我が娘が風呂上りにマッパで薄暗い部屋でPCの画面を見ながら不気味な笑い声を上げてるんだが?

京衛武百十

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ぜんぜんちゃんとしてない

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この時の私は、たぶん、<幼児退行>を起こしてたんだと思う。認めたくない現実から逃避したくて。

それで言うと、観音かのんの方がよっぽどしっかりしてたよね。

でも、満足に働かない頭でも、仮にも私が親だからさ。諸々の手続きとかは、やれるだけはやったよ。やったつもり。

実際には、ダンナがほとんどやってたけどさ……



そして後日また、今後の治療方針を聞いたり現状の再確認のために再度病院を訪れた。そこで、

「ご主人の場合、余命は三ヶ月です」

って告げられた。

「三ヶ月……」

呟いた私に、医師は、淡々と続ける。

「はい。ですがこれは、『三ヶ月後に亡くなる』という意味ではありません。これまでの症例から導き出された、あくまで<平均値>でしかないんです。これより短い場合もあれば、何年も生きた患者もいらっしゃいますし。この段階から完解なさった事例もあります。ですので、『三ヶ月で亡くなる』とは考えず、克服を目指しましょう。我々もそのために努力をします」

って。

「よろしくお願いします」

ダンナは頭を下げてた。私は、

「はい……」

としか言えなかったし、観音かのんはそれこそ一言もなかった。



こうしてダンナの抗がん剤治療が始まることになった。基本的には通院で、抗がん剤を投与する時には入院する形かな。仕事も、出来る限りは続けるって。

しかも、経済的な点ではダンナがガン保険に入っていてくれたことで影響はそれほどじゃなかった。

手続きも何もかも、彼が全部やってくれた。そしてこのことで分かったんだけど、ダンナが私の分のガン保険まで入ってくれてたんだ。

それで思い知らされた。私は<大人>としてぜんぜんちゃんとしてないってことを。こんなんじゃ、それこそ観音かのんに偉そうにできないよね。偉そうにしてこなくてよかった。もしそんな風にしてたら、間違いなく軽蔑されてたと思う。

大人だって完璧じゃない。いい加減なところもあるし、ダメダメなところもある。そういうところも含めて相手を<一人の人間>として認めて敬う必要があるんだって改めて感じた。

『ダメなところがあったら見下していい』

なんて考えてたら、それは自分に返ってくる。人間は誰も<完璧>にはなれないからね。

『ダメなところがあったら見下していい』なんて考えてたら、ダメなところを見抜かれた時に見下されても当然だよね。

私は、観音かのんにそうなってほしくないから、偉そうにしなかったんだ。

皮肉な話だけど、それが、私自身に返ってきたということだ……

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