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外伝
外伝3 その2 「クラスにバカがいるとみんなが迷惑する」
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「おはよ~」
「おはよ~、ち~」
「おはよ~、千歳」
朝、教室に入って麗美阿と美登菜にあいさつした。二人は私の親友だ。麗美阿は私のことを『ち~』って呼ぶ。美登菜はそのまま『千歳』って呼ぶけど。私は『レミ』と『ミト』って呼んでる。
私はこのクラスは割と気に入ってる。みんな仲いいし。でも、一人だけウザいのがいる市川美織だ。こいつは勉強もダメ運動もダメ空気も読めないのトリプルバカで、しかもすぐ泣く。泣いて先生に告げ口する。だからみんなこいつのことが嫌いだ。すぐに泣きついてくるから先生も迷惑してる。『美しい』なんて字はこいつにはもったいない。だから『ぶおり』って呼んでる。
「ぶおり、あんた今日、日直でしょ。ちゃんと黒板きれいにしなさいよ」
朝一で黒板をきれいにするのは日直の仕事だ。なのにこいつはちゃんと仕事をしようとしなかった。だから私は言ってやったんだ。こうやってちゃんと言ってやるんだから私は優しいだろ。
こうやって私が言ってやってんのに、ぶおりは返事もしないでノロノロしてた。こいつホントにグズ!
「早くしなさいよ! 先生来ちゃうでしょ!」
私がそう言うと、レミとミトも一緒に言ってくれた。
「そうよ! 日直がちゃんとしないとみんなが迷惑するでしょ!」
「あんたいっつも迷惑かけてんだからね! 分かってんの!?」
そうだ。私たちでこいつをちゃんとした奴に躾けてやるんだ。でないとみんなが迷惑する。ノロノロしてるぶおりの背中を押して急がせてやった。そしたらやっと黒板をきれいにし始めた。さっさとやればこんなこと言われないのにさ。私だって好きで言ってるんじゃないんだよ。あんたのせいで迷惑する人がいるから言ってるんだよ。あんたがちゃんとやってれば私だってこんなこと言わないよ。
でも、私がこんだけ言ってやってんのに、ぶおりはそれでもノロノロしてて、黒板がきれいになる前に先生が来ちゃった。
「何だ、まだきれいにしてなかったのか。しっかりしなさい」
先生もぶおりに注意した。だから言ってやったのにさ。私の言う通りにしないから先生にも怒られるんだよ。
授業が始まっても、ぶおりはみんなに迷惑をかけてた。グループに分かれて発表する時に、ぶおりは何もしない。しゃべらないし意見ださないし。だから私たちがまとめたことを言えばいいだけにしてやったんだ。それなのに、ぶおりの奴、すっげー小さな声でしゃべってやがった。
「声が小さくて聞こえませーん。もっとはっきり言ってくださーい!」
端の方にいた男子がそう言った。またお前のせいで迷惑してる。
「ちょっと! もっと大きな声出しなさいよ!」
私が小声でそう言ってやったのに、ぶおりは無視して小さな声でしゃべってた。こいつ、ふざけすぎだろ! 私はさすがにムカついて、ぶおりの足を思いっ切りつねってやった。そしたら、
「痛あっ!」
って大きな声が出た。ほらやっぱりわざと小さい声で言ってやがったんだ。先生も、
「そんな大きな声が出せるんなら、ちゃんと声を出しなさい」
って言ってた。そしたらちょっとだけ声が大きくなった。でもぶおりがそんなだったから結局、発表は散々だった。何でこんな奴が一緒のクラスなんだよって思った。だけど私はあきらめないよ。私がこいつをまともな人間に躾けてやる。お母さんのやり方だったらきっとこいつだってまともになる。レミとミトも協力してくれるし。
それから私は、ぶおりを徹底的に躾けてやった。私がお母さんにされたのと同じようにしてやった。レミもミトも、クラスのみんなも、私の味方してくれた。
なのにぶおりの奴は、全然変わらなかった。いつまで経ってもバカでトロくて、みんなに迷惑をかけてた。先生も呆れてた。みんながこんなに頑張ってるのにダメとか、こいつマジもんのバカだったんだな。何でこんな奴が生きてんだよって思った。こんな奴、生きてるだけでみんなの迷惑だろ。
その日も、ぶおりは朝からみんなに迷惑をかけてた。運動会の練習するってのに体操服忘れてくるとか、マジありえない。六年全員で応援合戦やるんだよ?。お前のせいでちゃんとした練習できないじゃん。
「ぶおり! あんたがいたらみんなが迷惑するんだよ! お前もう学校くんなよ!」
私ははっきりとそう言ってやった。みんなも先生もそう思ってる。だから私が代表して言ってやるんだ。レミとミトも、
「そうよ! あんたがみんなの足引っ張ってるんだからね!」
「そうそう! あんたがみんなのためにできることは学校来ないことくらいだよ!」
って言ってくれた。そしたらぶおりの奴、また泣き出すんだろうなって思った。でも、この時のぶおりは何か違ってた。いつもなら泣いてこそこそするはずだったのが、私たちのこと睨んでた。何だよその態度。何か文句あんのかよ。悪いのはお前だろ。逆切れすんのか!?
「何か、文句あんの!?」
って私が怒ろうとしたら、ぶおりが急に飛び掛かってきた。
何だこいつ! ふざけんな!!
私がパッと避けたら、後ろにいたレミにぶつかって、レミが叫んだ。
「痛っ!!」
その声が何か変だったから見たら、レミのほっぺたに赤い線がついてた。ううん、線だと思ったけど線じゃなかった。その線から、赤いのがバーッと流れ出たから。って、それ、血…!?
「きゃあーっっ!!」
って、女子の誰かが悲鳴を上げてた。
「おはよ~、ち~」
「おはよ~、千歳」
朝、教室に入って麗美阿と美登菜にあいさつした。二人は私の親友だ。麗美阿は私のことを『ち~』って呼ぶ。美登菜はそのまま『千歳』って呼ぶけど。私は『レミ』と『ミト』って呼んでる。
私はこのクラスは割と気に入ってる。みんな仲いいし。でも、一人だけウザいのがいる市川美織だ。こいつは勉強もダメ運動もダメ空気も読めないのトリプルバカで、しかもすぐ泣く。泣いて先生に告げ口する。だからみんなこいつのことが嫌いだ。すぐに泣きついてくるから先生も迷惑してる。『美しい』なんて字はこいつにはもったいない。だから『ぶおり』って呼んでる。
「ぶおり、あんた今日、日直でしょ。ちゃんと黒板きれいにしなさいよ」
朝一で黒板をきれいにするのは日直の仕事だ。なのにこいつはちゃんと仕事をしようとしなかった。だから私は言ってやったんだ。こうやってちゃんと言ってやるんだから私は優しいだろ。
こうやって私が言ってやってんのに、ぶおりは返事もしないでノロノロしてた。こいつホントにグズ!
「早くしなさいよ! 先生来ちゃうでしょ!」
私がそう言うと、レミとミトも一緒に言ってくれた。
「そうよ! 日直がちゃんとしないとみんなが迷惑するでしょ!」
「あんたいっつも迷惑かけてんだからね! 分かってんの!?」
そうだ。私たちでこいつをちゃんとした奴に躾けてやるんだ。でないとみんなが迷惑する。ノロノロしてるぶおりの背中を押して急がせてやった。そしたらやっと黒板をきれいにし始めた。さっさとやればこんなこと言われないのにさ。私だって好きで言ってるんじゃないんだよ。あんたのせいで迷惑する人がいるから言ってるんだよ。あんたがちゃんとやってれば私だってこんなこと言わないよ。
でも、私がこんだけ言ってやってんのに、ぶおりはそれでもノロノロしてて、黒板がきれいになる前に先生が来ちゃった。
「何だ、まだきれいにしてなかったのか。しっかりしなさい」
先生もぶおりに注意した。だから言ってやったのにさ。私の言う通りにしないから先生にも怒られるんだよ。
授業が始まっても、ぶおりはみんなに迷惑をかけてた。グループに分かれて発表する時に、ぶおりは何もしない。しゃべらないし意見ださないし。だから私たちがまとめたことを言えばいいだけにしてやったんだ。それなのに、ぶおりの奴、すっげー小さな声でしゃべってやがった。
「声が小さくて聞こえませーん。もっとはっきり言ってくださーい!」
端の方にいた男子がそう言った。またお前のせいで迷惑してる。
「ちょっと! もっと大きな声出しなさいよ!」
私が小声でそう言ってやったのに、ぶおりは無視して小さな声でしゃべってた。こいつ、ふざけすぎだろ! 私はさすがにムカついて、ぶおりの足を思いっ切りつねってやった。そしたら、
「痛あっ!」
って大きな声が出た。ほらやっぱりわざと小さい声で言ってやがったんだ。先生も、
「そんな大きな声が出せるんなら、ちゃんと声を出しなさい」
って言ってた。そしたらちょっとだけ声が大きくなった。でもぶおりがそんなだったから結局、発表は散々だった。何でこんな奴が一緒のクラスなんだよって思った。だけど私はあきらめないよ。私がこいつをまともな人間に躾けてやる。お母さんのやり方だったらきっとこいつだってまともになる。レミとミトも協力してくれるし。
それから私は、ぶおりを徹底的に躾けてやった。私がお母さんにされたのと同じようにしてやった。レミもミトも、クラスのみんなも、私の味方してくれた。
なのにぶおりの奴は、全然変わらなかった。いつまで経ってもバカでトロくて、みんなに迷惑をかけてた。先生も呆れてた。みんながこんなに頑張ってるのにダメとか、こいつマジもんのバカだったんだな。何でこんな奴が生きてんだよって思った。こんな奴、生きてるだけでみんなの迷惑だろ。
その日も、ぶおりは朝からみんなに迷惑をかけてた。運動会の練習するってのに体操服忘れてくるとか、マジありえない。六年全員で応援合戦やるんだよ?。お前のせいでちゃんとした練習できないじゃん。
「ぶおり! あんたがいたらみんなが迷惑するんだよ! お前もう学校くんなよ!」
私ははっきりとそう言ってやった。みんなも先生もそう思ってる。だから私が代表して言ってやるんだ。レミとミトも、
「そうよ! あんたがみんなの足引っ張ってるんだからね!」
「そうそう! あんたがみんなのためにできることは学校来ないことくらいだよ!」
って言ってくれた。そしたらぶおりの奴、また泣き出すんだろうなって思った。でも、この時のぶおりは何か違ってた。いつもなら泣いてこそこそするはずだったのが、私たちのこと睨んでた。何だよその態度。何か文句あんのかよ。悪いのはお前だろ。逆切れすんのか!?
「何か、文句あんの!?」
って私が怒ろうとしたら、ぶおりが急に飛び掛かってきた。
何だこいつ! ふざけんな!!
私がパッと避けたら、後ろにいたレミにぶつかって、レミが叫んだ。
「痛っ!!」
その声が何か変だったから見たら、レミのほっぺたに赤い線がついてた。ううん、線だと思ったけど線じゃなかった。その線から、赤いのがバーッと流れ出たから。って、それ、血…!?
「きゃあーっっ!!」
って、女子の誰かが悲鳴を上げてた。
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