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大希

問題はあって当然

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フミの家庭の問題、カナのお兄さんと家庭の問題、千早の家庭の問題、玲那さんの執行猶予。

様々な問題を抱えつつも、私達の毎日は淡々と穏やかに過ぎていきます。

いえ、元より人生というものはこういうものなのでしょう。様々な問題を内包しつつ、時は止まらずに過ぎていく。

むしろ人間は欲張り過ぎなのかもしれません。何もかもが自分にとって都合よくいくことを望んでいる人間が。

問題はあって当然なのです。

それにどう対処していくかというのが人生そのものであると、私は最近思うのです。



ところで、今週の金曜日には、ヒロ坊くん達の学校で、発表会があります。五年生は合唱だと聞きました。しかし私は学校があって行けません。

ヒロ坊くんの雄姿を見られないことも残念ですが、千早を見守ってあげられないことが残念でなりません。

彼女の母親はこないことがすでに分かっています。予定は知っているはずにも拘らず仕事のシフトを入れ、

「仕事があるから無理」

と、いつもの言い訳に終始したそうですから。

そこで、私や母親の代わりに、お義父さんが千早のことも見届けてくださるそうです。感謝の気持ちしかありません。

本当に素晴らしい人と出逢えてよかった。

そういう方だから、イチコやヒロ坊くんを育てることができたのだと思います。

それでも、お義父さんはおっしゃるのです。

「私はそんなに立派な人間じゃありません。あくまで大希の友達だからというだけですよ」

確かに欠点もたくさんお持ちですね。片付けが苦手。料理が苦手。コミュニケーション能力も決して高くない。

親しくなれた相手には本心から鷹揚に振る舞えても、そうでない相手だとあくまで社交辞令を基にしか接することができない。

ですが、私にとってはそういう欠点を補って余りある方なのです。

だから、千早のことも任せられる。

人にはえてして、得意な部分、不得意な部分というものがあります。お義父さんは、ご自身の不得意とする部分を粉飾することがありません。できないことはできないこととして正直に明かされるのです。その一方で、得意とする部分においては惜しむことなく力を発揮される。

カナやフミや千早に対して我が子のように接してくださるのもそれです。お義父さんにとっては自身の庇護下にある子供は、血の繋がりに関係なく<守るべき対象>として接することができるのです。

見返りも求めることなく。

いえ、厳密に言うと結果的にしっかりとリターンは得ているのでしょうが。

実子であるイチコやヒロ坊くんにとって大きな利となる友人を得ることに繋がっているのですから。

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