ショウドウ ～未開の惑星に転生した男、野生を生きる～

想定通り

初見殺しという形で食らった彼女の蹴りにもう対応してきた相手に、蟷姫とうきも、

『想定通り』

とばかりに、間髪入れず今度は右の回し蹴りを放つ。これも相手はしっかり対応してくる。

やっぱり決して頭は悪くねえな。カマキリ怪人は。てか、

『格闘センスがある』

ってえ感じか。

だがそこから蟷姫とうきは、すげえ勢いで何度も蹴りを放ち始める。

『躱されるなら、躱しきれねえぐらい叩き込めばいい』

ってえこったな。俺でもそうする。

しかも筋力も体幹も人間とは桁違いだから、とんでもねえ勢いで何発も蹴りを繰り出しても体がブレねえ。

分かっちゃいたが改めて見るととんでもねえな。体格の点で俺の方が有利だったから相手できてたってえだけで、普通にヤベえよ。

一方で今回の奴は体格的には蟷姫とうきとそんなに違わねえし、こりゃたまらねえだろ。

それでも簡単には引き下がらねえか。何発かいいのをもらいながらもしっかりと踏ん張ってやがる。

しかも目が慣れてきやがったのか、徐々に腕で捌き始めてるな。

そしてさすがに蟷姫とうきの蹴りが途切れると、瞬時に懐に飛び込んできて、捕まえようとする。

だがそれに対して蟷姫とうきは、相手の踏み出した足が地面に着く寸前にローキックを放って払ってみせた。

ちょうどそちらに体重を移して踏ん張ろうとするタイミングだったもんだから、相手は盛大に前につんのめる。まさかの攻撃にさすがに対処もできず、完全に体が前に泳いだ。

蟷姫とうきは体を捻ってそれを躱しつつ、相手の顔面に膝を入れる。

「ゴッッ！」

ってえ硬い音をさせながら相手の頭が跳ね上がった。

こりゃあキツイ。

十分に一発KOもありえる一撃だろ。

なのに相手は、その蟷姫とうきの脚を掴んだ上に思い切り体重をかけてきて、彼女ごと地面に倒れた。

いやはや敵ながらあっぱれだ。

しかも、脚を掴まれて地面に倒れた蟷姫とうきが、

「ギーッッ！」

と悲鳴のような声を上げる。相手が彼女の足に噛み付いたようだ。

ただ、出血は見られねえ。だから皮膚を食い破られたわけじゃねえんだろうが、痛みはそれなりにあるようだ。ボディアーマーみてえな皮膚とはいっても、触覚や痛覚はそれなりにあるらしいからな。

骨さえ噛み砕く顎で噛み付かれりゃ、当然、半端なく痛えだろ。人間だったらそれこそ、ごっそりと脚の肉を食いちぎられてるに違いねえ。

ヤベえヤベえ。俺も気を付けなきゃな。カマキリ怪人とやり合うときは。

蟷姫とうきは噛みつきはしてこねえが、それは俺を殺す気がねえからかもしれねえな。

だが今回の相手はそれこそ容赦する気がねえ。