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第五幕
本当に不思議だよ
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人間の中には、ここまでのことがあっても、それでも父親達の方が正しくて、反抗した娘や娘の肩を持とうとしたセルゲイの方が間違っていると考えるのがいるんだろうね。
往来の真ん中で大声で他者を罵倒して暴力を振るうその振る舞いこそが正しいと、何も間違ってないと考えるんだ。
自身の振る舞いを客観視せず、自分だけが正しいから、正しい自分の行いはたとえどんなものであっても常に正当化されると考える。正当化されるべきと考える。
現実にはそんなこと、有り得ないのにね。
この時の様子を恥ずかしいことだと考えない社会が本当に誇れるものなのか、冷静に客観的に考えられない人間達の国は、それ自体がカルト教団のようにしか僕には思えないけどな。
人間自身がそれを是としてそういう在り方を維持しようとするのであれば、その選択が招く結果を受け止める必要があると僕は思うよ。
この後、セルゲイは警察署まで任意同行を求められたけど、セルゲイには<友人>が多いからね。そしてその<友人>は、警察に対して大きな力を持つ者も少なくない。
セルゲイから連絡を受けた友人が働きかけると、その警察署の署長が青い顔をして部屋から出てきて、揉み手をしながらセルゲイに何度も謝罪していた。
弱い相手には強く、強い相手には弱い。そういう振る舞いこそが子供の目にはどう映るのか、考えもしない。
結果としてセルゲイが合いに行くはずだった<友人>のところまでパトカーで送迎するという対応まで。
これで、
『目上だから敬ってもらえる』
と考えられるというのが、本当に不思議だよ。
悠里も安和も呆れ果てた様子だった。子供の目からそういう風に見える自分達を改めるんじゃなく、
『そういう風に見る子供の方が間違っている』
と考える人間達。そんな自分達こそを誇れると考える人間達。
この現実を目の当たりする度に僕も正直なところでは心折れそうにもなる。すべてを薙ぎ払って人間そのものを消し去ってしまってそこに吸血鬼だけの世界を作った方がいいんじゃないかと考えてしまいそうになるのも事実だ。
だけどそれを認めてしまうと、アオや椿やさくらや恵莉花や秋生も<人間>なんだという事実を蔑ろにすることになる。まさしく酷い自己矛盾だよ。
そして、<道理>を<倫理>を、目先の感情を優先するために蔑ろにする人間と同じになっていたんじゃ、人間を批判することもできなくなるよね。
ただ今回のことは、僕もいつも以上に感情的になってしまってた気はするかな。
往来の真ん中で大声で他者を罵倒して暴力を振るうその振る舞いこそが正しいと、何も間違ってないと考えるんだ。
自身の振る舞いを客観視せず、自分だけが正しいから、正しい自分の行いはたとえどんなものであっても常に正当化されると考える。正当化されるべきと考える。
現実にはそんなこと、有り得ないのにね。
この時の様子を恥ずかしいことだと考えない社会が本当に誇れるものなのか、冷静に客観的に考えられない人間達の国は、それ自体がカルト教団のようにしか僕には思えないけどな。
人間自身がそれを是としてそういう在り方を維持しようとするのであれば、その選択が招く結果を受け止める必要があると僕は思うよ。
この後、セルゲイは警察署まで任意同行を求められたけど、セルゲイには<友人>が多いからね。そしてその<友人>は、警察に対して大きな力を持つ者も少なくない。
セルゲイから連絡を受けた友人が働きかけると、その警察署の署長が青い顔をして部屋から出てきて、揉み手をしながらセルゲイに何度も謝罪していた。
弱い相手には強く、強い相手には弱い。そういう振る舞いこそが子供の目にはどう映るのか、考えもしない。
結果としてセルゲイが合いに行くはずだった<友人>のところまでパトカーで送迎するという対応まで。
これで、
『目上だから敬ってもらえる』
と考えられるというのが、本当に不思議だよ。
悠里も安和も呆れ果てた様子だった。子供の目からそういう風に見える自分達を改めるんじゃなく、
『そういう風に見る子供の方が間違っている』
と考える人間達。そんな自分達こそを誇れると考える人間達。
この現実を目の当たりする度に僕も正直なところでは心折れそうにもなる。すべてを薙ぎ払って人間そのものを消し去ってしまってそこに吸血鬼だけの世界を作った方がいいんじゃないかと考えてしまいそうになるのも事実だ。
だけどそれを認めてしまうと、アオや椿やさくらや恵莉花や秋生も<人間>なんだという事実を蔑ろにすることになる。まさしく酷い自己矛盾だよ。
そして、<道理>を<倫理>を、目先の感情を優先するために蔑ろにする人間と同じになっていたんじゃ、人間を批判することもできなくなるよね。
ただ今回のことは、僕もいつも以上に感情的になってしまってた気はするかな。
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