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ジャックの強さや勇猛さは

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ジャックはロボットと対峙し、その隙に仲間達がレオンを。という狙いだった。

なのに、小さい方のロボットがゴムスタン弾を装填した自動小銃を放ち、ジャックの仲間達を寄せ付けない。

しかしジャックの仲間達も、何度打ちのめされても立ち上がる。ジョーカーの兄が指揮を執り。

そこに、成体おとなのレオン一人と幼体こどものレオン二人が帰ってきた。異変を察したのかもしれない。そうして、地面に倒れたジャックの仲間達に襲い掛かる。

もちろんジャックの仲間達も、その隙を狙って襲い掛かろうとする。するが、やはりゴムスタン弾を撃ち込まれて地面に倒れる。

ロボットなので、照準合わせも人間とはまったく違う形で行われている。通常の視覚センサーではなく、それ用のセンサーが別に装備されていて、頭を向けなくても狙いを付けられるのだ。さらには、弾丸が尽きても瞬時に弾倉の交換ができるような機能を備えていた。そして動きもオオカミ竜オオカミに負けていない。

むしろジャックが指揮官機と思しきロボットを抑えているからまだこの程度で済んでいると言えるのかもしれない。半面、ロボットの方も、ジャックを相手に若干てこずっているようにも見えた。ジャックの身体能力が想定を大きく上回っているからだろう。

だが、ジャックと共に指揮官機に立ち向かっていた仲間が、

「ギャウッッ!!」

悲鳴を上げる。その首から鮮血が噴き上がる。ロボットのナイフが切り裂いたのだ。

どお! とそのオオカミ竜オオカミが倒れると、しかし別のオオカミ竜オオカミがすぐさまジャックのところに駆けつけ、加勢する。実に優れた連携だった。同時に、ジャックがいかに仲間から信頼されているかを示していただろう。

そしてジャック自身、仲間が危険と見るやそれを援護する動きを見せる。

ただそれは、普通のオオカミ竜オオカミではあまり見られない動きだったと言える。普通は仲間が危険に曝されても、戦いの最中であればそこまで気にしたりしない。なので、幾分か見た目の獰猛さが薄れているような印象もあったとも言えるだろうか。

さりとて、それはただの<印象>。ジャックの強さや勇猛さはそういう部分に現れているわけじゃない。仲間と力を合わせ互いに支援を行いつつ難敵に立ち向かうことがその本質だった。でなければ早々に退けられていたに違いない。単に<数の優位>に頼っているわけではないのだ。これは、ジョーカーの兄もそうだった。ジャックの姿を間近で見てきて、彼の振る舞いをしっかりと習得していたのである。

だからこそ、強い。

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