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ロボット忍者、アリシアの街角忍法帳
元軍人の男、勝利を確信する
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<元軍人の男>が、サーペントの隊員に一泡吹かせてやろうと賭けに出た一撃だったが、
『もらった!』
とつい思ってしまったが、しかし、彼がフルオートで放った弾丸は、一発も届かなかった。『狙いが逸れた』のではない。『届かなかった』のだ。彼とサーペントの隊員との間に、突然、障害物が現れ、それがすべての弾丸を受け止めてしまったのである。
「なんだ……っ!?」
ついそう声を出してしまった<元軍人の男>だったが、その<障害物>を完全に把握することはできなかった。弾丸を受け止めたその次の瞬間には、姿が見えなくなってしまったからである。ただ、人間のような姿をしていたことだけは分かった。
人間のような姿をしていて、四十五口径の弾丸数発を受け止めて、そのまままた姿を隠す。
そんな芸当ができるのは他にはいない。
<要人警護仕様のメイトギア>
だ。要人警護仕様のメイトギアがいずこからか現れてサーペントの隊員を庇い、また姿を消したのだ。
「くそがあっ!!」
それまで冷静だった<元軍人の男>が、あからさまに苛立った様子を見せた。他でもないロボットが自分の邪魔をしたのだから、無理もないかもしれないが。
しかし、その隙を見逃してくれるほど、サーペントの隊員も素人ではなかった。拳銃を持っていた右腕に数発の銃弾を受け、<元軍人の男>は、
「があっ!!」
と悲鳴を上げてしまう。さらに今度はテイザー銃で撃たれ、思い切り酷い<こむら返り>を生じたかのように体中の筋肉が強度に収縮。まったく身動きが取れなくなってしまった。
すかさずサーペントの隊員は<元軍人の男>に駆け寄り拳銃を蹴飛ばし専用の拘束具を使ってたちまち拘束した上で、負傷した右腕の応急処置を行ってやった。
これできちんと治療を受ければ右腕もほぼ後遺症もなく完治するだろう。その程度には医療も発達している。
『……それにしても、さっきのは……』
<元軍人の男>を完全に拘束して無力化したのを確かめて、サーペントの隊員は自分を庇うように現れたメイトギアが去った方向を見た。
装備しているゴーグルはその映像も確実に捉え、おおよその機種も判別できたが、それにしても奇妙な動きだと感じていた。メイトギアの機能として自分を庇ってくれたのだとしても、それだけならこんなに急いで立ち去る必要もない。
しかも、監視のドローンさえ、その姿を見失ってしまった。ドローンの索敵能力をよく理解して、センサーでは捉えられない場所に駆け込んだのが分かる動きなのだ。
そんなことをしなければいけない理由が分からなかったのだった。
『もらった!』
とつい思ってしまったが、しかし、彼がフルオートで放った弾丸は、一発も届かなかった。『狙いが逸れた』のではない。『届かなかった』のだ。彼とサーペントの隊員との間に、突然、障害物が現れ、それがすべての弾丸を受け止めてしまったのである。
「なんだ……っ!?」
ついそう声を出してしまった<元軍人の男>だったが、その<障害物>を完全に把握することはできなかった。弾丸を受け止めたその次の瞬間には、姿が見えなくなってしまったからである。ただ、人間のような姿をしていたことだけは分かった。
人間のような姿をしていて、四十五口径の弾丸数発を受け止めて、そのまままた姿を隠す。
そんな芸当ができるのは他にはいない。
<要人警護仕様のメイトギア>
だ。要人警護仕様のメイトギアがいずこからか現れてサーペントの隊員を庇い、また姿を消したのだ。
「くそがあっ!!」
それまで冷静だった<元軍人の男>が、あからさまに苛立った様子を見せた。他でもないロボットが自分の邪魔をしたのだから、無理もないかもしれないが。
しかし、その隙を見逃してくれるほど、サーペントの隊員も素人ではなかった。拳銃を持っていた右腕に数発の銃弾を受け、<元軍人の男>は、
「があっ!!」
と悲鳴を上げてしまう。さらに今度はテイザー銃で撃たれ、思い切り酷い<こむら返り>を生じたかのように体中の筋肉が強度に収縮。まったく身動きが取れなくなってしまった。
すかさずサーペントの隊員は<元軍人の男>に駆け寄り拳銃を蹴飛ばし専用の拘束具を使ってたちまち拘束した上で、負傷した右腕の応急処置を行ってやった。
これできちんと治療を受ければ右腕もほぼ後遺症もなく完治するだろう。その程度には医療も発達している。
『……それにしても、さっきのは……』
<元軍人の男>を完全に拘束して無力化したのを確かめて、サーペントの隊員は自分を庇うように現れたメイトギアが去った方向を見た。
装備しているゴーグルはその映像も確実に捉え、おおよその機種も判別できたが、それにしても奇妙な動きだと感じていた。メイトギアの機能として自分を庇ってくれたのだとしても、それだけならこんなに急いで立ち去る必要もない。
しかも、監視のドローンさえ、その姿を見失ってしまった。ドローンの索敵能力をよく理解して、センサーでは捉えられない場所に駆け込んだのが分かる動きなのだ。
そんなことをしなければいけない理由が分からなかったのだった。
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