ショタパパ ミハエルくん

京衛武百十

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第四幕

言い訳として<過保護>という言葉を使う

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いずれにせよ、自分が手間を掛けたくないからその言い訳として<過保護>という言葉を使う人間は、押しなべて、

『他人に厳しく自分に甘い』

タイプだと思う。そもそも、自分に甘くなければ『手間を惜しむ』ということもないからね。

今の便利で安全な社会を生きている人間に、<過保護>を批判する資格なんてないと思うよ。問題なのはあくまで<過干渉>だから。

『危険を恐れて何もさせない』

というのは、<過干渉>だよ。

『失敗して取り返しのつかないことにならないように安全対策を施す手間を惜しむために最初から何もさせない』

のは<干渉>であって<保護>じゃない。なにしろ、『子供を守るのが目的』じゃなくて、

『自分が責任を負いたくない』

というのがそれをする理由だからね。保護を目的にしてるんじゃなくて、

『自分が責任を負いたくないから干渉してる』

『面倒な安全対策を施したくないから、最初からやらせないように干渉してる』

だけだよね? それを<過保護>と言うのはおかしいよ。

僕やアオが紫音しおんのことを椿つばきに任せているのは、彼女が紫音の力になりたいと思っているのを尊重しているからだ。紫音のことで彼女の身に危険が及ばないように対処もしつつ、椿の意思は尊重する。

面倒を恐れて最初から紫音に関わらせないように干渉するのは、<保護>じゃない。

そしてこうして、椿が寝付くまで添い寝するのは、彼女の不安を取り除き、僕達がこうして椿を気にかけていることを彼女に実感してもらうことでその精神を守るのが目的で、こちらから干渉してるわけじゃない。

『大人になってからもこうしないとストレス解消もできないようになる』

みたいなことを言う人間もいると思うけど、今の椿のような形で心を守る代わりに、イジメやパワハラやセクハラやネットでの暴言という形で誰かにストレスを転嫁したりお酒を飲んで道端に吐いたりという形でストレス解消するのが、

<大人としての正しい姿>

<立派な大人の姿>

だとでも言うの? それが、

<自立してる大人の姿>

だとでも? そんな風に他者に迷惑を掛けないとストレス解消もできない大人のどこが、

『自立してる』

と言うの? 自分以外の誰かに依存してるよね? 何かに依存してるよね? そうやって依存しなくちゃ自分を保てない状態が<自立>なの?

そんな風に他者に迷惑を掛けることなく家族の間で対処できるなら、その方が迷惑を被る人間がいなくなると思うけどな。

だから椿が大人になってもこれを必要としてるなら、僕はその手間を掛けるよ。

この手間を惜しんで自分の家族のストレス解消をの手段を他者に押し付けるよりはいんじゃないのかな?

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