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第二幕
椿の日常 その7
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友達が遊びに来た椿は、ガレージを改装した<遊び部屋>で一緒に遊ぶ。
そこは、万が一汚したりしてもそのまま洗ってしまえるように、実は浴室と同じ構造になっていた。壁も床も天井も、ユニットバス用のそれが流用されて組まれている。そこにカーペットを敷いてエアコンを設置して、部屋のようにしているのだ。
シャッター横のドアを開けて入ると、玄関のように設えられた奥行き一メートル弱の空間があり、そこで靴を脱いで引き戸を開けると部屋になっている。
部屋の中も、ユニットバスが基になっていると言っても、壁は全面、ホワイトボードになっていて、ホワイトボード用のペンで落書きできるという。
が、子供も、
『落書きしてもいい!』
と言われると、しばらくは喜んで落書きするものの、ほとんどはある程度の期間が過ぎると満足するのか飽きてくるのか、案外、長続きしないもののようだ。
悠里も安和も椿も、最初は喜んで落書きしていたが、二年もするとやらなくなった。
ただ、いろんな色でいろんな形をしたマグネットシートも用意されているので、それらを組み合わせて自分達で好きなように壁を彩るということもでき、椿と、いつも遊びに来る<友達>は、今、特にそれにハマっていて、毎回、誰が一番『イケてる模様』を作れるかという遊びをしていた。
そうやって子供達が楽しんでるので、アオも気を良くして、新しくマグネットシートを大量に補充したりするため、今では壁全面を覆い尽くしてもなお余るほどのシートが用意されている。
マグネットシート一つ一つの磁力は、面で張り付いてようやく支えられる程度の弱いものなので、それだけ集まってもスマホにさえ影響を与えるようなものではないものの、感覚が鋭い吸血鬼やダンピールには感じ取れてしまうくらいには磁力も生じていて、実は悠里や安和はあまり近付かなくなっている。
長く部屋にいると、『酔う』そうだ。
ミハエルも同じ理由で部屋には入らない。が、壁一つ隔てればそれもないので、元はガレージの奥に設けられた物置だったスペースを改装した<書斎>で、様子を窺っている。
で、今日も、きゃあきゃあとはしゃぎながら壁に模様を作っていってる様子が伝わってくるだけだった。
「わあ! 椿ちゃん、キレイ♡」
友達の一人が、椿の作っているそれを見て歓声を上げる。
椿が作っていたのは、赤系統や黄系統のシートを組み合わせた、太陽を思わせるモザイク模様だった。
グラデーションが見事で、何とも言えない力強さと輝きを感じさせるものだった。
決してぐいぐいと前に出ることはないものの、同時に、揺らぐことなくその場にあり続け光を放ち続けるという、椿の本質そのものを現した模様だと言えるだろう。
そこは、万が一汚したりしてもそのまま洗ってしまえるように、実は浴室と同じ構造になっていた。壁も床も天井も、ユニットバス用のそれが流用されて組まれている。そこにカーペットを敷いてエアコンを設置して、部屋のようにしているのだ。
シャッター横のドアを開けて入ると、玄関のように設えられた奥行き一メートル弱の空間があり、そこで靴を脱いで引き戸を開けると部屋になっている。
部屋の中も、ユニットバスが基になっていると言っても、壁は全面、ホワイトボードになっていて、ホワイトボード用のペンで落書きできるという。
が、子供も、
『落書きしてもいい!』
と言われると、しばらくは喜んで落書きするものの、ほとんどはある程度の期間が過ぎると満足するのか飽きてくるのか、案外、長続きしないもののようだ。
悠里も安和も椿も、最初は喜んで落書きしていたが、二年もするとやらなくなった。
ただ、いろんな色でいろんな形をしたマグネットシートも用意されているので、それらを組み合わせて自分達で好きなように壁を彩るということもでき、椿と、いつも遊びに来る<友達>は、今、特にそれにハマっていて、毎回、誰が一番『イケてる模様』を作れるかという遊びをしていた。
そうやって子供達が楽しんでるので、アオも気を良くして、新しくマグネットシートを大量に補充したりするため、今では壁全面を覆い尽くしてもなお余るほどのシートが用意されている。
マグネットシート一つ一つの磁力は、面で張り付いてようやく支えられる程度の弱いものなので、それだけ集まってもスマホにさえ影響を与えるようなものではないものの、感覚が鋭い吸血鬼やダンピールには感じ取れてしまうくらいには磁力も生じていて、実は悠里や安和はあまり近付かなくなっている。
長く部屋にいると、『酔う』そうだ。
ミハエルも同じ理由で部屋には入らない。が、壁一つ隔てればそれもないので、元はガレージの奥に設けられた物置だったスペースを改装した<書斎>で、様子を窺っている。
で、今日も、きゃあきゃあとはしゃぎながら壁に模様を作っていってる様子が伝わってくるだけだった。
「わあ! 椿ちゃん、キレイ♡」
友達の一人が、椿の作っているそれを見て歓声を上げる。
椿が作っていたのは、赤系統や黄系統のシートを組み合わせた、太陽を思わせるモザイク模様だった。
グラデーションが見事で、何とも言えない力強さと輝きを感じさせるものだった。
決してぐいぐいと前に出ることはないものの、同時に、揺らぐことなくその場にあり続け光を放ち続けるという、椿の本質そのものを現した模様だと言えるだろう。
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