我が娘が風呂上りにマッパで薄暗い部屋でPCの画面を見ながら不気味な笑い声を上げてるんだが?

京衛武百十

文字の大きさ
61 / 92

ムシのいい話には容赦はない

しおりを挟む
観音かのんは言うんだよ。

「お父さんがお母さんの悪口を言ってるとこって、私、聞いた覚えがないんだ。お父さんはね。お母さんのいいところばっかり教えてくれる。

そうだね。『化粧が上手で仕事の時にはすっごい美人になる』とか、『お母さんはお父さんよりもずっと才能があってすごい人なんだ』とか、『周りの人はお母さんのことを<性格のキツい人>みたいに言うけど、実はドジなところがあって可愛いんだよ』とか、『お父さんの前では弱音も吐く、可愛い人なんだ』とか、褒めんの。

逆に、『お母さんは観音かのんを捨てて逃げた酷い母親だ』とか、『観音かのんを自分に押し付けていった』とか、『観音かのんの養育費を一銭も払わない』とかは、一度も聞いたことがない。

それをお父さんは、『だってお父さんは、お母さんのことを愛してるから結婚したし、観音かのんを生んでもらったんだ。お母さんが『家事ができない』とか『母親に向いてない』とかなんて、お父さんは結婚する前から知ってたよ』だってさ。

あと、『だから、お母さんが仕事を取っても、観音かのんには幸せになってほしいからお父さんは努力するんだ。お母さんを選んだのはお父さんで、観音かのんが選んだんじゃないからね』とも言ってたな。

だから私も、お母さんのことは恨んでるけど、それだけなんだ。『お母さんに不幸になってほしい』とか『お母さんに復讐したい』とかは思わない。そんなことする理由がない。お母さんはお母さんで、私じゃないもん。私はお母さんみたいにはなりたくないけど、お母さんだって私みたいにはなれないと思う。

私とお母さんは、<別の人>なんだよ。血が繋がってるだけのさ」

ってね。

勝手に自分を生んでおいて捨てて逃げた母親なのに、そんな風に言えるのは、観音かのん自身が満たされてるからだと思う。

人間だから誰も完璧にはなれない。仕事では才能溢れるスーパーな人だったお母さんも、<母親>として駄目な人だった。そういう事実を受け止められるように、ダンナは彼女と接してきたんだ。

『相手を一人の人間として認める』

ってことを、観音かのんに見せてきてくれたんだ。

それがあるから、彼女は、自分にとって都合の悪い人のことも、本気で『死ねばいいのに』みたいには言わないんだ。

小学校の頃、彼女をしつこくからかってきた男子のことは二十歳になった今でも嫌ってるけど、それでも、復讐とかは考えてない。

その代わり、もし、あの男子が、

観音かのんのことを実は好きだったからしつこくからかってただけ』

だったとしても、恋愛もののアニメみたいに、その男子の<ウブな想い>を認めたりはしない。

『勝手に生きてくれたらいいけど、自分とは関わってほしくないし、受け入れない』

ってことなんだよね。

『好きだからからかってた』

なんてそんなムシのいい話には容赦はないんだよ。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

とある男の包〇治療体験記

moz34
エッセイ・ノンフィクション
手術の体験記

『続・聖パラダイス病院』

菊池昭仁
現代文学
『聖パラダイス病院』の続編です。こんな病院なら入院生活も悪くはありません。

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…

しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。 高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。 数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。 そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。

true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。 それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。 これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。 日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。 彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。 ※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。 ※内部進行完結済みです。毎日連載です。

処理中です...