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協力
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「どうやら私のペットはお前達に危害を加えるつもりはないらしい。それに私も、今は機嫌がいい。だから見逃してやる。どこへなりと行くがいい。この世界をどうぞ満喫してくれ」
クォ=ヨ=ムイは嘲笑うようにして吉佐倉さん達に言った。
僕は、<主人>であるクォ=ヨ=ムイに振り返って見る。
すると、クォ=ヨ=ムイは、
「ほうほう、私のペットはお前達のことが気に入ったようだぞ。うむ、よかろう。そいつをしばらくお前達に貸しておいてやる。精々役立てるんだな」
とも言ってのけた。
そして空気に溶けるようにして、
「ははははっはははは、くあーははははっははっはっははっはははは!」
と高らかに笑いながら姿を消す。
恐ろしく耳障りな笑い声だった。
しかし、今はそれどころじゃない。
気を失ったみほちゃんを守るかのように抱き締めながら、やはりエレーンさんとシェリーちゃんを守るかのように、吉佐倉さんは僕の前仁王立ちになった。
その目には、強い憤りと不信感と嫌悪感が込められていた。
アリーネさんは、地面に仰向けに横たわったまま、腕で顔を覆い、唇を噛みしめて動かなかった。心が折られたことと、あまりの悔しさで身動きが取れないんだろうな。
事情を説明しようにも、今の僕に人間の言葉は話せない。
でも、ふと気付いた。気付いて、自分の頭から長く伸びた触角を地面に向けて垂らし、そして文字を書いてみせた。
『傷付けるつもりはない。君達が何とか生きていけるようになるまで協力したい』
と。
「……協力……?」
と呟きながらも、吉佐倉さんの目からは憤りも不信感も嫌悪感も消えることはなかった。
けれど、僕はそんな彼女に敵意を向けることはもちろんしない。そう受け取られそうなこともしないようにした。
どれだけそうしていただろう。
上空高く舞い上がった大量の埃や粉塵が大気中の水分の核になったのか、いつの間にか厚い雲に覆われ、そしてパラパラと雨が降り出してきた。
黒い、泥水の雨だった。
それに打たれる吉佐倉さん達の体がみるみる黒く汚れていく。
そこで僕は、頭の触角で周囲を探って、公園を出て行った。
僕が動いた瞬間にはビクっと体を竦ませた吉佐倉さんだったけど、決して目を離そうとしなかった。もし襲い掛かってくるようなら、差し違えてでもみほちゃん達を守ろうっていう強い意志が込められた視線だった。
それを受けながら奔った僕は、瓦礫の中からボロボロになった大きなパラソルを引っ張り出して彼女達のところへと戻り、二本の触角で柄を斜めに切り取って槍のように加工した上で地面に突き刺して、パラソルを広げてみせた。
喫茶店などのオープンテラスで使われているようなパラソルだった。
ボロボロに破れてはいたものの、それでもそのまま雨ざらしになるよりはマシだと思ったんだろうな。
僕が退いて距離を取るのを確認しながら、みほちゃんを抱いてエレーンさんとシェリーちゃんを伴って、吉佐倉さんはパラソルの下に入ったのだった。
クォ=ヨ=ムイは嘲笑うようにして吉佐倉さん達に言った。
僕は、<主人>であるクォ=ヨ=ムイに振り返って見る。
すると、クォ=ヨ=ムイは、
「ほうほう、私のペットはお前達のことが気に入ったようだぞ。うむ、よかろう。そいつをしばらくお前達に貸しておいてやる。精々役立てるんだな」
とも言ってのけた。
そして空気に溶けるようにして、
「ははははっはははは、くあーははははっははっはっははっはははは!」
と高らかに笑いながら姿を消す。
恐ろしく耳障りな笑い声だった。
しかし、今はそれどころじゃない。
気を失ったみほちゃんを守るかのように抱き締めながら、やはりエレーンさんとシェリーちゃんを守るかのように、吉佐倉さんは僕の前仁王立ちになった。
その目には、強い憤りと不信感と嫌悪感が込められていた。
アリーネさんは、地面に仰向けに横たわったまま、腕で顔を覆い、唇を噛みしめて動かなかった。心が折られたことと、あまりの悔しさで身動きが取れないんだろうな。
事情を説明しようにも、今の僕に人間の言葉は話せない。
でも、ふと気付いた。気付いて、自分の頭から長く伸びた触角を地面に向けて垂らし、そして文字を書いてみせた。
『傷付けるつもりはない。君達が何とか生きていけるようになるまで協力したい』
と。
「……協力……?」
と呟きながらも、吉佐倉さんの目からは憤りも不信感も嫌悪感も消えることはなかった。
けれど、僕はそんな彼女に敵意を向けることはもちろんしない。そう受け取られそうなこともしないようにした。
どれだけそうしていただろう。
上空高く舞い上がった大量の埃や粉塵が大気中の水分の核になったのか、いつの間にか厚い雲に覆われ、そしてパラパラと雨が降り出してきた。
黒い、泥水の雨だった。
それに打たれる吉佐倉さん達の体がみるみる黒く汚れていく。
そこで僕は、頭の触角で周囲を探って、公園を出て行った。
僕が動いた瞬間にはビクっと体を竦ませた吉佐倉さんだったけど、決して目を離そうとしなかった。もし襲い掛かってくるようなら、差し違えてでもみほちゃん達を守ろうっていう強い意志が込められた視線だった。
それを受けながら奔った僕は、瓦礫の中からボロボロになった大きなパラソルを引っ張り出して彼女達のところへと戻り、二本の触角で柄を斜めに切り取って槍のように加工した上で地面に突き刺して、パラソルを広げてみせた。
喫茶店などのオープンテラスで使われているようなパラソルだった。
ボロボロに破れてはいたものの、それでもそのまま雨ざらしになるよりはマシだと思ったんだろうな。
僕が退いて距離を取るのを確認しながら、みほちゃんを抱いてエレーンさんとシェリーちゃんを伴って、吉佐倉さんはパラソルの下に入ったのだった。
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