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ロボットドクター、アリシアのドタバタ診療日誌
間倉井好羽、最後まで一筋縄ではいかない
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こうして、好羽の通夜と葬儀は、滞りなく、それでいてどこか賑々しく終わり、住人達に見送られ出棺。集落とは山を挟んで反対側にある火葬場へと運ばれて火葬が行われた。
それには、森厳とレティシアが、親族の代わりとして付き添い、収骨も行う。
高齢者が火葬されるとほとんどが細かく砕けてしまうことが多いものの、好羽のそれは、本人の頑固さを物語るかのように大きなものがいくつも残り、係員が専用の槌で細かく砕くことで骨壺に納める羽目になったりもした。
「まったく。最後まで一筋縄ではいかん奴だ」
「本当ですね」
森厳とレティシアはそう言って苦笑する。しかしそれも何とか終えて、ようやく好羽の自宅へと帰った。
最後は久美が遺骨を受け取り、自宅リビングに一時安置される。四十九日を終えると、生前にあらかじめ好羽自身が用意してあった墓に納められることになる。
ちなみに、JAPAN-2を含めた都市部では、管理のしやすさ墓参のしやすさもあって、一見するとテナントビルのような集合住宅式の墓地が今では多く選ばれるという。清掃自体、運営会社の方で行ってくれるため、遺族は墓参だけで済むという負担の少なさが大きなメリットだった。
ただ、明帆野では、自動車ならどこからでも十数分で済み、大まかな掃除についてはやはり管理者が行ってくれる霊園があるので、皆、そこに設けられた墓に入る。
かつては管理の大変さから遺族も足が遠のきがちになり、やがて無縁仏化する墓の問題が取り沙汰されたりもしたものの、集合住宅式の墓地などの普及と、墓地そのものが一つのロボットになっており管理が行き届いているものがほとんどになったことで、それらの問題は縮小した。
誰も訪れなくなった墓は小さく収納されて整理され、空いたスペースは新たに墓として利用されるのだ。しかしあくまで圧縮収納されているだけなので、また子孫が尋ねてくるようになれば新たにスペースを確保し復帰させることもできる。
『死んだ者にリソースを割くのは不合理だ』
と考える者の合理性と、
『あとに残された者の心の拠り所として必要だ』
と考える者の心情の双方を考慮した結果と言えるだろう。
その点、明帆野に備えられた霊園は、従来の、<墓>と言われれば誰もが思い浮かべるようなものそのものであった。管理者も、明帆野に住む人間である。
好羽も、いずれはそこに収まることになるわけだ。
なお、秀青は、翌朝、明帆野荘を出てすぐに斎場に立ち寄って弔問を済ませ、そのまま港に向かって定期便のフローティングバスに乗って、明帆野を後にした。
明帆野荘を発つ時、見送りに立った美月と訓臣に、
「ここはいいところですね。生き物も豊富だ。いずれまた、今回の補足調査のために訪れることもあると思います。その時にはよろしくお願いします」
と、美月の親身かつ丁寧な接客に感心し満足感を覚えつつ、そう告げたのであった。
それには、森厳とレティシアが、親族の代わりとして付き添い、収骨も行う。
高齢者が火葬されるとほとんどが細かく砕けてしまうことが多いものの、好羽のそれは、本人の頑固さを物語るかのように大きなものがいくつも残り、係員が専用の槌で細かく砕くことで骨壺に納める羽目になったりもした。
「まったく。最後まで一筋縄ではいかん奴だ」
「本当ですね」
森厳とレティシアはそう言って苦笑する。しかしそれも何とか終えて、ようやく好羽の自宅へと帰った。
最後は久美が遺骨を受け取り、自宅リビングに一時安置される。四十九日を終えると、生前にあらかじめ好羽自身が用意してあった墓に納められることになる。
ちなみに、JAPAN-2を含めた都市部では、管理のしやすさ墓参のしやすさもあって、一見するとテナントビルのような集合住宅式の墓地が今では多く選ばれるという。清掃自体、運営会社の方で行ってくれるため、遺族は墓参だけで済むという負担の少なさが大きなメリットだった。
ただ、明帆野では、自動車ならどこからでも十数分で済み、大まかな掃除についてはやはり管理者が行ってくれる霊園があるので、皆、そこに設けられた墓に入る。
かつては管理の大変さから遺族も足が遠のきがちになり、やがて無縁仏化する墓の問題が取り沙汰されたりもしたものの、集合住宅式の墓地などの普及と、墓地そのものが一つのロボットになっており管理が行き届いているものがほとんどになったことで、それらの問題は縮小した。
誰も訪れなくなった墓は小さく収納されて整理され、空いたスペースは新たに墓として利用されるのだ。しかしあくまで圧縮収納されているだけなので、また子孫が尋ねてくるようになれば新たにスペースを確保し復帰させることもできる。
『死んだ者にリソースを割くのは不合理だ』
と考える者の合理性と、
『あとに残された者の心の拠り所として必要だ』
と考える者の心情の双方を考慮した結果と言えるだろう。
その点、明帆野に備えられた霊園は、従来の、<墓>と言われれば誰もが思い浮かべるようなものそのものであった。管理者も、明帆野に住む人間である。
好羽も、いずれはそこに収まることになるわけだ。
なお、秀青は、翌朝、明帆野荘を出てすぐに斎場に立ち寄って弔問を済ませ、そのまま港に向かって定期便のフローティングバスに乗って、明帆野を後にした。
明帆野荘を発つ時、見送りに立った美月と訓臣に、
「ここはいいところですね。生き物も豊富だ。いずれまた、今回の補足調査のために訪れることもあると思います。その時にはよろしくお願いします」
と、美月の親身かつ丁寧な接客に感心し満足感を覚えつつ、そう告げたのであった。
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