつ、ロボットと違いあくまで<生身の生き物>であるため、この数のオオカミ竜オオカミを相手に手加減などしていてはさすがに命の危険もあり、ゆえに容赦がなかったのである。

「ガアアッッ!!」

ジャックは、そのアラニーズの方がさらに危険な相手であると察し、自分が相手をしなければと考えた。ロボットについては敢えて仲間に任せ。

だがそこにさらに、

「!?」

何人ものレオンが現れる。

『こいつらは!?』

ジャックには見覚えがあった。この小山の反対側を縄張りにしているレオンの群れの一部だったのだ。なのにわざわざ縄張りを侵してまで現れるなど、意味が分からない。

とは言え、そのレオンとここに元々縄張りを持っていたレオンの一部とは兄妹であり、別の縄張りを持ちつつ今も交流はあるという変わり種のレオンだった。普通は親兄弟であっても巣立ってしまえば同じ獲物を奪い合う敵同士になるというのに。

そういう意味でもジャック達にとっては不運だっただろう。

『クソッ! クソッ!! なんなんだ! なんなんだこれは!?』

知能の高いジャックにすらまったく意味不明な状況に彼は混乱し、冷静な判断ができなくなっていた。だから、この時点で全力で撤退していれば命だけは助かったはずなのだが、アクシーズやロボットの狙いを理解していなかったこともあって、

『逃げられない! こいつらを倒すしかない!!』

と、<視野狭窄>の状態に陥っていたのだろう。

ゆえに、死に物狂いでアラニーズに襲い掛かる。こいつがこの中ではボスに当たるとだけは察して。

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