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大希

誤解

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などと偉そうに言ってしまいましたが、実は、私自身がかつて同じ誤解をしていたのです。

<公共>というものについて。

『公共の場なのだから、他人に迷惑になる人間は排除するべきでしょう』

と思っていたのです。

ですが、それが大きな間違いだと今では分かります。

何故ならば、<公共>とは、

<声の大きな一部の人間の都合>

を指すものではないからです。体の不自由な人、妊娠した女性、赤ん坊、子供を連れの家族。

この社会で生きる方々そのすべてを含んだものが<公共>なのです。ですから個人が、

『迷惑だからお前は利用するな!』

などと言ってもそれは通じないのです。むしろその考え方そのものが、『公共の利益に反する』と言ってもいいでしょう。一部の特定の人間の都合だけが聞き届けられるのが<公共>ではないのですから。

故に、

『赤ん坊を電車に乗せるな』

などというのも、通らないのです。

赤ん坊そのものが、<公共の一部>だということを理解しなければいけません。

ただ、<公共>とはあくまで人間の社会のことなので、残念ながら<人間以外の動物>についてはどうしても区別しなければいけないのでしょう。

ですが、例えばこれが、<盲導犬>や<聴導犬>や<介助犬>といったものになると、それは、

<眼鏡や車椅子といったものと同じ、身体機能の一部を補助する存在>

なので、いわゆる<ペット>とはまた扱いが変わるのも当然であると、今なら分かります。

でなければ、

『盲導犬を連れて電車に乗るな』

という言い方は、

『眼鏡やコンタクトを着けなければ安全に外出できないような者は電車に乗るな』

と言うのと同じになってしまうでしょうし。

今でこそ、眼鏡やコンタクトレンズのおかげで強度近視の方も日常生活に支障のない状態にまで視力を矯正することができますが、それがなかった頃にはまぎれもなく<障碍>だったでしょうから。

技術の発達や制度の発達で障碍であったものがそうでなくなっていくこともあるのですから、盲導犬や聴導犬や介助犬を伴っての社会生活は、それを理由に妨げられていいものではないと私は考えます。

ましてや、子供を連れているからダメなどと、勘違いも甚だしいでしょう。

しかし同時に、例えば映画館や劇場といった、あくまで<個人が娯楽に興じる為の場所>については、なるほどその辺りの事情に即さなければ、

『ご利用はご遠慮ください』

となるのも分かります。

映画館や劇場は、<公共の場所>とは言いつつ、実際には、

<映画や演劇といった娯楽を目的に訪れる場所>

であって、その利用目的は極めて享楽的かつ限定的なので、<公共交通機関>と同じ扱いにはできないということですか。

ただし、やはり<公共交通機関>は、『すべての人々が移動に利用する為』に存在するものなのであって、それ自体は<個人の娯楽>ではないのですから、個人的な好き嫌いによって利用を制限することは許されないのでしょうね。

ああ、だから、

<電車の写真などを撮る>

という<個人の娯楽>ないし<趣味>については、ある程度は制限されて然るべきということですか。

納得しました。

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