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第二幕
安和の日常 その2
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安和は思う。
『こうやってちょこちょこっとレビューサイトやってるだけで粘着してくるようなのがいるんだから、<プロ>になんかなったら何言われるんだろ……?』
フードファイトの団体からスカウトが来てプロのフードファイターになれるチャンスが巡ってきた御厨美千穂のことを思い出し、少し心配になってしまった。
セルゲイを巡って<恋のライバル>になっている状態の彼女に対しては思うところもあるものの、だからって痛めつけられてほしいと思ってるわけじゃない。
だからもしもの時には、
『私も味方になろう』
そう思えた。
なお、その美千穂の方はというと、何度もミハエルに契約内容を説明してもらった上で、契約に縛られて自由にできなくなる可能性も承知した上で、正式に契約を結び、晴れて<プロのフードファイター>となった。
彼女の場合は、まず顔と名前が世間に知られて活躍していたわけではないので、多少は不自由になってもそんなに影響はでないだろうし、何より、
『<プロ>の肩書が貰えるから』
というのでOKした形だった。彼女がプロを目指していたのは、自分の<大食い>を蔑んできた家族を見返したかったからというのが一番の理由だろう。
もちろんそれですぐに生計が立てられるようになるわけじゃないものの、今はまだ学生でもあるので、当面は学生をしながらフードファイターとしても活動していく形になる。
ただ、これでプロになったはいいがもしロクに活躍もできずに廃業ともなればそれこそ、
『ほらみたことか!』
と言われるのは火を見るよりも明らかなので、プロになれたことで終わるわけじゃない。むしろここからが大変なのだ。
プロとして活躍できるかどうかももちろんのこと、安和が案じていたように、顔と名前が知られるようになればなるほど<アンチ>と呼ばれる人間に粘着されるようにもなっていくだろう。
そういう者達は、
『叩かれる原因を作った奴が悪い!!』
と、自分達の礼儀礼節に反した行いを<他人の所為>にして正当化し、死ぬまで追い詰めようとしてくることもあるだろう。安和のレビューサイトでさえ罵詈雑言を並べ追い込もうとしてくるのがいるように。
だから自分も、自分にできる範囲ではあるけれど彼女を守りたいと思った。
『叩かれる原因を作った奴が悪い!!』と他人の所為にして礼儀礼節に反したマネをしてくる者達から。
安和は言う。
「<批判>は分かるんだよ。ママの小説のことでも批判があるのは当然だと思う。だけどさ、だったら言葉を選ばなきゃおかしいよね? 自分のやってることが<批判>だって言うんならさ。
でもさ、実際はただの誹謗中傷とか罵詈雑言ばっかじゃん。他人に向かってそういうのは良くないって、親に教わらなかったのかよって思う。学校の道徳の授業で習わなかったのかよって思う。
<批判>と<誹謗中傷>の違いを、お前らの親は教えてくれなかったのかよって思う。
ママはそういうのちゃんと教えてくれたから私はちゃんとしたいと思うんだ」
『こうやってちょこちょこっとレビューサイトやってるだけで粘着してくるようなのがいるんだから、<プロ>になんかなったら何言われるんだろ……?』
フードファイトの団体からスカウトが来てプロのフードファイターになれるチャンスが巡ってきた御厨美千穂のことを思い出し、少し心配になってしまった。
セルゲイを巡って<恋のライバル>になっている状態の彼女に対しては思うところもあるものの、だからって痛めつけられてほしいと思ってるわけじゃない。
だからもしもの時には、
『私も味方になろう』
そう思えた。
なお、その美千穂の方はというと、何度もミハエルに契約内容を説明してもらった上で、契約に縛られて自由にできなくなる可能性も承知した上で、正式に契約を結び、晴れて<プロのフードファイター>となった。
彼女の場合は、まず顔と名前が世間に知られて活躍していたわけではないので、多少は不自由になってもそんなに影響はでないだろうし、何より、
『<プロ>の肩書が貰えるから』
というのでOKした形だった。彼女がプロを目指していたのは、自分の<大食い>を蔑んできた家族を見返したかったからというのが一番の理由だろう。
もちろんそれですぐに生計が立てられるようになるわけじゃないものの、今はまだ学生でもあるので、当面は学生をしながらフードファイターとしても活動していく形になる。
ただ、これでプロになったはいいがもしロクに活躍もできずに廃業ともなればそれこそ、
『ほらみたことか!』
と言われるのは火を見るよりも明らかなので、プロになれたことで終わるわけじゃない。むしろここからが大変なのだ。
プロとして活躍できるかどうかももちろんのこと、安和が案じていたように、顔と名前が知られるようになればなるほど<アンチ>と呼ばれる人間に粘着されるようにもなっていくだろう。
そういう者達は、
『叩かれる原因を作った奴が悪い!!』
と、自分達の礼儀礼節に反した行いを<他人の所為>にして正当化し、死ぬまで追い詰めようとしてくることもあるだろう。安和のレビューサイトでさえ罵詈雑言を並べ追い込もうとしてくるのがいるように。
だから自分も、自分にできる範囲ではあるけれど彼女を守りたいと思った。
『叩かれる原因を作った奴が悪い!!』と他人の所為にして礼儀礼節に反したマネをしてくる者達から。
安和は言う。
「<批判>は分かるんだよ。ママの小説のことでも批判があるのは当然だと思う。だけどさ、だったら言葉を選ばなきゃおかしいよね? 自分のやってることが<批判>だって言うんならさ。
でもさ、実際はただの誹謗中傷とか罵詈雑言ばっかじゃん。他人に向かってそういうのは良くないって、親に教わらなかったのかよって思う。学校の道徳の授業で習わなかったのかよって思う。
<批判>と<誹謗中傷>の違いを、お前らの親は教えてくれなかったのかよって思う。
ママはそういうのちゃんと教えてくれたから私はちゃんとしたいと思うんだ」
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