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第三幕

人間というカテゴリで一括りにして

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僕はアオを愛してる。悠里ユーリを愛してる。安和アンナを愛してる。椿つばきを愛してる。

僕にとっては何ものにも代え難い大切な存在。

アオ達を害しようという者がいるなら、それが容赦なくアオ達を害そうとするなら、僕も容赦しない。

この世界の人間達全てがアオを、悠里を、安和を、椿をこの世から排除しようとするなら、僕はこの世界の全ての人間を眷属に変えて僕の奴隷として使うことも厭わない。

僕は吸血鬼なんだ。人間とは本質的な部分の感覚が違う。

だけど、その『違う』という部分を理解してくれる人間もいる。アオを筆頭に。

アオの友人のさくらもそうだし、カナダで出逢ったミチホ、厨崎美千穂くりやざきみちほもそうだ。

その事実がある以上、僕は人間の全てを眷属に変えてしまう必要性は感じてない。

覚悟は持ちながらも、現実と向き合うことはやめたくない。それをやめてしまったら、吸血鬼は本当にただの<怪物>になってしまう。

だから人間にも、事実や現実と向き合うことを心掛けてほしいと思う。

諦めないでほしいと思う。

何らかのカテゴリで一括りにして決め付けてしまうのは避けて欲しいと思う。

どんなに面倒に思えても、どんなに無意味に思えても、一人一人を見ることを諦めてほしくないんだ。だって、そうやって誰かを一括りにして決め付けてしまうことを容認するなら、自分が誰かからそういう風に一括りにされて<自分>を見てもらえないことも認めなきゃいけないよ。

自分は誰かをカテゴリで一括りにしてしまうのに、自分のことは、

『一括りにするな!』

と言うのは、やっぱりおかしいよ。

相手に先にそうしてもらうことを期待してていいのは、子供のうちだけだと思う。仮にも<大人>と呼ばれるのなら、まずは自分が手本を示さなきゃと思うんだ。

そうして初めて、自分も相手からそうしてもらえるからね。

『向こうが一括りにしてくるから!』

と<誰かの所為>にしているうちは、何も進まないよ。

アオはそれができる人だったから僕と出逢えた。僕を見付けてくれた。僕は、そんなアオに救われた。そしてアオは、僕がこの世界を見限って怪物になってしまうことを防いでくれたんだ。

誰も気付いてなくても、誰にも認められなくても、彼女はこの世界そのものを救ったんだよ。

もっとも、アオ自身、まったく自覚はしてないと思うけどね。

でも、それでいいと思う。彼女は決して、

『救世主として賞賛を浴びたい』

と思ってるわけじゃないから。そういう人間だから僕は彼女と一緒にいられている。

そんな人間もいるんだよ。

人間というカテゴリで一括りにして決め付けていたら、僕は彼女と出逢えなかっただろうな。

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