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吉佐倉綾乃の独白 その1
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正直、最初は何の冗談かと思った。見ず知らずの女性から、
「お前は今、二百万倍に加速されてる」
とか言われても、当然、そんなことは信じられる訳ない。しかも、
「この男のハーレム要員だ」
なんて、もう、刑事告訴を決意したくらいだ。こっちはそれこそ冗談では済まされない。
いきなり、どこの誰とも分からない中年男性のハーレムに加われなんて、強要罪や暴行罪が適用されて然るべきだと思う。
だけど、当の男性の方も、その女性の悪質な<冗談>に振り回されてるだけだというのはすぐに分かって、少し、怒りはマシになった。
私は、男性には興味がない。
幼い頃からそうだった。最初は自分でも、単に男子はガサツで乱暴で汚くて臭くて常識が無くて良識が無くてデリカシーが無くて思い遣りの欠片もないから嫌いなだけなんだと思ってた。
でも、私が好きになる相手は必ず女性で、最初は幼稚園の同じ組の、お人形みたいな可愛らしい女の子だった。彼女の傍にいると胸がドキドキして、体が熱くなって、気持ちがあったかくなるのを感じた。
その子とは仲良しにはなれたけど、それ以上の進展はなく、彼女が親の都合で引っ越ししていってそれで終わった。
「てがみ、かくね」
って別れ際に言ってくれたけど、実際には一度も来なかった。思えばその子は、割と調子のいいことを言って、誰にでもいい顔をして、でもいつも口だけだったのが今なら分かる。
次に好きになったのは、小学校の担任の先生だった。まだ教師になりたてっていう若い女の先生で、慣れてないからか、時々、おたおたと慌ててしまうところを『カワイイ』と思った。
私はその先生の傍にいつもいるようにして、彼女の言うことは素直に従うようにして、<いい子アピール>をしてたのを覚えてる。気に入られようと必死だったんだろうな。
まだ教師になりたてで自信のなかった彼女には私の存在はとても励みになったらしい。お気に入りの生徒の一人になれて、可愛がってもらえたと思う。
でも、彼女は教師としては未熟過ぎた。私のことを気に入ったあまりに依怙贔屓するようになって、他の生徒、特に女子から毛嫌いされるようになり、わざと言うことを聞かなかったり、時には男子さえ一緒になって授業をボイコットしたりして、いわゆる<学級崩壊>状態になってしまった。
私は彼女の為に何とかクラスの子達に言うことを聞かせようと頑張ったけど、私がそうすればするほど彼女への風当たりが強くなり、そしてある日を境に、彼女は学校に来なくなった。
そして、クラスのほぼ全員から、私は無視されるようになったのだった。
「お前は今、二百万倍に加速されてる」
とか言われても、当然、そんなことは信じられる訳ない。しかも、
「この男のハーレム要員だ」
なんて、もう、刑事告訴を決意したくらいだ。こっちはそれこそ冗談では済まされない。
いきなり、どこの誰とも分からない中年男性のハーレムに加われなんて、強要罪や暴行罪が適用されて然るべきだと思う。
だけど、当の男性の方も、その女性の悪質な<冗談>に振り回されてるだけだというのはすぐに分かって、少し、怒りはマシになった。
私は、男性には興味がない。
幼い頃からそうだった。最初は自分でも、単に男子はガサツで乱暴で汚くて臭くて常識が無くて良識が無くてデリカシーが無くて思い遣りの欠片もないから嫌いなだけなんだと思ってた。
でも、私が好きになる相手は必ず女性で、最初は幼稚園の同じ組の、お人形みたいな可愛らしい女の子だった。彼女の傍にいると胸がドキドキして、体が熱くなって、気持ちがあったかくなるのを感じた。
その子とは仲良しにはなれたけど、それ以上の進展はなく、彼女が親の都合で引っ越ししていってそれで終わった。
「てがみ、かくね」
って別れ際に言ってくれたけど、実際には一度も来なかった。思えばその子は、割と調子のいいことを言って、誰にでもいい顔をして、でもいつも口だけだったのが今なら分かる。
次に好きになったのは、小学校の担任の先生だった。まだ教師になりたてっていう若い女の先生で、慣れてないからか、時々、おたおたと慌ててしまうところを『カワイイ』と思った。
私はその先生の傍にいつもいるようにして、彼女の言うことは素直に従うようにして、<いい子アピール>をしてたのを覚えてる。気に入られようと必死だったんだろうな。
まだ教師になりたてで自信のなかった彼女には私の存在はとても励みになったらしい。お気に入りの生徒の一人になれて、可愛がってもらえたと思う。
でも、彼女は教師としては未熟過ぎた。私のことを気に入ったあまりに依怙贔屓するようになって、他の生徒、特に女子から毛嫌いされるようになり、わざと言うことを聞かなかったり、時には男子さえ一緒になって授業をボイコットしたりして、いわゆる<学級崩壊>状態になってしまった。
私は彼女の為に何とかクラスの子達に言うことを聞かせようと頑張ったけど、私がそうすればするほど彼女への風当たりが強くなり、そしてある日を境に、彼女は学校に来なくなった。
そして、クラスのほぼ全員から、私は無視されるようになったのだった。
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