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大希
接近遭遇
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昼食を終えて寛いでいる時、私のスマホに着信がありました。それを確認すると、いつも懇意にしている探偵事務所からのものでした。
『Kが接近しています』
そのメッセージに私はハッとなりました。なので、少し時間は早かったですが、
「そろそろ時間です。行きましょうか」
と声を掛けさせていただきました。
<K>。それは館雀さんを表すもの。館雀さんがイチコに接近している、つまりこの家に近付いているという意味でした。
できればそれを回避したかったのです。
「ほ~い」
イチコがそう声を上げて立ち上がりますが、その時、
「ごめん、ちょっとトイレ~」
と、カナがトイレに入ってしまいました。しかも大の方だそうで、少し待たされてしまいます。
私は正直申し上げて焦っていましたが、生理現象が相手ではどうすることもできません。
五分ほど待たされてカナが消臭スプレーをふってトイレから出てきたと思うと今度はイチコがトイレに入ってしまいました。
さらにはフミまで。
結局、十分近く待たされた上でようやく出発となりました。
すると、家を出てすぐのところで、
「館雀さん……」
イチコが呟くようにその名を口にします。
見れば、そこにはこちらを睨み付けるようにして視線を向けている館雀さんの姿が。
その場に緊張が奔り、特にフミは、ギョッとしたような表情で彼女を見ました。
しかし―――――
館雀さんは特に何かを口にするでもなく、ただ速足で歩いて角を曲がって姿が見えなくなってしまいました。
念の為に昼の間だけ監視を継続してもらっていたのですが、しばらくは近付くこともなかったのが何故か今日はこうして現れたのです。
「…何なの、あれ…?」
フミが尋ねます。
「さあ?」
カナが応えるのに続き私も、
「分かりません」
と応えることしかできませんでした。
「なんだろうね?」
イチコも肩を竦めながら言います。
ただ、後で探偵事務所から入った報告によると、ここからさらに数分歩いたところに彼女の友人の家があったらしく、単にそこに向かっていただけだったようですね。
館雀さんにしてもイチコの家の近くということで鉢合わせる可能性があったからか、急いで通り過ぎようとはしていたようです。
彼女の方も気まずかったのでしょう。
その後は特に何事もなく小学校につき、ちょうど午後の競技が始まったところでした。
一年生二年生による障害物競走、三年生による大玉転がし、四年生による創作ダンスと続き、いよいよ五年生と六年生による組体操が始まったのでした。
『Kが接近しています』
そのメッセージに私はハッとなりました。なので、少し時間は早かったですが、
「そろそろ時間です。行きましょうか」
と声を掛けさせていただきました。
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できればそれを回避したかったのです。
「ほ~い」
イチコがそう声を上げて立ち上がりますが、その時、
「ごめん、ちょっとトイレ~」
と、カナがトイレに入ってしまいました。しかも大の方だそうで、少し待たされてしまいます。
私は正直申し上げて焦っていましたが、生理現象が相手ではどうすることもできません。
五分ほど待たされてカナが消臭スプレーをふってトイレから出てきたと思うと今度はイチコがトイレに入ってしまいました。
さらにはフミまで。
結局、十分近く待たされた上でようやく出発となりました。
すると、家を出てすぐのところで、
「館雀さん……」
イチコが呟くようにその名を口にします。
見れば、そこにはこちらを睨み付けるようにして視線を向けている館雀さんの姿が。
その場に緊張が奔り、特にフミは、ギョッとしたような表情で彼女を見ました。
しかし―――――
館雀さんは特に何かを口にするでもなく、ただ速足で歩いて角を曲がって姿が見えなくなってしまいました。
念の為に昼の間だけ監視を継続してもらっていたのですが、しばらくは近付くこともなかったのが何故か今日はこうして現れたのです。
「…何なの、あれ…?」
フミが尋ねます。
「さあ?」
カナが応えるのに続き私も、
「分かりません」
と応えることしかできませんでした。
「なんだろうね?」
イチコも肩を竦めながら言います。
ただ、後で探偵事務所から入った報告によると、ここからさらに数分歩いたところに彼女の友人の家があったらしく、単にそこに向かっていただけだったようですね。
館雀さんにしてもイチコの家の近くということで鉢合わせる可能性があったからか、急いで通り過ぎようとはしていたようです。
彼女の方も気まずかったのでしょう。
その後は特に何事もなく小学校につき、ちょうど午後の競技が始まったところでした。
一年生二年生による障害物競走、三年生による大玉転がし、四年生による創作ダンスと続き、いよいよ五年生と六年生による組体操が始まったのでした。
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