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大希

ゆっくりと落ち着いて

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年末も押し迫る中、私達はようやく落ち着きを取り戻した気がします。年末の慌ただしさを加味しても、それまでの大変さに比べればさほどでもありません。

これを守りつつ、しかしもしまた何かが起こったとしても冷静に対処できるように常に心構えを作っておかなければと思います。

人生には、困難がつきものなのです。何一つ困難が立ちはだからない、ただただ平穏なだけの人生など、およそ存在しないでしょう。あるとしてもそれはごくごく例外的なものでしかない。その<例外>を目指しつつも、同時に備えは怠らない。

それが必要だと実感します。

そのおかげか、年末は平穏に過ごせました。

「あけましておめでとうございます」

「本年もよろしくお願いいたします」

「よろしくお願いいたします」

新年を家族で迎えるために両親はスケジュールを調整してくれました。父が作った年越しそばを三人でいただき、午前零時を迎え、挨拶を交わします。

いいですね。とてもホッとします。

でも、

「ごめんね、朝一から挨拶廻りがあって、今から移動なんだ」

そう言って、父も母も、それぞれ秘書やスタッフの方と共に出ていきました。本当に忙しい方々です。

一人家に残された私のスマホに、

『あけましておめでと~♡』

『おめ~♡』

『あけましておめでとうございます』

『おめでと~♡』

イチコ、カナ、フミ、千早からメッセージが次々と届きます。それ以外にも、交流のある方々からのメッセージが多数。

私もそれぞれに送っていましたので、そのやり取りだけで一時間を要しました。

それらを終えてから、就寝します。

一人の家は静かで落ち着きますが、やはりどこか寂しいですね。ヒロ坊くんと結婚し、一緒に暮らせばそれもなくなるでしょうか?

ああでも、私ももしかしたら両親のように年末も年始も関係なく忙しく飛び回らなければならなくなる可能性がありますね。私にできることを実現しようと思えば、ヒロ坊くんがおっしゃった、

「ピカちゃんが世界を救うところを見てみたい!」

という言葉に応えるためには、それくらいする必要があるかもしれません。となると、彼を家に待たせて私は外を飛び回るようなこともあるでしょうか。

ああ…悩ましいところですね。

でも、両親のように、たとえ少なくとも家族で過ごす時間だけは作りたいと思います。



いずれにせよ、新しい年を迎えました。

今日は、ヒロ坊くんたちと一緒に初詣。八坂神社などの有名どころにとも思いましたが、さすがに人出が大変なのは確かですし、徒歩で行ける小さな神社に皆で参拝することにしています。

ゆっくりと落ち着いてできるのが一番ですね。

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