ショタパパ ミハエルくん

京衛武百十

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第四幕

増長しやすくなった

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インターネットが普及したことで、

『自分の周りに共感してくれる者がほとんどいなかった人間でも、共感し同調してくれる相手を見付けやすくなった』

というのは、なるほど<功>の部分だと思う。けれどその分、かつてはそういう形で声が世の中に届きにくかった人間達が、

『自分に共感してくれる者がこんなにいる』

『自分を支持してくれる者がこんなにいる』

と解釈して『増長しやすくなった』というのは、<罪>の部分かもしれない。

もちろん、孤独に苛まれていた者が、同じ悩みを持つ者達と力を合わせやすくなったのはいいことだとは僕だって思うんだ。でも、だからってそれを盾にして誰かを攻撃するというのは違うんじゃないかな。

自分がそれまで周囲から虐げられてきたことへの<報復>のつもりなのかもしれないけど、

<攻撃的な人間>

をどんな風に感じていたのか、自分自身がよく知ってるんじゃないの? <攻撃的な人間>を自分は受け入れられてたの?

そうじゃないなら、<報復>という形で自分が周囲に対して攻撃的になれば、結局、反発を招くだけだよね?

虐げられてきたことに対して鬱屈した気持ちを持っているというのはあると思う。でも、自分の存在を周囲に認めてもらいたいのか、それともただ虐げらえてきた鬱憤をぶつけたいだけなのかは、自分でよく考えた方がいいと思うんだ。

『ただ虐げらえてきた鬱憤をぶつけたいだけ』

なら、結局は、

<数の力>

の前には屈するしかないと思うけどね。

今は、

『それまで声を上げられなかった者達の声に耳を傾けて』

くれているとしても、それが、

『社会を蝕む』

と判断されれば大きな揺り戻しが起こるんじゃないかな。社会と折り合いを付けるんじゃなくて、

『自分達を優遇しろ!!』

みたいな態度として受け取られたら、反発も招いて当然じゃないの?

その反発が蓄積されればやがてそれ自体が力を持つのは自明の理だと思うんだけどな。そして<少数>は<多数>に飲み込まれることになる。

インターネットを得たことで自身の力が強くなったと感じているとしても、それは<実>のない<虚構>でしかないよ。

じつが伴わないものは、それがまだ<利>をもたらすならそれなりに定着するとしても、利をもたらすどころか<損>にしかならないと見做されたら、見限られるんじゃないかな。

『やられたらやり返す』

そう思いたいのは分からないでもない。だけど、実体のない力を当てにしてそれをして上手くいくと思うのかな?

それの行きつく先は<自爆テロ>しかなくなると思うんだけど……

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