上 下
84 / 106

嬉しいのと同時に空恐ろしいぜ

しおりを挟む
指が折れてたのも治って本格的に行道ゆきみち相手をするようになったら、こいつ、ますます攻撃が鋭くなってきやがった。

まさかとは思うが俺の調子が完全じゃなかったのを承知してて、手加減してくれてたってか?

だとしたら、嬉しいのと同時に空恐ろしいぜ。こいつの力はどこまでのものなんだ?

それを見届けたいとも思うけどよ、その前に俺が殺されちまうかもしれねえな。

だが悪くねえ。行道ゆきみちに殺されるんならそれも悪くねえ最後だ。ここじゃあ、親を殺したところで罪に問われることもねえ。親が子供を食い殺したって罪には問われねえ世界だ。だったら逆に子供が親を殺したって罪を問うのは筋違いだよなあ。

『親を殺して縄張りを奪う』

実に合理的なやり方じゃねえか。何も間違ってる気がしねえぜ? どうせ親なんざ子供が育ちゃ消えていく存在だしよ。

そうは言っても、俺だって簡単に殺されてやるつもりなんざねえけどな。行道ゆきみちがどこまで行けるのか、見届けられるだけ見届けてえし。

そんなことを思ってる間にも行道ゆきみちはどんどん成長していった。

印象としちゃ人間の倍以上の速さで成長してる感じか。しかも別に俺が世話をしてるとかそういうんじゃねえ。蟷姫とうきの時と違ってイチャイチャしたりしねえのもあって、なんかもう、それこそ俺が作った巣に勝手に住み着いてるだけってえ感じだったりもするな。

会話しようにもそもそも言葉が通じねえし、人間の言葉が喋れるようになってねえしな。

それでも不思議と居心地は悪くねえ。最初からそういうもんだってのは分かってるからか、

『会話がないと間が持たねえ』

ってのがねえんだよ。蟷姫とうきの時もそうだった。それが普通だったんだ。

しかも成長するとどんどん母親に似ていってる気がする。

見た目には十歳くらいって感じになったら、それこそ<小さい蟷姫とうき>だったよ。

そうは言っても行道ゆきみちはれっきとしたオスだけどな。

んでまあ、よく見りゃ子供の頃の俺の写真ともどっか印象がだぶる気もするか。間違いなく俺と蟷姫とうきの血を受け継いでるってわけだ。

で、ある日、縄張りを荒らしに来たカマキリ怪人とばったり出くわした。最近じゃ気配消してても察することができるようになった俺でもギリギリまで気付かなかった。

「!?」

さすがに焦ったぜ。ここまで近付かれたのは最初の頃以来だったしな。行道ゆきみちも気付かなかったらしい。

けどな、もっと驚かされたのがこの後なんだよ。何しろ行道ゆきみちがそいつを一発で蹴り殺しちまったんだからな。

いくら向こうがガキ相手で油断してたみてえだったからってよ。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

分析スキルで美少女たちの恥ずかしい秘密が見えちゃう異世界生活

SenY
ファンタジー
"分析"スキルを持って異世界に転生した主人公は、相手の力量を正確に見極めて勝てる相手にだけ確実に勝つスタイルで短期間に一財を為すことに成功する。 クエスト報酬で豪邸を手に入れたはいいものの一人で暮らすには広すぎると悩んでいた主人公。そんな彼が友人の勧めで奴隷市場を訪れ、記憶喪失の美少女奴隷ルナを購入したことから、物語は動き始める。 これまで危ない敵から逃げたり弱そうな敵をボコるのにばかり"分析"を活用していた主人公が、そのスキルを美少女の恥ずかしい秘密を覗くことにも使い始めるちょっとエッチなハーレム系ラブコメ。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

性転換タイムマシーン

廣瀬純一
SF
バグで性転換してしまうタイムマシーンの話

小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話

矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」 「あら、いいのかしら」 夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……? 微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。 ※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。 ※小説家になろうでも同内容で投稿しています。 ※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。

ヴァーチャル美少女キャラにTSおっさん 世紀末なゲーム世界をタクティカルに攻略(&実況)して乗り切ります!

EPIC
SF
――Vtub〇r?ボイス〇イド?……的な美少女になってしまったTSおっさん Fall〇utな世紀末世界観のゲームに転移してしまったので、ゲームの登場人物に成りきってる系(というかなってる系)実況攻略でタクティカルに乗り切ります 特典は、最推し美少女キャラの相棒付き?――  音声合成ソフトキャラクターのゲーム実況動画が好きな、そろそろ三十路のおっさん――未知 星図。  彼はそれに影響され、自分でも音声合成ソフトで実況動画を作ろうとした。  しかし気づけば星図はそのゲームの世界に入り込み、そして最推しの音声合成ソフトキャラクターと一緒にいた。  さらにおまけに――彼自身も、何らかのヴァーチャル美少女キャラクターへとTSしていたのだ。  入り込んでしまったゲーム世界は、荒廃してしまった容赦の無い世紀末な世界観。  果たして二人の運命や如何に?  Vtuberとかボイスロイド実況動画に影響されて書き始めたお話です。

ずっと女の子になりたかった 男の娘の私

ムーワ
BL
幼少期からどことなく男の服装をして学校に通っているのに違和感を感じていた主人公のヒデキ。 ヒデキは同級生の女の子が履いているスカートが自分でも履きたくて仕方がなかったが、母親はいつもズボンばかりでスカートは買ってくれなかった。 そんなヒデキの幼少期から大人になるまでの成長を描いたLGBT(ジェンダーレス作品)です。

GAME CHANGER 日本帝国1945からの逆襲

俊也
歴史・時代
時は1945年3月、敗色濃厚の日本軍。 今まさに沖縄に侵攻せんとする圧倒的戦力のアメリカ陸海軍を前に、日本の指導者達は若者達による航空機の自爆攻撃…特攻 で事態を打開しようとしていた。 「バカかお前ら、本当に戦争に勝つ気があるのか!?」 その男はただの学徒兵にも関わらず、平然とそう言い放ち特攻出撃を拒否した。 当初は困惑し怒り狂う日本海軍上層部であったが…!? 姉妹作「新訳 零戦戦記」共々宜しくお願い致します。 共に 第8回歴史時代小説参加しました!

13歳女子は男友達のためヌードモデルになる

矢木羽研
青春
写真が趣味の男の子への「プレゼント」として、自らを被写体にする女の子の決意。「脱ぐ」までの過程の描写に力を入れました。裸体描写を含むのでR15にしましたが、性的な接触はありません。

処理中です...