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大希

カッコわる~い

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……

……

……何という醜態……

有り得ない失敗に対する悔恨の念と、彼の前でそんな姿を見せてしまったという恥ずかしさとで、私はもう訳が分からなくなっていました。

その後、何をどうしたのかよく覚えていませんが、気が付くと私は部屋に寝かされ、頭には氷枕、そして千早が団扇で仰いでくれているという状態だったのです。

「ピカお姉ちゃん、カッコわる~い」

「……」

半笑いで呆れたように私を見ながら呟く千早に、私は何も言い返せず、顔を向けることさえできませんでした。

しかも後から聞いた話だと、体を隠していたはずのタオルも落としてしまった私は彼の前であられもない姿を、私のすべてを、晒してしまったそうなのです。

ああ……時間を巻き戻すことができたなら……



その後も私は、昼食が済んでもどこか頭がぼうっとしたような感じが抜けず、

「大丈夫? ピカちゃん」

彼がせっかく心配そうに声を掛けてくれても、顔を合わすこともできません。

なので、午後の入浴は取りやめて、一人、部屋で休んでいました。

ただ、そうやって一人で休んでいると、徐々に<熱さ>が和らいできて、いくらかは頭が働くようになってくるのも感じます。すると今度は、ほわっとした、やわらかい、何か包み込まれるような気分になってきたのです。

私が、肌を晒して、その上、こんなみっともない姿を見せたというのに、彼がまるでいつもと変わらずに私に接してくれていたことに気付かされたからでしょうか。

そうです。これほどの醜態を見せれば、馬鹿にしたり呆れて幻滅したりということが起こっても不思議ではないでしょう。でも彼はまったくそのような気配すら見せません。彼には、他人を馬鹿にして笑いものにして、そうして自分を慰める必要がないからでしょうね。

それこそが彼の器を作っているものだと感じます。

もちろん、イチコやカナとも平然と一緒にお風呂に入る彼にとっては、イチコやカナのみっともない姿を普段から見慣れている彼にとっては、今さら気にするほどのことでもないのもあると思いますが、それ以上に、彼には他人を馬鹿にしなければいけない理由がないのです。

『ああ……ヒロ坊くん……』

私は改めて、彼を身近に感じることができました。彼の前でみっともない姿を晒すことができて、しかもそれを彼が当然のように受け流してくれて。

だけど、恥ずかしいのも事実です。

『恥ずかしがる必要はない』

と、どんなに自分に言い聞かせてみても、気が遠くなりそうな恥ずかしさは消えません。

これははやり、徐々に慣れていくしかないのでしょう。

あくまで私自身の問題なのですから。

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