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第四幕

親としてどうあるべきか? それを考えられる余裕

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日本に帰ってきて、家族が揃って、改めて僕はそういう諸々について考える。でもこれも、『日本だから』かもしれない。海外だと、まず身の安全を考えないといけなかったりするから。

『親としてどうあるべきか?』

という点について考える余裕がなかったりするんだ。それ以前の問題ということだね。

ここまで考えられるだけまだ平和なんだよ。

だから僕は日本という風土が好きだ。<国>としては決して褒められたものじゃない面もありつつ、<日本の風土>は僕にとってもすごく心地好い。それを守ってほしいと切に願う。

何か気に入らないことがあればすぐに暴力に訴える海外の<常識>を見倣うんじゃなくて、日本独自の<察し>と<思いやり>を大切にしてほしいと思う。

それこそが、日本の風土を唯一無二のものにしてると実感する。別に海外の真似をする必要はないと思うよ。

八百万も<神様>がいて、どんなものにも魂が宿り、自分達の命を繋いでくれる命を、

『いただきます』

と簡潔な表現で敬うことができるその精神性は、とても尊いと感じるんだ。

なにより、アオを生み育ててくれたことに感謝してる。

アオがアオになったのは、間違いなくここが日本だからだよ。

もちろん、様々な問題も抱えてる。今朝の事故の運転手ような人間や、紫音しおんの両親のような人間もいる。ネット上で他者を攻撃することさえ我慢できないような人間も数多くいる。でも同時に、アオをアオとして育んでくれる素地も確かにあるんだ。

人間というものは、もちろん人間に限ったことじゃないけど、なんでも一面だけで見ていてはその本質は掴めない。僕は日本が好きだけど、だからといって日本以外が滅べばいいなんて思ってない。そういう国々がある中だったからこそ、日本という風土は生まれたんだろうなって思えるからね。

半年に亘って海外を渡り歩いたことで、改めて見えてくるものもある。悠里ユーリ安和アンナは、ダンピールだからこそ、普通の人間以上に見識を広げて多角的な視野を得て、物事を冷静に受け止められるようになってほしいと思う。

ダンピールは、能力そのものは吸血鬼とほとんど変わらない。眷属だって自由に生み出せる。人間の好ましくない部分だけを見て、

『人間なんて滅べばいい』

と結論を出して行動するようにはなってほしくないんだ。だって、二人を生んだのは、他でもないアオだから。<ただの人間>でしかないアオなんだよ。人間を否定するということは、アオを否定するということでもある。

僕は、悠里と安和にアオを否定してほしくないんだ。

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