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ロボット花嫁、アリシアのブライダル狂騒曲
ジョン・牧紫栗、何もできない
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「FREEEZE!!」
『動くな!』と命じられはしたものの、その時点でもう、ジョン・牧紫栗は満足に動くこともできなかった。
肥土達が家の外壁に設置していたのは、人間の耳では普通は聞こえない周波数の音を出す装置で、しかしその一つ一つが、可聴域のそれに直すと百五十デシベル以上の大音響を発するものであり、そんなもので四方から取り囲まれ、しかもジョン・牧紫栗がいた位置で最も影響が強くなるように仕掛けられたのだから、生身の人体などひとたまりもない。一瞬で身体機能に異常をきたし、昏倒する。<音響兵器>の一種だ。
実はこの時、周囲の家でも窓や家具がビリビリと振動するということがあった。とは言え数秒程度の時間だったために、最悪でも少し気分が悪くなる程度ではある。また、犬などの動物も怯えたりひどく興奮したりしたが、逆に鎮静作用のある音が流されてすぐにおとなしくなった。
などという事態もありつつ、電脳端子を通して機能抑制のための信号を直接送り込まれたこともあり、ジョン・牧紫栗は突入からわずか三秒で完全に鎮圧・無力化された。本気の特殊部隊を相手にすればこんなものなのだ。
ましてやニューオクラホマ市でサーペントが<人類の夜明け戦線R(リベンジ)>に対して行った作戦と違い準備も万全に行えたのだから、この結果はむしろ当然である。
こうして、肥土達が現場に到着してからでさえたったの二分足らずですべてが終了。周辺の住人達はそのような<捕り物>が行われていたことさえまったく気付くことなく、一部の感覚の鋭い者は、
「なんか、変な感じがする……」
などと違和感も覚えつつその正体を知らずに終わってしまったのだった。
『クソッ!! クソッ!! なんなんだ! なんなんだよこれは!?』
拘束具に包まれ猿轡をかまされ目隠しをされ耳も塞がれた牧紫栗は、異常事態に対してまったく何をすることもできずただモゴモゴと呻るだけだった。
ご自慢の電脳も一切、どこにも繋がらない。ネットワークから完全に遮断されているからだ。何も見えず、何も聞こえず、しゃべることもできず、牧紫栗は慄いた。このまま殺されるとしても、小指一本満足に動かすこともできずに抵抗を試みることさえ叶わないのだ。憤りと共に途轍もない恐怖ものしかかってくる。
『なんだよこれは!! 弁護士だ!! 弁護士を呼ばせろ!!』
いくら喚いてもそれは言葉にならない。肥土達も耳を貸さない。万が一を考えてバイタルサインだけはしっかりと確認しているものの、命に関わるような異常でもない限りは何もしないし、あとは鎮静剤を投与し眠らせた状態でJAPAN-2郊外の基地まで移送するだけである。
そこで改めて警察に引き渡すのだ。
『動くな!』と命じられはしたものの、その時点でもう、ジョン・牧紫栗は満足に動くこともできなかった。
肥土達が家の外壁に設置していたのは、人間の耳では普通は聞こえない周波数の音を出す装置で、しかしその一つ一つが、可聴域のそれに直すと百五十デシベル以上の大音響を発するものであり、そんなもので四方から取り囲まれ、しかもジョン・牧紫栗がいた位置で最も影響が強くなるように仕掛けられたのだから、生身の人体などひとたまりもない。一瞬で身体機能に異常をきたし、昏倒する。<音響兵器>の一種だ。
実はこの時、周囲の家でも窓や家具がビリビリと振動するということがあった。とは言え数秒程度の時間だったために、最悪でも少し気分が悪くなる程度ではある。また、犬などの動物も怯えたりひどく興奮したりしたが、逆に鎮静作用のある音が流されてすぐにおとなしくなった。
などという事態もありつつ、電脳端子を通して機能抑制のための信号を直接送り込まれたこともあり、ジョン・牧紫栗は突入からわずか三秒で完全に鎮圧・無力化された。本気の特殊部隊を相手にすればこんなものなのだ。
ましてやニューオクラホマ市でサーペントが<人類の夜明け戦線R(リベンジ)>に対して行った作戦と違い準備も万全に行えたのだから、この結果はむしろ当然である。
こうして、肥土達が現場に到着してからでさえたったの二分足らずですべてが終了。周辺の住人達はそのような<捕り物>が行われていたことさえまったく気付くことなく、一部の感覚の鋭い者は、
「なんか、変な感じがする……」
などと違和感も覚えつつその正体を知らずに終わってしまったのだった。
『クソッ!! クソッ!! なんなんだ! なんなんだよこれは!?』
拘束具に包まれ猿轡をかまされ目隠しをされ耳も塞がれた牧紫栗は、異常事態に対してまったく何をすることもできずただモゴモゴと呻るだけだった。
ご自慢の電脳も一切、どこにも繋がらない。ネットワークから完全に遮断されているからだ。何も見えず、何も聞こえず、しゃべることもできず、牧紫栗は慄いた。このまま殺されるとしても、小指一本満足に動かすこともできずに抵抗を試みることさえ叶わないのだ。憤りと共に途轍もない恐怖ものしかかってくる。
『なんだよこれは!! 弁護士だ!! 弁護士を呼ばせろ!!』
いくら喚いてもそれは言葉にならない。肥土達も耳を貸さない。万が一を考えてバイタルサインだけはしっかりと確認しているものの、命に関わるような異常でもない限りは何もしないし、あとは鎮静剤を投与し眠らせた状態でJAPAN-2郊外の基地まで移送するだけである。
そこで改めて警察に引き渡すのだ。
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