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確実に勝つために

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ジャックは、確実に勝つためにさらに多くのことを知ろうと努めた。

改めて、<あまり強そうに見えないが隠れるのが上手い厄介な獣>については、

『頭には黒くて長い毛が生えていて、口は小さく、首は細く、体も細く、肉は柔らかく、頭以外は枯れ草色の短い毛が生えていて、力は自分達の方が強く、前足がやたらと長く、後ろ脚だけで真っ直ぐ立って、尻尾がない、本当に変な生き物だ』

ということが分かった。ただ、一匹一匹は弱いものの頭はいいようで、こっちが油断しているところを狙うのもとにかく巧い。しかも、暗くて周りが良く見えなくなってきてから襲い掛かってくるから、気が休まらない。

嫌な相手である。

そうやっていろいろ分かってくると、気付いたことがある。あの<大きな虫のような生き物>の頭の部分の形が、<あまり強そうに見えないが隠れるのが上手い厄介な獣>とよく似ているのだ。色はほとんど黒で、頭にはキラキラした毛が生えているもののそれ以外には毛が生えていないようだったが、形がとにかく似ているようにも見える。

その一方で、奇妙なことに時々、体の黒い部分が白っぽくなったりもする。そしてそれは決まって水浴びをする時だった。

本当にわけの分からない生き物だ。それで言えば、<土をいじっている異様な生き物>の方がまだ変じゃない気もする。

そしてその<大きな虫のような生き物>の方もこちらに気付いていて、様子を窺っているのが察せられた。襲ってくるとか狙っているとか、そういう印象はない気がする。どちらかといえば、獲物にしている獣の<見張り役>に近い感じを受けるだろうか。

そう、<見張り役>だ。なのに、他には同じような生き物の姿は見えない。味方を逃がすために身張りをしているという感じでもないのだ。だからますますわけが分からなくなる。

他には、あの、空にいる<鳥のような生き物>については、別に何かをするわけでもなくしてくるわけでもなく、ただただ空に浮いてるだけだった。気にはなるものの、それ自体は特に危険なものではなさそうだ。

それらのことを確認している間にも、獲物の数は目に見えて減っていく。もうあまり長く待っているわけにはいかない予感がある。決断の時が迫っているのだろう。

次の発情期には子供も作らないといけない。幼体こども達にもいい加減、安心して暮らせる場所を用意してやりたい。そういう諸々が、ジャックにはのしかかってきていた。

『……』

空を見上げつつふと思う。仲間達も育ってきている。特に、ジョーカーの兄は、普通ならもうボスになっていてもおかしくないだろう。自分にもしものことがあっても、任せられる者はいるのだと。

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