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第二幕
恵莉花の日常 その20
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恵莉花は、自身の父親であるエンディミオンがかつて<復讐鬼>だったことで復讐がいかにリスキーな行為であるか知ってはいたものの、だからといって復讐を考える者に対して頭ごなしに、
『それはダメだ!』
とは言わなかった。
その辺りについてはアオが散々、復讐について語って聞かせてくれたことと、エンディミオンの性格を考えれば頭ごなしに否定したところでかえって意固地になることは容易に想像できたから言わないようにしていたというのもある。
虐げられてきた者にとっては、被害者にとっては、
『復讐したい!』
と思ってしまうのは当然の感情だということは、恵莉花にも分かる。エンディミオンの境遇をミハエルから聞かされた時には、
「そんなの、復讐して当然じゃん!」
と言ってしまったことさえある。だから実際に苦しめられた者にとっては自然な感情なのだとも実感していた。
けれど、それでも、復讐が実行されれば多くの場合、まったく無関係な人間が巻き添えになる危険性が高いことも、エンディミオンの事例で思い知らされている。
だからこそ、実行されるべきではないことも痛感している。
その一方で、『泣き寝入りは嫌だ!!』と思ってしまうのも当然の反応。
だとしたら、その気持ちを受け止めることで少しでも気持ちを和らげる手伝いをしたい。
ただ単に、
『復讐は犯罪だから許されない!』
ではなくて、苦痛を和らげることで、気持ちが楽になるように力になりたかった。
ただただ泣き寝入りしているだけにならないように心を配りたかった。
無論、世界中の全ての<復讐を願う者>を同じように思いとどまらせることはできなくても、少なくとも自分の親しい者が、無関係な者を巻き添えにして、
『復讐する側から復讐される側になる』
ことは回避したかった。ただでさえ傷付いているのに、そこにさらに<負い目>を背負い込むようなことはしてほしくなったから、できる範囲のことはしたい。
本来なら千華の親がするべきことではあるものの、一方的に頼られるだけだったら無理なものの、恵莉花自身、千華の存在によって救われている部分があるのは事実だから、彼女にも救われてほしい。
単純にそう思う。
自分が両親やアオやミハエルからしてもらってることの、十分の一でも百分の一でもいいからできればと思うのだ。
こうやって親がやらなかったことを他人が負担する形で、それで<最悪の事態>が回避されている。
『家庭環境が悪くても、全員が全員、犯罪者になるわけじゃない』
というのは、結局、<親以外の誰か>のおかげで何とかなっているだけというのが実情だと思われる。
『それはダメだ!』
とは言わなかった。
その辺りについてはアオが散々、復讐について語って聞かせてくれたことと、エンディミオンの性格を考えれば頭ごなしに否定したところでかえって意固地になることは容易に想像できたから言わないようにしていたというのもある。
虐げられてきた者にとっては、被害者にとっては、
『復讐したい!』
と思ってしまうのは当然の感情だということは、恵莉花にも分かる。エンディミオンの境遇をミハエルから聞かされた時には、
「そんなの、復讐して当然じゃん!」
と言ってしまったことさえある。だから実際に苦しめられた者にとっては自然な感情なのだとも実感していた。
けれど、それでも、復讐が実行されれば多くの場合、まったく無関係な人間が巻き添えになる危険性が高いことも、エンディミオンの事例で思い知らされている。
だからこそ、実行されるべきではないことも痛感している。
その一方で、『泣き寝入りは嫌だ!!』と思ってしまうのも当然の反応。
だとしたら、その気持ちを受け止めることで少しでも気持ちを和らげる手伝いをしたい。
ただ単に、
『復讐は犯罪だから許されない!』
ではなくて、苦痛を和らげることで、気持ちが楽になるように力になりたかった。
ただただ泣き寝入りしているだけにならないように心を配りたかった。
無論、世界中の全ての<復讐を願う者>を同じように思いとどまらせることはできなくても、少なくとも自分の親しい者が、無関係な者を巻き添えにして、
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単純にそう思う。
自分が両親やアオやミハエルからしてもらってることの、十分の一でも百分の一でもいいからできればと思うのだ。
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