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ロボット忍者、アリシアの街角忍法帳
岩丸ゆかりを抱え上げ拉致した男、歓声を上げる
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サーペントによる作戦が進行する中、<人類の夜明け戦線R(リベンジ)>の主要メンバーの一人である、<岩丸ゆかりを抱え上げ拉致した男>は、混乱する市内を映し出したニュース映像を見てほくそえんでいた。
特に、レイバーギアらロボットが対応に追われ右に左にと走り回っている光景に、
「見ろよ、傑作だぜ!」
歪んだ笑みを浮かべながら仲間と盛り上がる。
実は男は、大手ネットワーク関連企業の重役を務める両親の長男であった。幼い頃から経済的には恵まれた家庭で何不自由なく育ち、両親からも大きな期待を寄せられていたのだという。
本人も、デジタルガジェットに精通し、実は今回の計画に用いられた各種端末の改造にも深く関わっていた。そして、自分らが組み上げたそれの性能に自信も持っていた。
しかし、その時、男の端末に着信が。しかも、知らない端末から。
「!!」
それを見た男の表情が強張る。この端末は、彼自身が改造を施し、いくつもの欺瞞工作を行っていることで、特定の端末からしか探知できず連絡も取れない仕様になっていたからである。
「……誰だ…?」
訝し気に通話ボタンを押しつつ男が問い掛けると、画面には、珍妙なマスクを着けフードを目深に被った人物の姿が映し出された。そのマスクは<あるアニメのキャラクターの面>だったのだが、男はそのアニメを知らなかったので、奇異な印象しか受けなかったようだ。だが、
「お前か……」
男は少しホッとした様子も見せながらも、同時に、
「お前、なんでこの端末にアクセスできた……?」
と、改めて険しい表情で画面の中の人物に問い掛ける。するとその人物は、
「あんたが散々、自分の技術を自慢してたからな。どの程度のものか試させてもらってたんだよ。でも、<穴>があった。俺がこうしてアクセスできたのがその証拠だ。たぶん、体制の犬共もすぐに気付くぞ。気を付けるんだな。これは、一緒に仕事をしたよしみの忠告だ。俺もこれから高飛びする。もう会うこともないだろうが、幸運を祈ってるよ」
明らかに加工された声でそう告げて、一方的に通信を切った。それは、今回の計画に必要な準備をするために雇った<技術者>であった。そして通信が切られたと同時に、
「おい! お前ら! 今すぐここをズラかるぞ!!」
と、<岩丸ゆかりを抱え上げ拉致した男>は声を上げた。
「は?」
「お前、何言って……」
仲間達が咄嗟に理解できず戸惑っていると、男は躊躇なくそれを見限り、身に付けていた端末すべてをその場に放り出して部屋を出ていったのだった。
特に、レイバーギアらロボットが対応に追われ右に左にと走り回っている光景に、
「見ろよ、傑作だぜ!」
歪んだ笑みを浮かべながら仲間と盛り上がる。
実は男は、大手ネットワーク関連企業の重役を務める両親の長男であった。幼い頃から経済的には恵まれた家庭で何不自由なく育ち、両親からも大きな期待を寄せられていたのだという。
本人も、デジタルガジェットに精通し、実は今回の計画に用いられた各種端末の改造にも深く関わっていた。そして、自分らが組み上げたそれの性能に自信も持っていた。
しかし、その時、男の端末に着信が。しかも、知らない端末から。
「!!」
それを見た男の表情が強張る。この端末は、彼自身が改造を施し、いくつもの欺瞞工作を行っていることで、特定の端末からしか探知できず連絡も取れない仕様になっていたからである。
「……誰だ…?」
訝し気に通話ボタンを押しつつ男が問い掛けると、画面には、珍妙なマスクを着けフードを目深に被った人物の姿が映し出された。そのマスクは<あるアニメのキャラクターの面>だったのだが、男はそのアニメを知らなかったので、奇異な印象しか受けなかったようだ。だが、
「お前か……」
男は少しホッとした様子も見せながらも、同時に、
「お前、なんでこの端末にアクセスできた……?」
と、改めて険しい表情で画面の中の人物に問い掛ける。するとその人物は、
「あんたが散々、自分の技術を自慢してたからな。どの程度のものか試させてもらってたんだよ。でも、<穴>があった。俺がこうしてアクセスできたのがその証拠だ。たぶん、体制の犬共もすぐに気付くぞ。気を付けるんだな。これは、一緒に仕事をしたよしみの忠告だ。俺もこれから高飛びする。もう会うこともないだろうが、幸運を祈ってるよ」
明らかに加工された声でそう告げて、一方的に通信を切った。それは、今回の計画に必要な準備をするために雇った<技術者>であった。そして通信が切られたと同時に、
「おい! お前ら! 今すぐここをズラかるぞ!!」
と、<岩丸ゆかりを抱え上げ拉致した男>は声を上げた。
「は?」
「お前、何言って……」
仲間達が咄嗟に理解できず戸惑っていると、男は躊躇なくそれを見限り、身に付けていた端末すべてをその場に放り出して部屋を出ていったのだった。
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