83 / 95
どうして俺はこう……!!
しおりを挟む
だが、数の上では圧倒的に優位のはずにも拘わらず、ロボットもレオンも倒せない。ロボットはともかくとしても明らかに幼体と思しきレオンすら倒せないのだ。
しかし、ジャック達ももう後には引けなかった。ここで諦めればどのみち早晩飢えてしまう。けれどここの縄張りを奪えば獲物が確保できるしそれを奪いに来ようとする者らを撃退すれば済むようになるのだ。幼体達を安心して育てていけるようにするためにも、ここは下がれない。
ゆえにジャックは<指揮官機らしきロボット>に挑む。自分がこいつを抑えておけば仲間達がその間に何とかしてくれるはずだと信じ。
実際、ジャックが指揮しなくても仲間達の連携は見事だった。互いに補い合い、倒れた仲間がレオンに襲われそうになっても援護して見せる。普通のレオンの群れであればとうの昔に圧倒してるはずだった。
普通のレオンの群れであれば……
それでもジャックは諦めない。指揮官機らしきロボットが繰り出すナイフを躱しつつその足に食らい付いてみせた。が、
『硬い……っ!?』
猪竜の頸椎さえ噛み砕くジャックの顎に備えられた牙がまったく通らない。仕方なく振り回す方向に切り替えるが、わずかに揺らいだものの持ち上げることもできない。
それどころか逆にこの隙を突かれてナイフが振り下ろされる。が、そこに仲間が割って入り、血飛沫を上げて倒れるのと入れ替わるようにしてジャックは間合いを取った。
『クソッ!!』
自分を庇おうとして仲間が命を落としたことにジャックが憤る。その仲間も、最初からジャックについてきてくれた者だった。
『どうして俺はこう……!!』
仲間を犠牲にしてしまう自身の不甲斐なさに腹が立つ。しかしだからこそ<こいつ>を何とかしなくてはいけない。
仲間に斬りかかるロボットの腕に頭突きをお見舞いしてナイフの軌道を逸らさせて、今度はその腕に食らい付く。しかしこちらも硬い。牙がまったく食い込んでいかない。さらにそこに、
「っ!?」
大きな衝撃。ロボットの蹴りがジャックの腹を捉えたのだ。瞬間、まるで自動車にでも撥ねられたかのようにジャックの体が吹っ飛び、地面を転がる。転がりつつ体勢を整えてすぐさま立ち上がったが、ジャックの目の前でさらに仲間が斬り殺された。
「グルウッッ!!」
呻き声を上げつつもジャックは視線を移して他の仲間達を見る。しかし今のところ、命を落としたのはこのロボットを相手にした者だけのようだ。他のロボットはゴムスタン弾を装填した自動小銃しか持っておらず、十分な殺傷力を持たないからであった。
しかし、ジャック達ももう後には引けなかった。ここで諦めればどのみち早晩飢えてしまう。けれどここの縄張りを奪えば獲物が確保できるしそれを奪いに来ようとする者らを撃退すれば済むようになるのだ。幼体達を安心して育てていけるようにするためにも、ここは下がれない。
ゆえにジャックは<指揮官機らしきロボット>に挑む。自分がこいつを抑えておけば仲間達がその間に何とかしてくれるはずだと信じ。
実際、ジャックが指揮しなくても仲間達の連携は見事だった。互いに補い合い、倒れた仲間がレオンに襲われそうになっても援護して見せる。普通のレオンの群れであればとうの昔に圧倒してるはずだった。
普通のレオンの群れであれば……
それでもジャックは諦めない。指揮官機らしきロボットが繰り出すナイフを躱しつつその足に食らい付いてみせた。が、
『硬い……っ!?』
猪竜の頸椎さえ噛み砕くジャックの顎に備えられた牙がまったく通らない。仕方なく振り回す方向に切り替えるが、わずかに揺らいだものの持ち上げることもできない。
それどころか逆にこの隙を突かれてナイフが振り下ろされる。が、そこに仲間が割って入り、血飛沫を上げて倒れるのと入れ替わるようにしてジャックは間合いを取った。
『クソッ!!』
自分を庇おうとして仲間が命を落としたことにジャックが憤る。その仲間も、最初からジャックについてきてくれた者だった。
『どうして俺はこう……!!』
仲間を犠牲にしてしまう自身の不甲斐なさに腹が立つ。しかしだからこそ<こいつ>を何とかしなくてはいけない。
仲間に斬りかかるロボットの腕に頭突きをお見舞いしてナイフの軌道を逸らさせて、今度はその腕に食らい付く。しかしこちらも硬い。牙がまったく食い込んでいかない。さらにそこに、
「っ!?」
大きな衝撃。ロボットの蹴りがジャックの腹を捉えたのだ。瞬間、まるで自動車にでも撥ねられたかのようにジャックの体が吹っ飛び、地面を転がる。転がりつつ体勢を整えてすぐさま立ち上がったが、ジャックの目の前でさらに仲間が斬り殺された。
「グルウッッ!!」
呻き声を上げつつもジャックは視線を移して他の仲間達を見る。しかし今のところ、命を落としたのはこのロボットを相手にした者だけのようだ。他のロボットはゴムスタン弾を装填した自動小銃しか持っておらず、十分な殺傷力を持たないからであった。
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
『星屑の狭間で』(対話・交流・対戦編)
トーマス・ライカー
SF
国際総合商社サラリーマンのアドル・エルクは、ゲーム大会『サバイバル・スペースバトルシップ』の一部として、ネット配信メディア・カンパニー『トゥーウェイ・データ・ネット・ストリーム・ステーション』社が、配信リアル・ライヴ・バラエティー・ショウ『サバイバル・スペースバトルシップ・キャプテン・アンド・クルー』に於ける、軽巡宙艦艦長役としての出演者募集に応募して、凄まじい倍率を突破して当選した。
艦長役としての出演者男女20名のひとりとして選ばれた彼はそれ以降、様々な艦長と出会い、知り合い、対話し交流もしながら、時として戦う事にもなっていく。
本作では、アドル・エルク氏を含む様々な艦長がどのように出会い、知り合い、対話し交流もしながら、時として戦い合いもしながら、その関係と関係性がどのように変遷していくのかを追って描く、スピンオフ・オムニバス・シリーズです。
『特別解説…1…』
この物語は三人称一元視点で綴られます。一元視点は主人公アドル・エルクのものであるが、主人公のいない場面に於いては、それぞれの場面に登場する人物の視点に遷移します。
まず主人公アドル・エルクは一般人のサラリーマンであるが、本人も自覚しない優れた先見性・強い洞察力・強い先読みの力・素晴らしい集中力・暖かい包容力を持ち、それによって確信した事案に於ける行動は早く・速く、的確で適切です。本人にも聴こえているあだ名は『先読みのアドル・エルク』
追記
以下に列挙しますものらの基本原則動作原理に付きましては『ゲーム内一般技術基本原則動作原理設定』と言う事で、ブラックボックスとさせて頂きます。
ご了承下さい。
インパルス・パワードライブ
パッシブセンサー
アクティブセンサー
光学迷彩
アンチ・センサージェル
ミラージュ・コロイド
ディフレクター・シールド
フォース・フィールド
では、これより物語が始まります。
【BIO DEFENSE】 ~終わった世界に作られる都市~
こばん
SF
世界は唐突に終わりを告げる。それはある日突然現れて、平和な日常を過ごす人々に襲い掛かった。それは醜悪な様相に異臭を放ちながら、かつての日常に我が物顔で居座った。
人から人に感染し、感染した人はまだ感染していない人に襲い掛かり、恐るべき加速度で被害は広がって行く。
それに対抗する術は、今は無い。
平和な日常があっという間に非日常の世界に変わり、残った人々は集い、四国でいくつかの都市を形成して反攻の糸口と感染のルーツを探る。
しかしそれに対してか感染者も進化して困難な状況に拍車をかけてくる。
さらにそんな状態のなかでも、権益を求め人の足元をすくうため画策する者、理性をなくし欲望のままに動く者、この状況を利用すらして己の利益のみを求めて動く者らが牙をむき出しにしていきパニックは混迷を極める。
普通の高校生であったカナタもパニックに巻き込まれ、都市の一つに避難した。その都市の守備隊に仲間達と共に入り、第十一番隊として活動していく。様々な人と出会い、別れを繰り返しながら、感染者や都市外の略奪者などと戦い、都市同士の思惑に巻き込まれたりしながら日々を過ごしていた。
そして、やがて一つの真実に辿り着く。
それは大きな選択を迫られるものだった。
bio defence
※物語に出て来るすべての人名及び地名などの固有名詞はすべてフィクションです。作者の頭の中だけに存在するものであり、特定の人物や場所に対して何らかの意味合いを持たせたものではありません。

アンドロイドちゃんねる
kurobusi
SF
文明が滅ぶよりはるか前。
ある一人の人物によって生み出された 金属とプラスチックそして人の願望から構築された存在。
アンドロイドさんの使命はただ一つ。
【マスターに寄り添い最大の利益をもたらすこと】
そんなアンドロイドさん達が互いの通信機能を用いてマスター由来の惚気話を取り留めなく話したり
未だにマスターが見つからない機体同士で愚痴を言い合ったり
機体の不調を相談し合ったりする そんなお話です
【なろう440万pv!】船が沈没して大海原に取り残されたオッサンと女子高生の漂流サバイバル&スローライフ
海凪ととかる
SF
離島に向かうフェリーでたまたま一緒になった一人旅のオッサン、岳人《がくと》と帰省途中の女子高生、美岬《みさき》。 二人は船を降りればそれっきりになるはずだった。しかし、運命はそれを許さなかった。
衝突事故により沈没するフェリー。乗員乗客が救命ボートで船から逃げ出す中、衝突の衝撃で海に転落した美岬と、そんな美岬を助けようと海に飛び込んでいた岳人は救命ボートに気づいてもらえず、サメの徘徊する大海原に取り残されてしまう。
絶体絶命のピンチ! しかし岳人はアウトドア業界ではサバイバルマスターの通り名で有名なサバイバルの専門家だった。
ありあわせの材料で筏を作り、漂流物で筏を補強し、雨水を集め、太陽熱で真水を蒸留し、プランクトンでビタミンを補給し、捕まえた魚を保存食に加工し……なんとか生き延びようと創意工夫する岳人と美岬。
大海原の筏というある意味密室空間で共に過ごし、語り合い、力を合わせて極限状態に立ち向かううちに二人の間に特別な感情が芽生え始め……。
はたして二人は絶体絶命のピンチを生き延びて社会復帰することができるのか?
小説家になろうSF(パニック)部門にて400万pv達成、日間/週間/月間1位、四半期2位、年間/累計3位の実績あり。
カクヨムのSF部門においても高評価いただき80万pv達成、最高週間2位、月間3位の実績あり。
💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活
XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。
筋肉少女まりあ★マッスル 全力全開!
謎の人
SF
元気いっぱい恋する乙女の小学5年生 安部まりあ。
ある日突然彼女の前に現れたのは、願いを叶える魔獣『かがみん』だった。
まりあは、幼馴染である秋月灯夜との恋の成就を願い、魔力を授かり魔法少女となる決意を固める。
しかし、その願いは聞き届けられなかった。
彼への恋心は偽りのものだと看破され、失意の底に沈んだまりあは、ふとある日のことを思い出す。
夏休み初日、プールで溺れたまりあを助けてくれた、灯夜の優しさと逞しい筋肉。
そして気付いた。
抱いた気持ちは恋慕ではなく、筋肉への純粋な憧れであることに。
己の願いに気付いたまりあは覚醒し、魔法少女へと変身を遂げる。
いつの日か雄々しく美しい肉体を手に入れるため、日夜筋トレに励む少女の魔法に満ち溢れた日常が、今幕を開ける―――。
*小説家になろうでも投稿しています。
https://ncode.syosetu.com/n0925ff/
【本格ハードSF】人類は孤独ではなかった――タイタン探査が明らかにした新たな知性との邂逅
シャーロット
SF
土星の謎めいた衛星タイタン。その氷と液体メタンに覆われた湖の底で、独自の知性体「エリディアン」が進化を遂げていた。透き通った体を持つ彼らは、精緻な振動を通じてコミュニケーションを取り、環境を形作ることで「共鳴」という文化を育んできた。しかし、その平穏な世界に、人類の探査機が到着したことで大きな転機が訪れる。
探査機が発するリズミカルな振動はエリディアンたちの関心を引き、慎重なやり取りが始まる。これが、異なる文明同士の架け橋となる最初の一歩だった。「エンデュランスII号」の探査チームはエリディアンの振動信号を解読し、応答を送り返すことで対話を試みる。エリディアンたちは興味を抱きつつも警戒を続けながら、人類との画期的な知識交換を進める。
その後、人類は振動を光のパターンに変換できる「光の道具」をエリディアンに提供する。この装置は、彼らのコミュニケーション方法を再定義し、文化の可能性を飛躍的に拡大させるものだった。エリディアンたちはこの道具を受け入れ、新たな形でネットワークを調和させながら、光と振動の新しい次元を発見していく。
エリディアンがこうした革新を適応し、統合していく中で、人類はその変化を見守り、知識の共有がもたらす可能性の大きさに驚嘆する。同時に、彼らが自然現象を調和させる能力、たとえばタイタン地震を振動によって抑える力は、人類の理解を超えた生物学的・文化的な深みを示している。
この「ファーストコンタクト」の物語は、共存や進化、そして異なる知性体がもたらす無限の可能性を探るものだ。光と振動の共鳴が、2つの文明が未知へ挑む新たな時代の幕開けを象徴し、互いの好奇心と尊敬、希望に満ちた未来を切り開いていく。
--
プロモーション用の動画を作成しました。
オリジナルの画像をオリジナルの音楽で紹介しています。
https://www.youtube.com/watch?v=G_FW_nUXZiQ
天日ノ艦隊 〜こちら大和型戦艦、異世界にて出陣ス!〜
八風ゆず
ファンタジー
時は1950年。
第一次世界大戦にあった「もう一つの可能性」が実現した世界線。1950年4月7日、合同演習をする為航行中、大和型戦艦三隻が同時に左舷に転覆した。
大和型三隻は沈没した……、と思われた。
だが、目覚めた先には我々が居た世界とは違った。
大海原が広がり、見たことのない数多の国が支配者する世界だった。
祖国へ帰るため、大海原が広がる異世界を旅する大和型三隻と別世界の艦船達との異世界戦記。
※異世界転移が何番煎じか分からないですが、書きたいのでかいています!
面白いと思ったらブックマーク、感想、評価お願いします!!※
※戦艦など知らない人も楽しめるため、解説などを出し努力しております。是非是非「知識がなく、楽しんで読めるかな……」っと思ってる方も読んでみてください!※
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる