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命を懸けた我慢比べ
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「グオッ!! グオッッ!! グオオッッ!!」
ボスは、ジャックを跳ね除けようとしてもがく。ジャックも揺さぶりをかけることでスタミナを奪おうとする。
まさに、
<命を懸けた我慢比べ>
だった。
だがそれはジャック以外もそうだろう。ジャックがボスを倒せば相手は戦意を失うはずだ。しかし逆にボスがいるうちは諦めないに違いない。ジャックがボスを倒すまで凌ぎ切るかどうか、我慢できるかどうか、という戦いだった。
しかしその中で、
「ガアアーッッ!!」
ジャックの仲間が一頭、地面に引きずり倒された。そこに何頭ものオオカミ竜が襲い掛かる。体中が噛み砕かれ肉を食いちぎられ、命が潰えていく。ジョーカーの兄が加勢に向かおうとしたが、阻まれて動けない。
「!?」
その様子に気付きながらも、ジャックも助けに行くことができなかった。今、ジャックがボスを抑えきれないと、それこそこちらは総崩れになる。すべてが終わってしまう。
焦る気持ちを抑え付けて、ジャックはボスに集中した。
そこでさらにもう一頭、仲間が倒された。
「ギャアアーッッ!!」
断末魔の悲鳴がジャックを打つ。
しかしその一方で、ジョーカーの兄も、相手の一頭を倒した。他にも、仲間達が相手を退けもする。
数の上で不利だったのも拘わらずのこれは、大健闘だと言えるはずだ。特にジョーカーの子供達が相手を撹乱してくれたのはとても大きい。
けれど、ジャックは苦しかった。仲間が死んでいくのを見るのは。
『クソッ! クソッ!! 潰れろ! 潰れろ!! 潰れろっ!!』
抵抗を続けるボスに対して向けられたジャックの気持ちを言語化するなら、こんな感じだったかもしれない。
『はやくボスを倒さなければ……!!』
と。
だが……
「ギピーッッ!!」
特に甲高い悲鳴。
「ッ!?」
ジョーカーの子供だった。ジョーカーの子供の一頭が成体のオオカミ竜の牙に捕らえられて、一瞬で噛み砕かれていく。
『くそおおおおっっっ!!』
ジャックの気持ちはそうだっただろう。自分が不甲斐ないばかりに幼体に戦わせてしまって、しかも殺されてしまった。
「ゴオオオオオーッッッ!!」
咆哮と共にジャックの全身に力が漲る。怒りが彼のタガを外したのだろうか。
「ゴアッッ!?」
ボスが声を上げた瞬間、がくりとその体が沈む。ジャックはそれを見逃さずボスの体を地面へと叩き付け、頭を足で踏み付け、首に食らい付く。そうして渾身の力で牙を突き立てた。
ゴギギベギ、ゴギンッッ!!
ジャックの顎にそんな感触が伝わってきたのだった。
ボスは、ジャックを跳ね除けようとしてもがく。ジャックも揺さぶりをかけることでスタミナを奪おうとする。
まさに、
<命を懸けた我慢比べ>
だった。
だがそれはジャック以外もそうだろう。ジャックがボスを倒せば相手は戦意を失うはずだ。しかし逆にボスがいるうちは諦めないに違いない。ジャックがボスを倒すまで凌ぎ切るかどうか、我慢できるかどうか、という戦いだった。
しかしその中で、
「ガアアーッッ!!」
ジャックの仲間が一頭、地面に引きずり倒された。そこに何頭ものオオカミ竜が襲い掛かる。体中が噛み砕かれ肉を食いちぎられ、命が潰えていく。ジョーカーの兄が加勢に向かおうとしたが、阻まれて動けない。
「!?」
その様子に気付きながらも、ジャックも助けに行くことができなかった。今、ジャックがボスを抑えきれないと、それこそこちらは総崩れになる。すべてが終わってしまう。
焦る気持ちを抑え付けて、ジャックはボスに集中した。
そこでさらにもう一頭、仲間が倒された。
「ギャアアーッッ!!」
断末魔の悲鳴がジャックを打つ。
しかしその一方で、ジョーカーの兄も、相手の一頭を倒した。他にも、仲間達が相手を退けもする。
数の上で不利だったのも拘わらずのこれは、大健闘だと言えるはずだ。特にジョーカーの子供達が相手を撹乱してくれたのはとても大きい。
けれど、ジャックは苦しかった。仲間が死んでいくのを見るのは。
『クソッ! クソッ!! 潰れろ! 潰れろ!! 潰れろっ!!』
抵抗を続けるボスに対して向けられたジャックの気持ちを言語化するなら、こんな感じだったかもしれない。
『はやくボスを倒さなければ……!!』
と。
だが……
「ギピーッッ!!」
特に甲高い悲鳴。
「ッ!?」
ジョーカーの子供だった。ジョーカーの子供の一頭が成体のオオカミ竜の牙に捕らえられて、一瞬で噛み砕かれていく。
『くそおおおおっっっ!!』
ジャックの気持ちはそうだっただろう。自分が不甲斐ないばかりに幼体に戦わせてしまって、しかも殺されてしまった。
「ゴオオオオオーッッッ!!」
咆哮と共にジャックの全身に力が漲る。怒りが彼のタガを外したのだろうか。
「ゴアッッ!?」
ボスが声を上げた瞬間、がくりとその体が沈む。ジャックはそれを見逃さずボスの体を地面へと叩き付け、頭を足で踏み付け、首に食らい付く。そうして渾身の力で牙を突き立てた。
ゴギギベギ、ゴギンッッ!!
ジャックの顎にそんな感触が伝わってきたのだった。
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