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第六幕

人間の協力者

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『私はたぶん、ヴァンパイアハンターに殺されてたってさ』

メアリーが口にしたそれは、事実だった。というのも、彼女をヴァンパイアにしたヴァンパイアを追ってハンターがその別荘に訪れたのを、ヴァンパイアに協力していた人間達が確認したのだ。

あくまで別荘を管理している者達のふりをして近付いたものの、人間であるからこそ基本的にはヴァンパイアハンターの標的にはならないことでやり過ごせたという面もある。

ただし、ヴァンパイアに協力していることを悟られると危険もあるのだが。なにしろヴァンパイアハンターの多くがヴァンパイアに対して激しい憎悪を抱いているがゆえに。

しかしだからこそ<人間の協力者>は欠かせなかった。危険ではあっても、それはヴァンパイアそのものに向けられる憎悪に比べれば単なる『ついで』に等しいものでもあるのだ。

なお、エルビス達の行いも、ヴァンパイアハンターに察知される危険性が高いものであるとはいえ、人間に対する救援活動であることは間違いないので、これに対して敵対的な行動をすれば、逆にヴァンパイアハンターの立場が危うくなるというのもまた事実。

露骨に人間に対して敵対行動を取るとなれば、そのヴァンパイアハンター自身が今度は排除の対象となる。ヴァンパイアハンターが行動していられるのは、あくまで人間にとって害があるヴァンパイアを駆除するという建前があればこそであった。それがなければヴァンパイアハンターとてただの<テロリスト>でしかない。

そういう危うさもありつつ、ヴァンパイアもヴァンパイアハンターも、この世界に確かに存在していた。

「ヴァンパイアに、ヴァンパイアハンターか……やっぱしすぐには信じられねえけど、俺ももうヴァンパイアなんだな……」

エドマンドが、メアリーに切り付けられてそれがすぐ回復した自身の手を眺めながら呟いた。

そんな彼に対して、メアリーは、

「吸血衝動も、別にそんなに大変じゃないよ。人間の協力者にちょっと血を分けてもらえれば抑えられる程度だから」

と諭すように告げた。けれどそのすぐ後で、

「そこで我慢しない奴は、ヴァンパイアハンターに嗅ぎ付けられて狩られる。私をヴァンパイアにした奴も、ずっと追われてるらしいね。ヴァンパイアハンターからも、他のヴァンパイアからも。しぶとい奴」

と忌々し気に表情を歪めたが。彼女にとっても許しがたい存在なのだろう。

「娘を金で売るような親のところよりもマシな暮らしができるようになったのもあるけどさ、死ななかったのはたまたまだし、許すつもりなんかないんだよ」

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