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縄張りの把握に務める
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しかし何とか夜も無事に乗り越えて再び朝を迎え、ジャックはまず、縄張りの把握に務めることにした。
オオカミ竜の縄張りは、基本的にボスの排泄物の臭いによって主張する形になっている。他所のオオカミ竜の排泄物の臭いがかろうじて漂ってくる辺りにボスは自らの排泄物を残し、ここから先は自分達の縄張りであるということを主張する。
なので当然、ジャックも同じことをこれまでもしてきたし、これからまたそれを行うことになるのだ。
ただ、先にも触れたとおり、ジャック達と同じように他の地域からこちらに移動してきたオオカミ竜やレオンといった大型の肉食獣が縄張りも持たずにうろついて勝手に獲物を捕らえることで明らかに獲物の数が減ってきているのもあって、必ずしも安穏とはしていられない。いよいよ獲物が獲れなくなってきたとなればまた移動することになるかもしれない。
とは言え、ここには元々獲物がいたので、他に移動すればまた獲物がいるだろうという予測はジャックにはできた。それがないのであればそもそもここにも獲物はいなかったはずなのだ。
そういう意味では以前ほどは切羽詰まった気分でもなかった。それに、群れが大きくなったことで、他所から移ってきた他の群れと戦うことになっても有利なのは間違いない。
実際、縄張りの把握の間にもいくつものオオカミ竜やレオンの群れと遭遇し、これを撃破した。オオカミ竜については戦意を失った者については仲間にも加えたが、レオンはそもそもまったく別の種族でありコミュニケーションの取りようもなかったので、逃げた者はともかく、そうじゃない者はすべて殺して糧とする。
こうして縄張りを把握してると今度は、何やら得体のしれない動物に遭遇した。これまで全く見たこともなく、しかも形がとにかく異様だった。
脚が四本なのはインパラ竜やガゼル竜などに似ているが、それとは別に前脚(腕)のようなものも二本あった。体に毛は生えておらず、まるで石か何かのようにも見えなくもない。
「グルル……」
仲間達はそのとにかく異様な生き物に怯え、動揺しているのが分かる。ジャック自身、この異様さには慄くしかなかった。
だが、そいつはインパラ竜やガゼル竜が傍にいても襲ったりはしなかった。だから自分達と獲物を奪い合うような相手でないことはこれで分かる。とても美味そうには見えなかったので、獲物にしようという気も起きなかったが。
いずれにせよ、そいつの近くにはまだ獲物がいる。なのでジャックはそこからさほど遠くないところに新たな寝床を作ったのだった。
オオカミ竜の縄張りは、基本的にボスの排泄物の臭いによって主張する形になっている。他所のオオカミ竜の排泄物の臭いがかろうじて漂ってくる辺りにボスは自らの排泄物を残し、ここから先は自分達の縄張りであるということを主張する。
なので当然、ジャックも同じことをこれまでもしてきたし、これからまたそれを行うことになるのだ。
ただ、先にも触れたとおり、ジャック達と同じように他の地域からこちらに移動してきたオオカミ竜やレオンといった大型の肉食獣が縄張りも持たずにうろついて勝手に獲物を捕らえることで明らかに獲物の数が減ってきているのもあって、必ずしも安穏とはしていられない。いよいよ獲物が獲れなくなってきたとなればまた移動することになるかもしれない。
とは言え、ここには元々獲物がいたので、他に移動すればまた獲物がいるだろうという予測はジャックにはできた。それがないのであればそもそもここにも獲物はいなかったはずなのだ。
そういう意味では以前ほどは切羽詰まった気分でもなかった。それに、群れが大きくなったことで、他所から移ってきた他の群れと戦うことになっても有利なのは間違いない。
実際、縄張りの把握の間にもいくつものオオカミ竜やレオンの群れと遭遇し、これを撃破した。オオカミ竜については戦意を失った者については仲間にも加えたが、レオンはそもそもまったく別の種族でありコミュニケーションの取りようもなかったので、逃げた者はともかく、そうじゃない者はすべて殺して糧とする。
こうして縄張りを把握してると今度は、何やら得体のしれない動物に遭遇した。これまで全く見たこともなく、しかも形がとにかく異様だった。
脚が四本なのはインパラ竜やガゼル竜などに似ているが、それとは別に前脚(腕)のようなものも二本あった。体に毛は生えておらず、まるで石か何かのようにも見えなくもない。
「グルル……」
仲間達はそのとにかく異様な生き物に怯え、動揺しているのが分かる。ジャック自身、この異様さには慄くしかなかった。
だが、そいつはインパラ竜やガゼル竜が傍にいても襲ったりはしなかった。だから自分達と獲物を奪い合うような相手でないことはこれで分かる。とても美味そうには見えなかったので、獲物にしようという気も起きなかったが。
いずれにせよ、そいつの近くにはまだ獲物がいる。なのでジャックはそこからさほど遠くないところに新たな寝床を作ったのだった。
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