475 / 697
第四幕
言い方の問題
しおりを挟む
僕が淹れたコーヒーを口にしながら、アオは言う。
「つくづく、『言いたいことも言えない世の中とかおかしい』とか言いながら誰かが愚痴をこぼすと叩く風潮って、なんなんだろうね。<親ガチャ>って話もそうじゃん。それを口にしてる本人は『言いたいことを言ってる』だけでしょ? 『言いたいことも言えない世の中とかおかしい』って言うんだったらなんで言っちゃいけないの?
もし<言い方の問題>って言うんだったら、その<親ガチャ>って言葉を使ってる当人を、<自分では努力もしないで親の所為にしてる甘ったれ>と決め付けてこき下ろすのもおかしいじゃん。それこそ『言い方が悪い』ってもんじゃないの? だから結局、自分だけが言いたいことを言いたいように言いたいだけっていうのがバレちゃってるんだよ」
それに対して悠里も、
「そうだよね。<ガチャ>って言葉の定義を論点にして『子供はガチャを回してるわけじゃないから<親ガチャ>という言い方はおかしい』とか言ってる人もいるけど、それはただの揚げ足取りだと僕も思うんだ。問題の本質はそこじゃないんじゃないかな。どうして<親ガチャ>なんてことを言いたいと考えるのか?って部分について考えないと何も始まらないって気がする」
だって。すると安和が、
「私はどっちかって言ったら<親ガチャ>って言い方は気に入らないけどね。なんかママやパパのこと馬鹿にされてるみたいな感じはする」
とも言った。母親や兄に迎合するんじゃなくて、ちゃんと自分の意見を口にしてくれる。それはとても大事なことだろうな。そして、
「そういう意味で『<親ガチャ>って言葉はよくない』って感じるのは分かるし、そう感じるのを否定はできないよ。でもさ、<言い方>を論点にするなら、<親ガチャ>って言葉を使う人を貶めるような言い方だってするのはおかしいよね? それなのに、『<親ガチャ>って言葉を使うのはダメ』で、『<親ガチャ>って言葉を使う人を貶すのはいい』みたいなことをしてるから、何にも説得力がないんだよね。しかも、自分でそれを理解しようともしない。指摘すると余計にムキになるだけ。自分がそうなんだから<親ガチャ>って言葉を使う人だって同じようにムキになるだけなんだよ。どうしてそれを理解しようとしないの?
だからやっぱり、自分だけが一方的に言いたいことを言いただけ、一方的に責めたいだけ、一方的に罵りたいだけ、っていうのが透けて見えちゃうから正論にさえならないんだよ」
アオは安和の言葉を受け止めた上でそう応えるんだ。
「つくづく、『言いたいことも言えない世の中とかおかしい』とか言いながら誰かが愚痴をこぼすと叩く風潮って、なんなんだろうね。<親ガチャ>って話もそうじゃん。それを口にしてる本人は『言いたいことを言ってる』だけでしょ? 『言いたいことも言えない世の中とかおかしい』って言うんだったらなんで言っちゃいけないの?
もし<言い方の問題>って言うんだったら、その<親ガチャ>って言葉を使ってる当人を、<自分では努力もしないで親の所為にしてる甘ったれ>と決め付けてこき下ろすのもおかしいじゃん。それこそ『言い方が悪い』ってもんじゃないの? だから結局、自分だけが言いたいことを言いたいように言いたいだけっていうのがバレちゃってるんだよ」
それに対して悠里も、
「そうだよね。<ガチャ>って言葉の定義を論点にして『子供はガチャを回してるわけじゃないから<親ガチャ>という言い方はおかしい』とか言ってる人もいるけど、それはただの揚げ足取りだと僕も思うんだ。問題の本質はそこじゃないんじゃないかな。どうして<親ガチャ>なんてことを言いたいと考えるのか?って部分について考えないと何も始まらないって気がする」
だって。すると安和が、
「私はどっちかって言ったら<親ガチャ>って言い方は気に入らないけどね。なんかママやパパのこと馬鹿にされてるみたいな感じはする」
とも言った。母親や兄に迎合するんじゃなくて、ちゃんと自分の意見を口にしてくれる。それはとても大事なことだろうな。そして、
「そういう意味で『<親ガチャ>って言葉はよくない』って感じるのは分かるし、そう感じるのを否定はできないよ。でもさ、<言い方>を論点にするなら、<親ガチャ>って言葉を使う人を貶めるような言い方だってするのはおかしいよね? それなのに、『<親ガチャ>って言葉を使うのはダメ』で、『<親ガチャ>って言葉を使う人を貶すのはいい』みたいなことをしてるから、何にも説得力がないんだよね。しかも、自分でそれを理解しようともしない。指摘すると余計にムキになるだけ。自分がそうなんだから<親ガチャ>って言葉を使う人だって同じようにムキになるだけなんだよ。どうしてそれを理解しようとしないの?
だからやっぱり、自分だけが一方的に言いたいことを言いただけ、一方的に責めたいだけ、一方的に罵りたいだけ、っていうのが透けて見えちゃうから正論にさえならないんだよ」
アオは安和の言葉を受け止めた上でそう応えるんだ。
0
お気に入りに追加
11
あなたにおすすめの小説

ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。





ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる