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ロボット忍者、アリシアの街角忍法帳
ブービートラップ、作動する
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こうして<柔術使いの男>が拘束されて連れ去られたことも、<人類の夜明け戦線R(リベンジ)は気付かなかった。
そして、
「そっちの様子はどうだ?」
老朽化したビルの最上階の灯の点いていない一室でカップラーメンを啜っていた男の脇にあるテーブルに置かれていた携帯端末からそう声がすると、男は、窓から階下を見下ろしつつ、
「異常ありあせ~ん」
面倒臭そうにそう応えた。この男も<人類の夜明け戦線R(リベンジ)>のメンバーだった。
と、男が『異常ありあせ~ん』と応えた直後、男がいる部屋に繋がる廊下で、
「ガガガンッ!」
と音がした。物音の正体は、ボウガンの矢が壁に刺さったそれだった。ボウガンの矢が、三本、壁に突き刺さっていたのだ。
よく見れば、廊下のあちこちに、<ピストルクロスボウ>と呼ばれる、拳銃型の小型クロスボウが設置されているのが分かる。その一部が作動したようだ。
それは、腕時計型の携帯端末と連動し、携帯端末のカメラが動くものを捉えるとピストルクロスボウの引き金が引かれるという、<ブービートラップ>であった。
男はカップラーメンをテーブルに乱暴に置くと自身の携帯端末を操作して、カメラ映像を確認する。だが、そこに移っていたのは、廊下の壁にハンガーを使って掛けられた、いつからそこに掛かっていたのか分からない薄汚れたタオルが風に吹かれたかのように揺らいで、その脇にボウガンの矢が刺さる瞬間だった。
どうやらそのタオルに反応してしまったらしい。
「なんだよ、ふざけんな。せっかくのトラップが無駄になるだろうが」
<カップラーメンの男>は忌々し気にそう呟いて、食べかけのカップラーメンに手を伸ばそうとする。が、何とも言えない違和感に手が止まる。
「おい……窓もドアも完全に閉まってるのは確認したよな? それでなんで風が吹く……?」
自分自身に問い掛けるように呟いた男は、再度カメラ映像を確認するために携帯端末に手を伸ばした。だがその瞬間、部屋のドアが開いて、そのドアに向けて設置してあったピストルクロスボウが矢を放つ。
「!?」
男は、そちらに視線を向けることもなく弾かれるようにして隣の部屋に飛び込み、ドアを閉めた。すると再び、元居た部屋の中で、ガンッとボウガンの矢が壁に刺さる音。
何者かが部屋に侵入し、トラップが作動したのは間違いなかった。
「くそっ! なんで気が付かなかった!?」
どうやら自身の迂闊さを呪うためのものらしい言葉を口にして、男は携帯端末で室内のカメラ映像を確認する。しかし、そこにはやはり何も映っていない。
いや、違う。デジタルシャッターの僅か一コマ分だが何かが画面の端をよぎるのが、スロー再生でようやく確認できたのだった。
そして、
「そっちの様子はどうだ?」
老朽化したビルの最上階の灯の点いていない一室でカップラーメンを啜っていた男の脇にあるテーブルに置かれていた携帯端末からそう声がすると、男は、窓から階下を見下ろしつつ、
「異常ありあせ~ん」
面倒臭そうにそう応えた。この男も<人類の夜明け戦線R(リベンジ)>のメンバーだった。
と、男が『異常ありあせ~ん』と応えた直後、男がいる部屋に繋がる廊下で、
「ガガガンッ!」
と音がした。物音の正体は、ボウガンの矢が壁に刺さったそれだった。ボウガンの矢が、三本、壁に突き刺さっていたのだ。
よく見れば、廊下のあちこちに、<ピストルクロスボウ>と呼ばれる、拳銃型の小型クロスボウが設置されているのが分かる。その一部が作動したようだ。
それは、腕時計型の携帯端末と連動し、携帯端末のカメラが動くものを捉えるとピストルクロスボウの引き金が引かれるという、<ブービートラップ>であった。
男はカップラーメンをテーブルに乱暴に置くと自身の携帯端末を操作して、カメラ映像を確認する。だが、そこに移っていたのは、廊下の壁にハンガーを使って掛けられた、いつからそこに掛かっていたのか分からない薄汚れたタオルが風に吹かれたかのように揺らいで、その脇にボウガンの矢が刺さる瞬間だった。
どうやらそのタオルに反応してしまったらしい。
「なんだよ、ふざけんな。せっかくのトラップが無駄になるだろうが」
<カップラーメンの男>は忌々し気にそう呟いて、食べかけのカップラーメンに手を伸ばそうとする。が、何とも言えない違和感に手が止まる。
「おい……窓もドアも完全に閉まってるのは確認したよな? それでなんで風が吹く……?」
自分自身に問い掛けるように呟いた男は、再度カメラ映像を確認するために携帯端末に手を伸ばした。だがその瞬間、部屋のドアが開いて、そのドアに向けて設置してあったピストルクロスボウが矢を放つ。
「!?」
男は、そちらに視線を向けることもなく弾かれるようにして隣の部屋に飛び込み、ドアを閉めた。すると再び、元居た部屋の中で、ガンッとボウガンの矢が壁に刺さる音。
何者かが部屋に侵入し、トラップが作動したのは間違いなかった。
「くそっ! なんで気が付かなかった!?」
どうやら自身の迂闊さを呪うためのものらしい言葉を口にして、男は携帯端末で室内のカメラ映像を確認する。しかし、そこにはやはり何も映っていない。
いや、違う。デジタルシャッターの僅か一コマ分だが何かが画面の端をよぎるのが、スロー再生でようやく確認できたのだった。
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