上 下
53 / 92

自分の思い通りにならないこの世を悲観せずに

しおりを挟む
世の中には、ゲームの勝ち負けをきっかけに殺人事件にまで至ったとか自分の家に放火してしまったとか何ていうことも実際にあったりした。

そこまでじゃなくても、店員の態度が気に入らないとか 、アニメの展開が自分の好みに合わなかったとか、本当に些細な理由で他人を傷付けようとする人がいる。

私はそれが悲しい。『自分の思い通りにならない』なんてこの世に生きる限りは当たり前のことなのにそれを受け止めることもできないとか、そんなだから『生き難い』って感じるんじゃないのかな。

自分の思い通りにならないのが、本来は当然なんだよ。それが普通なんだよ。

『自分は気遣ってもらえないのに、他人は気遣ってもらえてる』

『自分は助けてもらえないのに、他人は助けてもらえてる』

そんなことが起こるのも、当たり前なんだ。それを妬んで、恨んで、ネットで恨み言を並べたって、自分が上手くいくわけじゃないんだよ。

観音かのんだって、実の母親に捨てられるみたいな、とても辛い経験をしてきてる。そんな経験をした上で、そういうこともあるって分かってくれている。

彼女がどうしてそれを分かるのか、すぐそばでずっと見てきて、実感できた。

結局、彼女をこの世界に送り出したもう一人の張本人である実の父親が、彼女の事をしっかりと受け止めてくれているからだ。彼女がこの世に来たことを、彼女をこの世に送り出した張本人の一人がしっかりと認めてくれているからだ。その上で、シッターさんやヘルパーさんが、彼女を気遣ってくれている。

この事実が、観音かのんに精神的な余裕をもたらしてくれているんだ。

自分の思い通りにいかないことも、受け止めることができるようになっているんだ。

そして、観音かのんが受け止めてくれるから、五月も真凛も彼女のことが好きで、彼女を受け止めようとしてくれるんだ。

『この世は自分の思うようにはいかない』

皮肉なことに、その事実を受け止められることが、結果として、精神の安定に繋がるんだな。

だって自分の思い通りにいかないのが当たり前なんだから。何か一つ自分の思い通りになったとしても、それ以外は全くというのが、当たり前なんだよ。

私も、こうして彼女やダンナと家族にはなれたけど、相変わらず園では、園児達や保護者に振り回されたりするというのは、日常茶飯時だ。

そのことについて『疲れるなあ』と思ってしまうのも、いつものことだ。

そんな私を、観音かのんやダンナは受け止めてくれる。労ってくれる。癒してくれる。

それがあるから、私は、自分の思い通りにならないこの世を悲観せずにいられてるんだ。

キレたりせずにすんでるんだ 。

だから私も、観音かのんやダンナのことを受け止めて、労って、癒してあげたいと思うんだ。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

騎士団寮のシングルマザー

古森きり
恋愛
夫と離婚し、実家へ帰る駅への道。 突然突っ込んできた車に死を覚悟した歩美。 しかし、目を覚ますとそこは森の中。 異世界に聖女として召喚された幼い娘、真美の為に、歩美の奮闘が今、始まる! ……と、意気込んだものの全く家事が出来ない歩美の明日はどっちだ!? ※ノベルアップ+様(読み直し改稿ナッシング先行公開)にも掲載しましたが、カクヨムさん(は改稿・完結済みです)、小説家になろうさん、アルファポリスさんは改稿したものを掲載しています。 ※割と鬱展開多いのでご注意ください。作者はあんまり鬱展開だと思ってませんけども。

蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる

フルーツパフェ
大衆娯楽
 転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。  一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。  そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!  寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。 ――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです  そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。  大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。  相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。      

妻がヌードモデルになる日

矢木羽研
大衆娯楽
男性画家のヌードモデルになりたい。妻にそう切り出された夫の動揺と受容を書いてみました。

派手な我が子

こぐま
現代文学
派手なファッションが好きな息子。 そして、その息子がご近所さんから笑い者にされて 悩むお母さんの物語です。

小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話

矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」 「あら、いいのかしら」 夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……? 微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。 ※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。 ※小説家になろうでも同内容で投稿しています。 ※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。

若妻の穴を堪能する夫の話

かめのこたろう
現代文学
内容は題名の通りです。

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

処理中です...