ショタパパ ミハエルくん

京衛武百十

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第六幕

全力を出してはいけない制限

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小国と大国が戦えば、当然、大国が強い。だからこそ<テロ>という形を取るんだろうけど、そうやって小国が『手段を選ばない』なら、大国の側も同じく手段を選ばないという選択を取れば、それこそ、

『核兵器ですべてを焼き払う』

ことだってできるだろうね。あくまでそこまでの手段を取ることが難しいという制約があればこそ簡単にはできないというだけで、それができるだけの力が大国の側にはある。

筋骨隆々の人間が貧弱な人間相手に、

<全力を出してはいけない制限>

を掛けられた状態で戦ってるようなものだろう。後先考えずにそれを無視してしまえば、失うものも大きいかもしれないけど、取り敢えず目先のテロリストについては、そうじゃない人間も巻き添えにして消し去ってしまうことは不可能じゃないと思う。

ただし、それをすれば、脅威を感じた他の国も黙っていないだろうから、目先の勝利よりも大変な代価を払うことになる可能性も高いのが分かっているからそこまでやらないようにしてるだけだよね。

そういう形でお互いに牽制し合うことで均衡が保たれてるというのも、人間の世界の事実だよ。

テロは、『相手がそこまでやらない』と高を括ればこそ取れる手段でもある。

もちろん、自分達が生き延びることを一切考えずにただただ意趣返しとして一矢報いたいと考えてるような場合にはまた別なんだろうけどさ。

だけどそれってただの自殺なんじゃないの? 周りを巻き込んだ。



それらについてはまず置いて、セルゲイが、力のある産業を持たなかったアイルランドがいかにして発展したのかを、イゴールに詳しく説明してくれていた。

「そんなやり方もあるんだ……!」

イゴールは感心して食い入るように耳を傾けてくる。そんな彼に対してセルゲイはさらに、

「もちろん、同じやり方をすれば必ず上手くいくという保証は何もない。それにアイルランドの場合はまず独立を勝ち取ってからだったことでそれができたというのもある。だから、『大国の一部のままだと自分達のやりたいことができないからまずは独立を勝ち取った上で』という発想も理解できないわけじゃない。だけどね、それでも今の時点で具体的なビジョンを提示できなければ協力も得られないのも事実だよ」

とも付け足した。

「ああ、今なら俺にもそれが分かるよ……返す当てもないのに『金を貸してくれ』とか言っても、まともな奴は貸してくれないよな」

そのイゴールの喩えは、彼なりの理解を表してるものだっただろうね。

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