ショタパパ ミハエルくん

京衛武百十

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第四幕

また別の言葉が考え出されるだけなんじゃないの?

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<親ガチャ>という言葉自体には、なるほど大した意味はないのかもしれない。だけど、おかしいよね? じゃあどうしてその<大した意味もない言葉>を必死になって否定しようとしてるの?

『親ガチャに外れた』

と言われてショックを受けるのは、それを口にした人間の親だけのはずだけど、どうして無関係な赤の他人が、それを口にした人間を<自分では努力せず、自身が報われないのを親の所為にしている愚者>だと断定できるの?

改めて言うけど、重要なのは<親ガチャ>という言葉じゃないはずなんだけどな。問題なのはあくまで、

<『親ガチャに外れた』と口にせずにいられない人間の背景>

であって、言葉そのものはなんでもいいはずだよ?

何しろ人間は、昔から、

『もっといい親の下に生まれたかった』

的なことを言ってきたはずなんだから。なのに、そんなに<親ガチャ>という言葉が刺さったの?

だとすれば、その言葉を考え出した人間の功績だね。だって、

『大して意味もない言葉に囚われて感情的になる人間と、その言葉が使われる背景を理解して具体的に対処する人間、双方の姿を炙り出した』

わけだから。

『親も人間なんだから完璧になれるわけじゃない』

と言うのなら、何らかの形で子供から反発を受け批判されるようなことをしてしまう可能性だってあって当然だよね?

それとも、自分が完璧でいられないことを『批判さえするな』と言うの? じゃあどうして、それを口にする人間が、他愛もないことで他者を批判するの? おかしくないかな?

『中身もない言葉だ』

と言いながら聞き流すこともできずに否定しようと躍起になるのは、実際には<中身もない言葉>だと思えていないからだよね?

今現在、子供を育てている親である僕やアオが<親ガチャ>という言葉そのものじゃなく、その言葉を使わずにいられない背景について考えているのに、それと同じことができないから、言葉そのものを抹消しようとしてるの? そんなことをしたってまた別の言葉が考え出されるだけなんじゃないの?

SNSのコメント欄には<NGワード>を設定しているところも多いはずだけど、わざわざ表現を変えて制限を回避してまで悪罵コメントを投稿する人間もいるよね?

<親ガチャ>という言葉をいくら抹消しようとしても規制しようとしても同じことが起こるだけだと思うけど?

なにより、他者への悪罵をやめられない人間が<親ガチャ>という言葉を目の敵にする意味が分からない。

自分のやってることを省みる必要があると思うんだけどな。

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