ショタパパ ミハエルくん

京衛武百十

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第四幕

そのきっかけなしに

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もしかして人間が結婚して子供を作るのって、

『自分が確実にマウントを取れる相手を作るため』

なの? だったら、

『生んでくれなんて頼んでない!!』

って子供に言われても当然だよね? 誰が好き好んでマウント取られるためにこの世に来ようと思うの?

アオは、まさにそういう家庭に生まれた。たまさか妊娠したのを、長男のスケープゴートにしようとしたんだ。しかも女の子だったから、<長男の性的欲求を満たすための道具>にとも、アオの両親は考えていたらしい。

幸い、そこまでのことはなかったけど、

『他所の子に手を出して問題になるくらいなら』

と思っていたのは事実だそうだ。

こうなるともう<マウント>どころじゃないよね。

だけど、そこまでじゃないにしてもマウントを取るために家族を作っている人間も多そうだ。

確かに、親が子供に対してマウントを取るのはたやすいだろうね。

自分が見捨てたら生きていけない相手に対してマウントを取るのは楽しいかい?

他所の家庭のやり方に口を出すつもりはないけど、自分のやったことがどんな結果をもたらそうともそれを受け止める覚悟は必要だと思うんだけどね。

子供が幼いうちはマウントを取っていられたけど、成長し腕力で敵わなくなった途端に立場が逆転して虐げられるようになったとしても、それは自分が招いたことのはずだよ? なのに被害者ぶって『殺すしかなかった』とか、ずいぶんと自分に甘いよね。

もちろん、だからといって、

『理由があれば何をやってもいいわけじゃない』

というのはある。あるけどそれは、

『子供の頃に親に虐げられていたから、成長してから親を虐げていいわけじゃない』

というのと同時に、

『幼い頃に虐げていた子供が成長して今度は自分を虐げてきたからって殺していいわけじゃない』

ということなんだけどね。

その当たり前のことと向き合おうともしないのは、『甘えてる』ってことじゃないの?

そう考えれば、家族に対してマウントを取ろうとする姿勢そのものが甘えでしかないと分かると思うんだけどな。

アオは、自分がそうされてきたからこそ、悠里ユーリ安和アンナ椿つばきに対してマウントを取ろうとはしない。

だけどそこで間違えちゃいけないのは、

『つらい思いをした分だけ人間は優しくなれる』

わけじゃないということ。アオが両親から受けた仕打ちを悠里や安和や椿に向けないでいられるのは、それが好ましいことじゃないというのを気付かせてくれたきっかけがあったからだ。そのきっかけなしに『つらい思いをした分だけ人間は優しくなれる』わけじゃないんだよ。

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