490 / 697
第四幕
人間は本当に<見て見ぬふり>が好きだよね
しおりを挟む
こんな風に、日本に帰ってきて、家族が揃って、そして改めて、僕達家族が幸せに生きるためにはどうしなくちゃいけないのかというのを考える。
『そんな難しく考えなくても楽しく生きてけるだろw』
とか嘲笑う人間もいると思う。なるほど確かに難しく考えなくても楽しそうにしてる人間もいるね。でもそれは、あなたが考えようとしない<難しいこと>を代わりに考えてくれてる人間がいるから、考えずに済んでるだけだと、どうして分からないの? あなたが難しく考えなくても楽しく生きていられる状況を、他の誰かが作ってくれているからそれが成立しているだけだとどうして分からないの?
その負担を他の人間に押し付けているだけなんだけどな。
あなたが見ないようにしてる問題に誰が対処してくれていると思っているの? あなたが見ないように考えないようにしてる問題を他の誰かがあなたの知らないところで対処してくれているんだよ? その事実をあなたは見てないだけだよね?
人間は本当に<見て見ぬふり>が好きだよね。
僕達吸血鬼は、そんなことをしていたら人間と衝突するから、考えるようにしてるんだよ。人間との衝突を回避するための方法をね。
今、こうしてる瞬間にも、誰かが病気で苦しんでる。誰かが事件に巻き込まれてる。誰かが事故に巻き込まれてる。それに対処して状況を何とかいい方向に向けようと努力してる人間がいるからこそ、自分はそれについて何も考えずに済んでいるだけだよね?
原油価格について誰かが交渉し、そして買い付けてるからガソリンも灯油も、お金さえ出せば手に入るんだよね。価格は高騰していたりするかもしれないけど、それでも『価格が高騰してても手に入らないわけじゃない』のは、あなたの代わりに誰かがそうなるように手を尽くしてくれてるからだよね?
自分は物事を深く考えなくても生きていられてるからって、それはこの世界が難しく考えなくても生きていられる世の中だからじゃないよ? 他の誰かが代わりにその<難しいこと>を考えてくれてるからってだけだよ?
そして、子供がそれを考えなくても済んでいるなら、それは親がそういう環境を作ってくれているだけだ。
僕の家庭では、残念ながら、僕が吸血鬼で悠里と安和がダンピールでという現実があるから。それについて考えなくても生きていけるわけじゃないんだよ。
『人間と折り合いを付けて生きていくにはどうすればいいのか?』
ということを延々と考えていかなきゃならないんだ。
『そんな難しく考えなくても楽しく生きてけるだろw』
とか嘲笑う人間もいると思う。なるほど確かに難しく考えなくても楽しそうにしてる人間もいるね。でもそれは、あなたが考えようとしない<難しいこと>を代わりに考えてくれてる人間がいるから、考えずに済んでるだけだと、どうして分からないの? あなたが難しく考えなくても楽しく生きていられる状況を、他の誰かが作ってくれているからそれが成立しているだけだとどうして分からないの?
その負担を他の人間に押し付けているだけなんだけどな。
あなたが見ないようにしてる問題に誰が対処してくれていると思っているの? あなたが見ないように考えないようにしてる問題を他の誰かがあなたの知らないところで対処してくれているんだよ? その事実をあなたは見てないだけだよね?
人間は本当に<見て見ぬふり>が好きだよね。
僕達吸血鬼は、そんなことをしていたら人間と衝突するから、考えるようにしてるんだよ。人間との衝突を回避するための方法をね。
今、こうしてる瞬間にも、誰かが病気で苦しんでる。誰かが事件に巻き込まれてる。誰かが事故に巻き込まれてる。それに対処して状況を何とかいい方向に向けようと努力してる人間がいるからこそ、自分はそれについて何も考えずに済んでいるだけだよね?
原油価格について誰かが交渉し、そして買い付けてるからガソリンも灯油も、お金さえ出せば手に入るんだよね。価格は高騰していたりするかもしれないけど、それでも『価格が高騰してても手に入らないわけじゃない』のは、あなたの代わりに誰かがそうなるように手を尽くしてくれてるからだよね?
自分は物事を深く考えなくても生きていられてるからって、それはこの世界が難しく考えなくても生きていられる世の中だからじゃないよ? 他の誰かが代わりにその<難しいこと>を考えてくれてるからってだけだよ?
そして、子供がそれを考えなくても済んでいるなら、それは親がそういう環境を作ってくれているだけだ。
僕の家庭では、残念ながら、僕が吸血鬼で悠里と安和がダンピールでという現実があるから。それについて考えなくても生きていけるわけじゃないんだよ。
『人間と折り合いを付けて生きていくにはどうすればいいのか?』
ということを延々と考えていかなきゃならないんだ。
0
お気に入りに追加
11
あなたにおすすめの小説



サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

後宮の棘
香月みまり
キャラ文芸
蔑ろにされ婚期をのがした25歳皇女がついに輿入り!相手は敵国の禁軍将軍。冷めた姫vs堅物男のチグハグな夫婦は帝国内の騒乱に巻き込まれていく。
☆完結しました☆
スピンオフ「孤児が皇后陛下と呼ばれるまで」の進捗と合わせて番外編を不定期に公開していきます。
第13回ファンタジー大賞特別賞受賞!
ありがとうございました!!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる