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大希
涙を拭って
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私は天を仰ぎ、そして大きく深呼吸をした後、涙を拭ってお義父さんを見詰めました。
するとお義父さんも、私を真っ直ぐに見詰め返してくださいます。私が出した答えを受け止める覚悟をなさった目で。
そんなお義父さんに、私は告げたのです。
「山仁さん……大変なことを打ち明けていただいて、ありがとうございます……
それを口にすることは、大変な勇気が要ったことと思います。何故なら、今まで積み重ねてきたものをすべて失うことにさえなるかもしれないことですから……
だけどそれは、私のために振り絞ってくださった勇気なのだと感じます。それを知るのが後になれば後になるほど、私は苦しむことになったでしょうから……
本当に、ありがとうございます……
山仁さん……もし、私が大希さんに認めてもらえれば、あなたが私の義理の父親になりますね。私は、あなたが私の父親になってくださるのなら、それはとても喜ばしいことだと思います。
今後とも、よろしくお願いいたします……」
私は、今の自分にできうる最も丁寧な対応で告げさせていただきました。
これから後も、きっと、重大な決断を何度も求められることがあるでしょう。私が目指す道を進むのであれば。それこそ命の選択をしなければいけないことさえあるかもしれません。
それに比べれば、すでに答えの決まっている今回のような件など、その場で決断できなくてはきっと話にならない。
でも、決断できるようになったのは、きっと、出逢いに恵まれたから。ここまでの数々の経験と、多くの実例に触れてきたことで私はこの決断ができる私になれたのです。
「こちらこそ、あの子のことをよろしくお願いいたします……」
畳に手を着き、深々と頭を下げるお義父さんに、私も慌てて畳に手を着き、頭を下げさせていただきました。
そんな私とお義父さんを、イチコ達があたたかい目で見守ってくれているのが分かります。
ああ……私は本当に幸せ者です……
するとお義父さんも、私を真っ直ぐに見詰め返してくださいます。私が出した答えを受け止める覚悟をなさった目で。
そんなお義父さんに、私は告げたのです。
「山仁さん……大変なことを打ち明けていただいて、ありがとうございます……
それを口にすることは、大変な勇気が要ったことと思います。何故なら、今まで積み重ねてきたものをすべて失うことにさえなるかもしれないことですから……
だけどそれは、私のために振り絞ってくださった勇気なのだと感じます。それを知るのが後になれば後になるほど、私は苦しむことになったでしょうから……
本当に、ありがとうございます……
山仁さん……もし、私が大希さんに認めてもらえれば、あなたが私の義理の父親になりますね。私は、あなたが私の父親になってくださるのなら、それはとても喜ばしいことだと思います。
今後とも、よろしくお願いいたします……」
私は、今の自分にできうる最も丁寧な対応で告げさせていただきました。
これから後も、きっと、重大な決断を何度も求められることがあるでしょう。私が目指す道を進むのであれば。それこそ命の選択をしなければいけないことさえあるかもしれません。
それに比べれば、すでに答えの決まっている今回のような件など、その場で決断できなくてはきっと話にならない。
でも、決断できるようになったのは、きっと、出逢いに恵まれたから。ここまでの数々の経験と、多くの実例に触れてきたことで私はこの決断ができる私になれたのです。
「こちらこそ、あの子のことをよろしくお願いいたします……」
畳に手を着き、深々と頭を下げるお義父さんに、私も慌てて畳に手を着き、頭を下げさせていただきました。
そんな私とお義父さんを、イチコ達があたたかい目で見守ってくれているのが分かります。
ああ……私は本当に幸せ者です……
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