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<友達>じゃなくて、<仲間>

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そうだよ。他人に迷惑を掛けることで自分のストレスを転嫁して押し付けてってしてる人がどうして世の中にはこんなに多いの?

それは『ストレスに耐えてる』って言えるの? 私にはとてもそうは思えない。

もしかしたらそれを『ストレスに耐えてる』って言い張る人もいるかもしれないけど、他人にストレスを転嫁して押し付けて迷惑を掛けることを『ストレスに耐える』って言うのなら、<ストレス耐性>ってなんなの?

『他人にいかに効率よく迷惑を掛け、自分のストレスを転嫁し押し付けるか』

ってことなの?

なにそれ、最悪!

<ストレス耐性>ってのがそういう意味なら、そんな言葉、なくなってしまえばいいと思う。

そんな言葉がなくなっても、私達はまったく困らないから。

私達のストレス対処法は、そういうのと全く違うから。



私達が家でひっどい姿でいるのは、それ自体がストレス解消法なんだよね。家でひたすらだらしない格好で寛ぐことで、ストレスを霧散させるんだ。その上で、お互いに労って、癒すんだ。

家でだらしなく自分を曝け出して寛げるから、外でストレスを溜めた上に家でもストレスを溜めることがない。だから他人に転嫁して押し付ける必要がない。

結局、そういうことなんだ。

家でも完璧な余所行きの格好を強要するような人とは結婚どころか関わりたくもないよ。

そんな人と関わったって、私が欲しいものは得られないだろうな。何かを得られるとしても、別に欲しいとも思わない。

お金は今でも必要なだけある。家で三人でいられれば、後はたまに温泉にでも行ければ十分。



「というわけで、温泉に来ました」

観音かのんの春休みに、三人で泊りがけで温泉に来た。

ダンナの伝手つてで。

「こいつは坂口。高校の時からの縁でね。<友達>というほどでもないんだが、不思議と気が合うんだ」

「よろしく」

ダンナがそう言って宿の主人を紹介してくれて、坂口さんも気さくな感じで笑ってた。見た目は本当に印象の薄いこれといって特徴のない<普通のおじさん>だけど。

でも、部屋に案内されて三人だけになると、観音かのんが、

「あんなに仲良さそうなのに、友達じゃないの?」

ダンナに尋ねる。友達の数が少ないことがまだ引っかかってるんだろうな。

そんな観音かのんに、ダンナは、

「ああ、あいつとは、友達とかそういう付き合いじゃないな。どちらかと言えば、<仲間>という印象か。一時期、<地学>にはまってたんだ。その頃に、一緒に地層の調査とかをしててね。温泉に詳しくなったのもそれがきっかけだったな」

穏やかに応えてた。

<友達>じゃなくて、<仲間>、か……

なんか、分かる気がする。<友達>って言っちゃうと、しっくりこないんだろうな。

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