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第二幕

バラ色の人生

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『一流企業のCEOが特別背任やらかして逮捕されたりもするんだよ? それでなくても、検査データ捏造してたりするんだよ? 独禁法違反やらかしたり、社員に自爆営業やらせてたりするんだよ? 終身雇用なんて遠い過去になってリストラが普通になってるんだよ?』

秋生あきおのその言葉に、やっぱりその場にいた全員が、

「うんうん…!」

と頷くことになった。

アオが言う。

「一流企業に勤めてたって将来が保障されるわけじゃないっていうのは、ホントにそうだよね。

これは、官僚とかになってもそう。

私の兄貴がいい例だよ。

いい学校に行って官僚になったけど、上司に反発してやる気をなくして、そこに高待遇で民間企業からの引き抜きの誘いがあってそれに飛びついたのはいいけど、その結末がパワハラで訴えられて会社からも<トカゲの尻尾きり切り>で見捨てられて、いまだに裁判で争ってるんだよ。

最初に訴えられた件については、結局、全面敗訴だったんだけどさ、今度は会社を相手取って、

『パワハラをやったのは会社の指示だ。会社に責任がある』

って裁判起こして、それでまた延々とやり合ってんの。

これのどこが<バラ色の人生>って? 冗談きついでしょ。

確かにこういうのばっかりじゃないのも事実だけどさ、一流企業に勤めてる人が何の苦労もなく幸せにやってるなんてのも、別に普遍的なことじゃないよね? それはそれで苦労も多いんじゃないの?

親が明らかに適切じゃない指示を出しててそれで子供が上手くできなくても親には何の責任もないって、いくらなんでもそれは親の側にとってムシがよすぎるってもんだよね。

これは決して、人生が上手くいかない子供がそれを<親の所為>にして延々と泣き言垂れ流してていいって意味じゃないんだ。何事にも原因があってこそ結果があるってだけの話でさ。

自分の人生を自分で作っていける力が付いてからも、いつまでもウダウダしてるか、それとも自力で這い上がるかを選択するのは、最終的には本人なんだよ。そういう意味では本人にも責任が生じる。そこを履き違えちゃいけないと思うんだ。

だから私も、自分で自分の人生を作ることを選んだ。それができてたら、別に親と一緒に暮らしてても他人がとやかく言うことじゃないよ、きっと」

これは、誰かを一方的に悪人に仕立て上げて、

『他人が悪い!』

『社会が悪い!』

とか喚き散らしていても自分が幸せになれるわけじゃないということを、子供達が理解できるまで、納得できるまで、何度でも何度でも説明するという、アオの、<親としての姿勢>を示しているものだった。

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