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第四幕

それを証拠にすると言うなら

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そして僕がこんな風に言うと反発する人間もいるだろうね。だけど、

『<親ガチャ>という言葉を使う人間を、自分では努力せず、自身が報われないのを親の所為にしていると決め付けて蔑む態度も反発を招いて当然』

のはずだけどな。どうしてそれが理解できないのかが僕には理解できないんだ。

それに、安和アンナのHPで悪罵を繰り返す人間達が、皆、いわゆる底辺をさまよっているだけの者達だとは限らない。中には、<子を持つ親>もいるかも知れない。安和のHPを見て、自身の子供がそれに憧れを抱いて比較されたりするのは嫌だから、

『こんなことをしているとこんな目に遭う』

というのを演出したいと考えている者だっているかも知れない。それをただの<空想>と決め付けるなら、

<子供に与える影響>

<それを見た者が真似をする可能性>

などというものも<空想>に過ぎないんじゃないのかな?

いずれにせよ、確実に証拠になるものがなければただ勝手にそう言っているだけに過ぎないよね。僕が言っていることも含めて。

それに、HPを見ただけで影響を受けるなら、実際に事件を起こした人間の中にそういう者がいたと、それを証拠にすると言うなら、どうして親が子供に与える影響を無視できるの?

『親が子供に与える影響は微々たるものだけど、テレビ番組やHPが与える影響は大きい』

とでも言いたいの? それはすごく不可解だな。

テレビ番組やHPや漫画やゲームに影響力で負ける親って、何なんだろうなってすごく思う。それはつまり、テレビ番組やHPや漫画やゲームほども子供から重視されていない親だということじゃないのかな。

それ以前からもぼんやりと思っていたことだけど、自分自身が親になって、はっきりと感じるようになった。

悠里ユーリ安和アンナ椿つばきも、すごく僕やアオのことを見ている。その実感がある。だけど考えてみればそれは当然のことだ。だって子供からすれば親は、自身の命そのものを握っている、いわば、

<生殺与奪の権を握っている存在>

なんだ。それを注視しない方がむしろ不自然だよね? 注視していればそれだけ影響も受ける。ごく自然なことだと思うんだけどな。

なのに、ただ消費されるだけの、単なる通りすがりに過ぎないコンテンツに、影響力の面で親が負ける? つまりその程度にしか子供と関わってないということだよね? そんなの、親として自慢できることなの?

もちろん、<単なる通りすがりに過ぎないコンテンツ>であっても、影響力がまったくないとは言わないよ。だけど、それを親が上回れないというのが不思議なんだ。

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