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第三幕
きちんと報告
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警官達の態度は、人間の場合はすごく不快なものだったかもしれない。だけど、僕達は、『ロシア人のように見える』けど、<ロシア人>じゃないし、そもそも人間じゃない。
ロシア人に対する悪感情を向けられても、僕達には本質的には関係ない話だから、
『仕事中に自分の私情を抑えようともしない稚拙な人間だな』
という印象しかないんだ。そんなことよりも手際よく手続きを済ませてほしいというのが正直なところかな。
セルゲイも苦笑いを浮かべるだけで受け流してる。
一方、見た目には三歳から四歳くらいの幼児にしか見えない安和と悠里は、女性警官が別室で絵本を読み聞かせてくれてたそうだ。二人はそんな女性警官に合わせておとなしくしてくれてた。
そうして警察での事情聴取を終え、徒歩でホテルへと向かう。タクシーで行っても良かったんだけど、
「ムシャクシャするし、体を動かしたい」
という安和の提案を受け入れた形だ。
それに、実は僕自身、昔、イタリアを訪れた時にタクシーにも乗ったんだけど、これがまたひどくて、車内が何とも言えない臭いに包まれていた上に、走っている時の振動でドア部分の内装が外れて、そこから雑草が生えた土が出てきたということがあったんだ。なのに運転手は、
「イタリアじゃよくあることだ、気にすんな!」
と笑ってただけなんだ。この辺りの感覚は、僕にもよく分からない。陽気と言えば聞こえもいいんだろうけど、ただの<無神経>のような気もするね。
もちろん、イタリア人全員がそうだとは言わないにしても、少なからずそういうタイプに遭遇する確率は明らかに高いと思う。
そうして日付が変わった頃にようやくホテルに着いて、アオに繋ぐ。日本ではちょうど椿が起きたところだった。
「おはよう」
「おはよう!」
仕事明けのアオと、学校があるから起きてきて着替えたところだった椿とビデオ通話で顔を合わす。
今回のホテルは、人間が経営してる一般のホテルだったけど、さすがにそんなに気にしなくて大丈夫なところだった。それなりのレベルだったこともあって、室内も綺麗だ。聞くところによると、オーナーはイギリス人で、イギリス式の管理を行ってるらしい。『格調高さ』に拘る傾向のあるイギリス人らしさが出てるのかもしれない。
それはさておき、置き引きの件については、きちんと報告しておく。
「まあ、大丈夫だとは思うけど、気を付けてね」
さすがにアオ自身慣れてきたからか落ち着いてはくれてたけど、やっぱり心配そうだったな。
ロシア人に対する悪感情を向けられても、僕達には本質的には関係ない話だから、
『仕事中に自分の私情を抑えようともしない稚拙な人間だな』
という印象しかないんだ。そんなことよりも手際よく手続きを済ませてほしいというのが正直なところかな。
セルゲイも苦笑いを浮かべるだけで受け流してる。
一方、見た目には三歳から四歳くらいの幼児にしか見えない安和と悠里は、女性警官が別室で絵本を読み聞かせてくれてたそうだ。二人はそんな女性警官に合わせておとなしくしてくれてた。
そうして警察での事情聴取を終え、徒歩でホテルへと向かう。タクシーで行っても良かったんだけど、
「ムシャクシャするし、体を動かしたい」
という安和の提案を受け入れた形だ。
それに、実は僕自身、昔、イタリアを訪れた時にタクシーにも乗ったんだけど、これがまたひどくて、車内が何とも言えない臭いに包まれていた上に、走っている時の振動でドア部分の内装が外れて、そこから雑草が生えた土が出てきたということがあったんだ。なのに運転手は、
「イタリアじゃよくあることだ、気にすんな!」
と笑ってただけなんだ。この辺りの感覚は、僕にもよく分からない。陽気と言えば聞こえもいいんだろうけど、ただの<無神経>のような気もするね。
もちろん、イタリア人全員がそうだとは言わないにしても、少なからずそういうタイプに遭遇する確率は明らかに高いと思う。
そうして日付が変わった頃にようやくホテルに着いて、アオに繋ぐ。日本ではちょうど椿が起きたところだった。
「おはよう」
「おはよう!」
仕事明けのアオと、学校があるから起きてきて着替えたところだった椿とビデオ通話で顔を合わす。
今回のホテルは、人間が経営してる一般のホテルだったけど、さすがにそんなに気にしなくて大丈夫なところだった。それなりのレベルだったこともあって、室内も綺麗だ。聞くところによると、オーナーはイギリス人で、イギリス式の管理を行ってるらしい。『格調高さ』に拘る傾向のあるイギリス人らしさが出てるのかもしれない。
それはさておき、置き引きの件については、きちんと報告しておく。
「まあ、大丈夫だとは思うけど、気を付けてね」
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