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大希

自らの首を絞める行い

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『ピカの告白を『キモい』とか言う人間だったらいっしょにはいられなかったと思う』

玲那さんの言葉がとても心に沁みます。

まさにその通りなのでしょうね。

もし、かつての私が今の私自身の告白を耳にしていれば、

『気持ち悪い…!』

と吐き捨てていたに違いありません。

ですが人は、そのような人物を素直に応援できるでしょうか? かつての私が、もし、今回のような告白を行ったとして、山下さんや玲那さんは、私を応援しようと思ってくださったでしょうか?

残念ながらそのような予感はまったくありません。

いくら山下さんや玲那さんが大きな器を持った方であるといえど、ものには限度というものがあります。

他人を見下し嘲るような性根を恥じることさえない人間を素直に応援したいと思えるなどというのは、およそ現実的ではないのでしょう。

そしてそれを裏付けるような事例は、世に溢れています。

どれほど自身の<想い>を真剣に述べている方であっても、その方がどこかで他人を見下し嘲っていたとしたら、素直にその方を応援したいと思えますか?

思えない方が大多数だと思います。

つまり、他人を見下し嘲るという行為そのものが、結局は自らを不利な状況へと追いやるのです。

今の私には、非常に強いその実感があります。

だから今の私には、他人を見下し嘲るという行為に何のメリットも見出すことができません。たとえその場の憂さは晴らすことができたとしても、いえ、見下され嘲られた側もそのような状況に甘んじてはいられないでしょうから、きっと反撃を試みるでしょう。となれば結局、憂さを晴らすどころか、かえって憂さを溜め込む結果になるのではないでしょうか?

他人を見下し嘲るという振る舞いは、実は自らの首を絞める行いそのものではないでしょうか?

私は、それについて、自らの過去と照らし合わせるからこそ実感があります。

あの頃の私では、決して今の幸せを得ることはなかったと。

このように、山下さんや玲那さんに応援していただけなかったと。

だから私は、晴れてヒロ坊くんと結ばれて子供をもうけた場合には、他人を見下し嘲るような姿を見せたいとは思いません。

その一方で、人間の本質というものはそう簡単には変わらない。つまり、私の中には、かつての、他人を見下し嘲っていた私自身が確かに存在するのです。おそらく、子供にはそういう本質の部分もきっと見抜かれるでしょう。

でも、だからこそ、<他人を見下し嘲ってしまう自分>というものを恥じ、かつ、それをいかに律していくかという姿をまさに実例として子供に提示していくこともできるのではないでしょうか。

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