ショタパパ ミハエルくん

京衛武百十

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第五幕

思い込んだことを否定するというのが

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僕達が敢えて日が出てる間に行動したりするのも、実はそういう意味合いもある。

『吸血鬼は太陽の光を浴びると灰になってしまう』

そんな伝承が頭にある人間は、

『太陽が出てる間に外を出歩いてるから吸血鬼じゃない』

と無意識に思い込んでしまうんだろうね。そしてそうやって思い込んだことを否定するというのがなかなかできないのも人間という生き物でもある。自分の思い込みを否定することができれば、そもそもテロなんてしないはずだから。

根拠のない因習に拘ることもしなくなるんじゃないかな。

<陰謀論>なんてものに振り回されることもないだろうし。

そういう諸々が、逆に僕達吸血鬼の活動を容易にしてるというのは間違いなくある。

それらについても、イゴールに理解してもらう必要がある。だからこそ、目先の感情に振り回されて無駄に衝突を起こされると困るんだ。加えて、今は眷属になったばかりで強い鎮静効果が生じてるけど、自身の吸血鬼としての能力について実感ができてくると、今度はそれに溺れる眷属も中にはいる。人間ではなくなってしまっても、人間だった時の記憶が影響して、

<自分の力を復讐や自己顕示欲に利用したい欲求>

を抑えきれなくなることがあるんだよ。

もっとも、冷静になれば実はどうということのない衝動なんだけどね。それこそ小さな子供が虫をいじって遊ぶようなものだと思う。我慢しようと思えばできてしまうことのはずなんだ。なにしろ、吸血鬼と人間とじゃ、まさしく人間と虫くらいの力の差があるんだよ? 虫を相手にそこまでムキになる人間なんて、少数じゃないかな。

それよりは目の前を飛び回ったり刺してこなければどうでもいい存在だって感じてる人間の方が圧倒的に多くないかな? 結局はそういうことなんだ。

だけど、人間は虫じゃない。やられたことを恨みに思って、しかも吸血鬼を危険な怪物だと思ってるのも少なくない。人間と問題を起こすのは、吸血鬼にとっては何のメリットもない愚行なんだ。

イゴールにはそれを理解してもらわなくちゃいけないんだよ。これは、子供を育てるのと同じことだ。彼は今、吸血鬼としては赤ん坊と大差ない。人間が人間としての生き方を学ぶ必要があるように、吸血鬼としての生き方を学んでもらう必要がある。特にオレーナのことがあるから、それで感情的になってしまったら困る。

『いっそ殺してしまえばよかったのに』

と言う人間もいるだろうけど、今の人間社会の問題の多くがその発想が基で起こってるはずなんだけどな。

テロだってそうだよ。

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