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第三幕
説明
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安和は、自身のレビューサイトに猫のブローチのレビューをアップした後、それを丁寧に梱包し始めた。日本に送るためだ。
そしてそれを持って、僕と一緒にフロントに行く。
「これを日本に送ってほしいんだけど」
「はい、承知しました。システムは理解していただいていますか?」
安和が荷物を差し出すと、ルドルフが確認しながら、問い掛けてくる。それに対して、
「説明をお願いします」
代わりに僕が応える。僕やセルゲイはシステムをよく理解してるけど、安和はまだそこまでじゃないからね。
「承知しました。それでは、ご説明いたします。まず、お預かりした荷物は、日本当てですので、日本に向けてのルートとしましては、スイスおよびドイツを中継するルートと、中国およびシンガポールを中継するルートがございます。
料金は、スイス・ドイツルートが六千ルーブル。中国・シンガポールルートは五千ルーブルです。事故率は、スイス・ドイツルートが約一パーセント。中国・シンガポールルートは約三パーセントとなっております」
ルドルフは、丁寧にそう説明してくれる。つまり、スイス・ドイツルートは料金が少し高いけど事故率が低く、中国・シンガポールルートは料金は割安だけど事故率は高くなるということだ。<事故率>というのは、当然、途中で荷物が紛失したり壊れたりする確率を指す。
「どちらも保険料が含まれてますので、万が一の事故の場合にも、十万ルーブルを上限に実費が補償されます。もし、中の品物の代金がそれ以上で、補償が必要な場合には、別途、保険を付けることができます」
そこまで説明を受けた安和は、
「スイス・ドイツルートでお願い。保険は要らない」
きっぱりとそう言った。
「承知しました。それでは、こちらの送り状に必要事項のご記入を願います」
それは、吸血鬼の互助組織間で荷物をやり取りするための特殊なものだった。ドイツまでは、ロシアから輸出する物品にまとめられて送られ、ドイツからそれぞれの国に向けて改めて発送される。だから発送元がドイツの互助組織の事務所のそれになってるんだ。
「基本的には日本から荷物を送る時とそんなに違わないけど、細かい部分が違ってるから、気を付けてね」
僕が教えながら安和に記入してもらう。今までは僕がしてたことを、彼女にもしてもらうようにしたんだ。
いずれ、安和も、自分で世界中を渡り歩くことにもなるだろうから、この辺りのことも少しずつ知っていってもらわないとね。
もちろん、今回の一回だけじゃ覚えられないだろうけど、そのためにも何度も経験する必要がある。
それをこうして実地で学んでいってもらうんだ。
そしてそれを持って、僕と一緒にフロントに行く。
「これを日本に送ってほしいんだけど」
「はい、承知しました。システムは理解していただいていますか?」
安和が荷物を差し出すと、ルドルフが確認しながら、問い掛けてくる。それに対して、
「説明をお願いします」
代わりに僕が応える。僕やセルゲイはシステムをよく理解してるけど、安和はまだそこまでじゃないからね。
「承知しました。それでは、ご説明いたします。まず、お預かりした荷物は、日本当てですので、日本に向けてのルートとしましては、スイスおよびドイツを中継するルートと、中国およびシンガポールを中継するルートがございます。
料金は、スイス・ドイツルートが六千ルーブル。中国・シンガポールルートは五千ルーブルです。事故率は、スイス・ドイツルートが約一パーセント。中国・シンガポールルートは約三パーセントとなっております」
ルドルフは、丁寧にそう説明してくれる。つまり、スイス・ドイツルートは料金が少し高いけど事故率が低く、中国・シンガポールルートは料金は割安だけど事故率は高くなるということだ。<事故率>というのは、当然、途中で荷物が紛失したり壊れたりする確率を指す。
「どちらも保険料が含まれてますので、万が一の事故の場合にも、十万ルーブルを上限に実費が補償されます。もし、中の品物の代金がそれ以上で、補償が必要な場合には、別途、保険を付けることができます」
そこまで説明を受けた安和は、
「スイス・ドイツルートでお願い。保険は要らない」
きっぱりとそう言った。
「承知しました。それでは、こちらの送り状に必要事項のご記入を願います」
それは、吸血鬼の互助組織間で荷物をやり取りするための特殊なものだった。ドイツまでは、ロシアから輸出する物品にまとめられて送られ、ドイツからそれぞれの国に向けて改めて発送される。だから発送元がドイツの互助組織の事務所のそれになってるんだ。
「基本的には日本から荷物を送る時とそんなに違わないけど、細かい部分が違ってるから、気を付けてね」
僕が教えながら安和に記入してもらう。今までは僕がしてたことを、彼女にもしてもらうようにしたんだ。
いずれ、安和も、自分で世界中を渡り歩くことにもなるだろうから、この辺りのことも少しずつ知っていってもらわないとね。
もちろん、今回の一回だけじゃ覚えられないだろうけど、そのためにも何度も経験する必要がある。
それをこうして実地で学んでいってもらうんだ。
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