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第四幕

<言論の自由><表現の自由>は、自身の意図を表することを保障していても、<加害行為>を正当化はしない

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「やれやれ。何やってんだろうね……」

呟きながら安和アンナは、<罵倒コメント>を削除していく。

何をもって<罵倒>とするかは、どこまでも安和の主観だ。だから明確な線引きさえない。その時の気分によってさえ微妙に変わる。

人間はそれを<不公平>と称するだろうけれど、このHPはあくまで安和が管理しているもの。運営方針は安和が自由に決めていい。

『法律に反しない限り』

だけどね。

けれどこれを言うと人間は、

『言論の自由、表現の自由の侵害だ!』

と言うだろう。けれど、<言論の自由><表現の自由>は、

『他者を害していい』

ということを保障してるわけじゃないよ? 

『表現の自由だ』

などと詭弁を掲げて、街中で全裸でパフォーマンスをしているのがいたらどうなると思うの? 普通は<猥褻物陳列罪>や<迷惑行為防止条例>とかの適用を受けて連行されたりするよね?

<自由>は<無法>のことじゃないんだよ。

<自由>には<責任>が伴うんだ。自身の行いに対する責任がね。他者を傷付ける意図を持って言葉を発するなら、言葉そのものではなく、

<他者を傷付けようという意図>

が咎められるんだよ。創作の中で、『死ねよ!』的な言葉が使われても、それはただの<表現>であって具体的に誰かに殺意を向けているわけじゃないよね? 殺意を向けられている相手はあくまでその創作の中に登場する<キャラクター>だ。キャラクターはあくまで、

<作劇のための記号>

であってそこに<人格>はない。人格があると見えるように<演出>や<描写>が加えられているだけでしかない。

作劇として、あるキャラクターが別のキャラクターに殺意を向けている状況に見えるようにという<演出>であり<描写>に過ぎないんだ。

人間に見えるように描かれた絵を見た者が、

『これは人間です』

と言っているのと同じ。絵は決して<人間>じゃない。人間に見えるように描写されているから『人間のように見える』だけで、実際にそこにあるのはただの<模様>なんだ。

<人間のようにも見える模様>

だよ。

それと同じ。創作の中にある<殺意>や<害意>は、

<殺意のようにも見える表現>

<害意のようにも見える表現>

でしかなく、本当の殺意でもなければ害意でもない。どこまでいっても<表現>でしかない。受け手の解釈によってはショックを受けたりすることはあるとしても、創作者側に受け手を害する意図がなければ、加害行為は成立しない。

でもね、明確に相手を害そうという意図を持って発せられた言葉は、ただの<表現>じゃない。それは、

<行為>

なんだ。れっきとした、

<加害行為>

なんだよ。<言論の自由><表現の自由>は、自身の意図を表することを保障していても、<加害行為>を正当化はしない。

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