42 / 93
吉佐倉綾乃の独白 その1
しおりを挟む
正直、最初は何の冗談かと思った。見ず知らずの女性から、
「お前は今、二百万倍に加速されてる」
とか言われても、当然、そんなことは信じられる訳ない。しかも、
「この男のハーレム要員だ」
なんて、もう、刑事告訴を決意したくらいだ。こっちはそれこそ冗談では済まされない。
いきなり、どこの誰とも分からない中年男性のハーレムに加われなんて、強要罪や暴行罪が適用されて然るべきだと思う。
だけど、当の男性の方も、その女性の悪質な<冗談>に振り回されてるだけだというのはすぐに分かって、少し、怒りはマシになった。
私は、男性には興味がない。
幼い頃からそうだった。最初は自分でも、単に男子はガサツで乱暴で汚くて臭くて常識が無くて良識が無くてデリカシーが無くて思い遣りの欠片もないから嫌いなだけなんだと思ってた。
でも、私が好きになる相手は必ず女性で、最初は幼稚園の同じ組の、お人形みたいな可愛らしい女の子だった。彼女の傍にいると胸がドキドキして、体が熱くなって、気持ちがあったかくなるのを感じた。
その子とは仲良しにはなれたけど、それ以上の進展はなく、彼女が親の都合で引っ越ししていってそれで終わった。
「てがみ、かくね」
って別れ際に言ってくれたけど、実際には一度も来なかった。思えばその子は、割と調子のいいことを言って、誰にでもいい顔をして、でもいつも口だけだったのが今なら分かる。
次に好きになったのは、小学校の担任の先生だった。まだ教師になりたてっていう若い女の先生で、慣れてないからか、時々、おたおたと慌ててしまうところを『カワイイ』と思った。
私はその先生の傍にいつもいるようにして、彼女の言うことは素直に従うようにして、<いい子アピール>をしてたのを覚えてる。気に入られようと必死だったんだろうな。
まだ教師になりたてで自信のなかった彼女には私の存在はとても励みになったらしい。お気に入りの生徒の一人になれて、可愛がってもらえたと思う。
でも、彼女は教師としては未熟過ぎた。私のことを気に入ったあまりに依怙贔屓するようになって、他の生徒、特に女子から毛嫌いされるようになり、わざと言うことを聞かなかったり、時には男子さえ一緒になって授業をボイコットしたりして、いわゆる<学級崩壊>状態になってしまった。
私は彼女の為に何とかクラスの子達に言うことを聞かせようと頑張ったけど、私がそうすればするほど彼女への風当たりが強くなり、そしてある日を境に、彼女は学校に来なくなった。
そして、クラスのほぼ全員から、私は無視されるようになったのだった。
「お前は今、二百万倍に加速されてる」
とか言われても、当然、そんなことは信じられる訳ない。しかも、
「この男のハーレム要員だ」
なんて、もう、刑事告訴を決意したくらいだ。こっちはそれこそ冗談では済まされない。
いきなり、どこの誰とも分からない中年男性のハーレムに加われなんて、強要罪や暴行罪が適用されて然るべきだと思う。
だけど、当の男性の方も、その女性の悪質な<冗談>に振り回されてるだけだというのはすぐに分かって、少し、怒りはマシになった。
私は、男性には興味がない。
幼い頃からそうだった。最初は自分でも、単に男子はガサツで乱暴で汚くて臭くて常識が無くて良識が無くてデリカシーが無くて思い遣りの欠片もないから嫌いなだけなんだと思ってた。
でも、私が好きになる相手は必ず女性で、最初は幼稚園の同じ組の、お人形みたいな可愛らしい女の子だった。彼女の傍にいると胸がドキドキして、体が熱くなって、気持ちがあったかくなるのを感じた。
その子とは仲良しにはなれたけど、それ以上の進展はなく、彼女が親の都合で引っ越ししていってそれで終わった。
「てがみ、かくね」
って別れ際に言ってくれたけど、実際には一度も来なかった。思えばその子は、割と調子のいいことを言って、誰にでもいい顔をして、でもいつも口だけだったのが今なら分かる。
次に好きになったのは、小学校の担任の先生だった。まだ教師になりたてっていう若い女の先生で、慣れてないからか、時々、おたおたと慌ててしまうところを『カワイイ』と思った。
私はその先生の傍にいつもいるようにして、彼女の言うことは素直に従うようにして、<いい子アピール>をしてたのを覚えてる。気に入られようと必死だったんだろうな。
まだ教師になりたてで自信のなかった彼女には私の存在はとても励みになったらしい。お気に入りの生徒の一人になれて、可愛がってもらえたと思う。
でも、彼女は教師としては未熟過ぎた。私のことを気に入ったあまりに依怙贔屓するようになって、他の生徒、特に女子から毛嫌いされるようになり、わざと言うことを聞かなかったり、時には男子さえ一緒になって授業をボイコットしたりして、いわゆる<学級崩壊>状態になってしまった。
私は彼女の為に何とかクラスの子達に言うことを聞かせようと頑張ったけど、私がそうすればするほど彼女への風当たりが強くなり、そしてある日を境に、彼女は学校に来なくなった。
そして、クラスのほぼ全員から、私は無視されるようになったのだった。
0
お気に入りに追加
6
あなたにおすすめの小説
性奴隷を飼ったのに
お小遣い月3万
ファンタジー
10年前に俺は日本から異世界に転移して来た。
異世界に転移して来たばかりの頃、辿り着いた冒険者ギルドで勇者認定されて、魔王を討伐したら家族の元に帰れるのかな、っと思って必死になって魔王を討伐したけど、日本には帰れなかった。
異世界に来てから10年の月日が流れてしまった。俺は魔王討伐の報酬として特別公爵になっていた。ちなみに領地も貰っている。
自分の領地では奴隷は禁止していた。
奴隷を売買している商人がいるというタレコミがあって、俺は出向いた。
そして1人の奴隷少女と出会った。
彼女は、お風呂にも入れられていなくて、道路に落ちている軍手のように汚かった。
彼女は幼いエルフだった。
それに魔力が使えないように処理されていた。
そんな彼女を故郷に帰すためにエルフの村へ連れて行った。
でもエルフの村は魔力が使えない少女を引き取ってくれなかった。それどころか魔力が無いエルフは処分する掟になっているらしい。
俺の所有物であるなら彼女は処分しない、と村長が言うから俺はエルフの女の子を飼うことになった。
孤児になった魔力も無いエルフの女の子。年齢は14歳。
エルフの女の子を見捨てるなんて出来なかった。だから、この世界で彼女が生きていけるように育成することに決めた。
※エルフの少女以外にもヒロインは登場する予定でございます。
※帰る場所を無くした女の子が、美しくて強い女性に成長する物語です。
転生したら弱いものまね士になったけど結局活躍した。それはいいとして、英雄になったら隣に住んでたエルフとベッドの上でファンタジーが始まった
ぐうのすけ
ファンタジー
会社帰り、俺は突然異世界に転生した。
転生した異世界は貴族屋敷……の隣にあるボロ屋の息子だった。
10才で弱いと言われるものまね士のジョブを授かるが、それでも俺は冒険者を目指す。
所で隣のメイドさん、俺をからかうの、やめてもらえますか?
やめて貰えないと幼馴染のお嬢様が頬をぷっくりさせて睨んでくるんですけど?
そう言えば俺をバカにしていたライダーはどんどんボロボロになっていくけど、生きておるのか?
まあ、そんな事はどうでもいいんだけど、俺が英雄になった後隣に住んでいたエルフメイドがベッドの上では弱すぎる。
Resident Evil――選択すべき現実と異世界
鬼京雅
ファンタジー
2022年の年末。新宿に現実と異世界を行き来出来る「イセカイゲート」が現れた。そのイセカイゲートを巡り日本の人々はそれぞれの選択をし、大きく変化する。
※小説家になろうでも掲載中
彼女をイケメンに取られた俺が異世界帰り
あおアンドあお
ファンタジー
俺...光野朔夜(こうのさくや)には、大好きな彼女がいた。
しかし親の都合で遠くへと転校してしまった。
だが今は遠くの人と通信が出来る手段は多々ある。
その通信手段を使い、彼女と毎日連絡を取り合っていた。
―――そんな恋愛関係が続くこと、数ヶ月。
いつものように朝食を食べていると、母が母友から聞いたという話を
俺に教えてきた。
―――それは俺の彼女...海川恵美(うみかわめぐみ)の浮気情報だった。
「――――は!?」
俺は思わず、嘘だろうという声が口から洩れてしまう。
あいつが浮気してをいたなんて信じたくなかった。
だが残念ながら、母友の集まりで流れる情報はガセがない事で
有名だった。
恵美の浮気にショックを受けた俺は、未練が残らないようにと、
あいつとの連絡手段の全て絶ち切った。
恵美の浮気を聞かされ、一体どれだけの月日が流れただろうか?
時が経てば、少しずつあいつの事を忘れていくものだと思っていた。
―――だが、現実は厳しかった。
幾ら時が過ぎろうとも、未だに恵美の裏切りを忘れる事なんて
出来ずにいた。
......そんな日々が幾ばくか過ぎ去った、とある日。
―――――俺はトラックに跳ねられてしまった。
今度こそ良い人生を願いつつ、薄れゆく意識と共にまぶたを閉じていく。
......が、その瞬間、
突如と聞こえてくる大きな声にて、俺の消え入った意識は無理やり
引き戻されてしまう。
俺は目を開け、声の聞こえた方向を見ると、そこには美しい女性が
立っていた。
その女性にここはどこだと訊ねてみると、ニコッとした微笑みで
こう告げてくる。
―――ここは天国に近い場所、天界です。
そしてその女性は俺の顔を見て、続け様にこう言った。
―――ようこそ、天界に勇者様。
...と。
どうやら俺は、この女性...女神メリアーナの管轄する異世界に蔓延る
魔族の王、魔王を打ち倒す勇者として選ばれたらしい。
んなもん、無理無理と最初は断った。
だが、俺はふと考える。
「勇者となって使命に没頭すれば、恵美の事を忘れられるのでは!?」
そう思った俺は、女神様の嘆願を快く受諾する。
こうして俺は魔王の討伐の為、異世界へと旅立って行く。
―――それから、五年と数ヶ月後が流れた。
幾度の艱難辛苦を乗り越えた俺は、女神様の願いであった魔王の討伐に
見事成功し、女神様からの恩恵...『勇者』の力を保持したまま元の世界へと
帰還するのだった。
※小説家になろう様とツギクル様でも掲載中です。
全能で楽しく公爵家!!
山椒
ファンタジー
平凡な人生であることを自負し、それを受け入れていた二十四歳の男性が交通事故で若くして死んでしまった。
未練はあれど死を受け入れた男性は、転生できるのであれば二度目の人生も平凡でモブキャラのような人生を送りたいと思ったところ、魔神によって全能の力を与えられてしまう!
転生した先は望んだ地位とは程遠い公爵家の長男、アーサー・ランスロットとして生まれてしまった。
スローライフをしようにも公爵家でできるかどうかも怪しいが、のんびりと全能の力を発揮していく転生者の物語。
※少しだけ設定を変えているため、書き直し、設定を加えているリメイク版になっています。
※リメイク前まで投稿しているところまで書き直せたので、二章はかなりの速度で投稿していきます。
美しくも残酷な世界に花嫁(仮)として召喚されたようです~酒好きアラサーは食糧難の世界で庭を育てて煩悩のままに生活する
くみたろう
ファンタジー
いつもと変わらない日常が一変するのをただの会社員である芽依はその身をもって知った。
世界が違った、価値観が違った、常識が違った、何もかもが違った。
意味がわからなかったが悲観はしなかった。
花嫁だと言われ、その甘い香りが人外者を狂わすと言われても、芽依の周りは優しさに包まれている。
そばに居るのは巨大な蟻で、いつも優しく格好良く守ってくれる。
奴隷となった大好きな二人は本心から芽依を愛して側にいてくれる。
麗しい領主やその周りの人外者達も、話を聞いてくれる。
周りは酷く残酷な世界だけれども、芽依はたまにセクハラをして齧りつきながら穏やかに心を育み生きていく。
それはこの美しく清廉で、残酷でいておぞましい御伽噺の世界の中でも慈しみ育む人外者達や異世界の人間が芽依を育て守ってくれる。
お互いの常識や考えを擦り合わせ歩み寄り、等価交換を基盤とした世界の中で、優しさを育てて自分の居場所作りに励む。
全ては幸せな気持ちで大好きなお酒を飲む為であり、素敵な酒のつまみを開発する日々を送るためだ。
レディース異世界満喫禄
日の丸
ファンタジー
〇城県のレディース輝夜の総長篠原連は18才で死んでしまう。
その死に方があまりな死に方だったので運命神の1人に異世界におくられることに。
その世界で出会う仲間と様々な体験をたのしむ!!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる