101 / 697
ガッツリと食べることに
しおりを挟む
「そうか、それはよかった…!」
翌日は土曜日だったことで、恵莉花と秋生が蒼井家に遊びに来て、ビデオ通話越しに、さくらとエンディミオンが久しぶりに一緒にお風呂に入ってゆっくりと二人の時間を過ごせたという報告を受け、ミハエルがホッとしたように声を上げた。
「だよね~、私もホッとしたよ~♡」
アオも、恵莉花と秋生、椿と一緒に画面を覗き込みながら嬉しそうに言う。
「よかったね、恵莉花、秋生!」
ミハエルの隣では、悠里と安和も笑顔だった。
さくらとエンディミオンが仲良くできていたら皆が嬉しい。
なにしろ、悠里や安和と違って、エンディミオンは迷信に虐げられてきたことでまさに迷信通りの怪物と化したダンピールだったのだから。
さくらとエンディミオンの関係が改善されたことで一安心となり、ミハエル達は改めてカナダでの生活を満喫することになった。
そこで今日は、四人での食事だ。
まずは、ホテルの近くにあったステーキレストランに訪れる。
「お~! いい匂い♡」
安和はレストランの近くに来ただけでそう声を上げる。
「美味しそうだ」
悠里も笑顔になる。
ダンピールであるエンディミオンも、肉、特に血が滴るような肉が好きだったが、この辺りは吸血鬼やダンピールの、『血を欲する』習性が影響してるのだろう。
加えて、その身体能力を発揮するには膨大なエネルギーが必要になる。土が豊富にある場所でならそこからエネルギーを受けることもできるものの、コンクリートとアスファルトに覆われた人間の街となるとそれも十分ではないので、食事によって補う必要も出てくる。
そんなわけで、今日のところはガッツリと食べることにした。
ただし、一ヶ所で満足するまで食べるとまるでフードファイターのような食べ方になり目立ってしまうので、何ヶ所かに分けてという予定にしている。
で、最初のステーキレストランで、セルゲイは大人用の特大サイズを、ミハエルと子供達は普通の大人サイズの骨付きサーロインステーキを注文した。
「Oh…!」
幼い子供を連れた美麗な男性がしたその注文に、ウェイティングスタッフが思わず声を漏らす。まあ、無理もない。大人でも満足できるようにたっぷりとした食い応えがあるそれを、幼い子供が食べようというのだから。
この時点で十分に目立ってしまってはいるものの、これくらいならまあ大丈夫というのは経験から来る判断だった。
「あはは! 美味しそう♡」
運ばれてきた骨付きサーロインステーキに、安和が嬉しそうに声を上げる。
なお、カナダでは基本的にチップの習慣があり、セルゲイがウェイティングスタッフに慣れた様子で渡している。ちゃんとチップを渡すかどうかでスタッフの態度がまったく違ってしまうこともあるので、そういうことについても子供達には学んでもらおうという意図もあって、こうして積極的に出掛けていた。
「いただきま~す!」
悠里と安和は日本で生まれ育ったこともあり、意識しないと日本語が出る。この時も二人は日本語で『いただきます』と言った。
すると、他のテーブルで食事をしていた女性がハッとした様子でミハエル達を見た。
どうやら日本人のようだ。不意に日本語が聞こえて、しかもそれを発したのがプラチナブロンドの白人男性の子供らしき幼児で、加えて完全にネイティブな発音の日本語だったことで驚いてしまっていたのだった。
翌日は土曜日だったことで、恵莉花と秋生が蒼井家に遊びに来て、ビデオ通話越しに、さくらとエンディミオンが久しぶりに一緒にお風呂に入ってゆっくりと二人の時間を過ごせたという報告を受け、ミハエルがホッとしたように声を上げた。
「だよね~、私もホッとしたよ~♡」
アオも、恵莉花と秋生、椿と一緒に画面を覗き込みながら嬉しそうに言う。
「よかったね、恵莉花、秋生!」
ミハエルの隣では、悠里と安和も笑顔だった。
さくらとエンディミオンが仲良くできていたら皆が嬉しい。
なにしろ、悠里や安和と違って、エンディミオンは迷信に虐げられてきたことでまさに迷信通りの怪物と化したダンピールだったのだから。
さくらとエンディミオンの関係が改善されたことで一安心となり、ミハエル達は改めてカナダでの生活を満喫することになった。
そこで今日は、四人での食事だ。
まずは、ホテルの近くにあったステーキレストランに訪れる。
「お~! いい匂い♡」
安和はレストランの近くに来ただけでそう声を上げる。
「美味しそうだ」
悠里も笑顔になる。
ダンピールであるエンディミオンも、肉、特に血が滴るような肉が好きだったが、この辺りは吸血鬼やダンピールの、『血を欲する』習性が影響してるのだろう。
加えて、その身体能力を発揮するには膨大なエネルギーが必要になる。土が豊富にある場所でならそこからエネルギーを受けることもできるものの、コンクリートとアスファルトに覆われた人間の街となるとそれも十分ではないので、食事によって補う必要も出てくる。
そんなわけで、今日のところはガッツリと食べることにした。
ただし、一ヶ所で満足するまで食べるとまるでフードファイターのような食べ方になり目立ってしまうので、何ヶ所かに分けてという予定にしている。
で、最初のステーキレストランで、セルゲイは大人用の特大サイズを、ミハエルと子供達は普通の大人サイズの骨付きサーロインステーキを注文した。
「Oh…!」
幼い子供を連れた美麗な男性がしたその注文に、ウェイティングスタッフが思わず声を漏らす。まあ、無理もない。大人でも満足できるようにたっぷりとした食い応えがあるそれを、幼い子供が食べようというのだから。
この時点で十分に目立ってしまってはいるものの、これくらいならまあ大丈夫というのは経験から来る判断だった。
「あはは! 美味しそう♡」
運ばれてきた骨付きサーロインステーキに、安和が嬉しそうに声を上げる。
なお、カナダでは基本的にチップの習慣があり、セルゲイがウェイティングスタッフに慣れた様子で渡している。ちゃんとチップを渡すかどうかでスタッフの態度がまったく違ってしまうこともあるので、そういうことについても子供達には学んでもらおうという意図もあって、こうして積極的に出掛けていた。
「いただきま~す!」
悠里と安和は日本で生まれ育ったこともあり、意識しないと日本語が出る。この時も二人は日本語で『いただきます』と言った。
すると、他のテーブルで食事をしていた女性がハッとした様子でミハエル達を見た。
どうやら日本人のようだ。不意に日本語が聞こえて、しかもそれを発したのがプラチナブロンドの白人男性の子供らしき幼児で、加えて完全にネイティブな発音の日本語だったことで驚いてしまっていたのだった。
0
お気に入りに追加
11
あなたにおすすめの小説
お父さんの相続人
五嶋樒榴
キャラ文芸
司法書士事務所を舞台に、一つの相続から家族の絆を垣間見る摩訶不思議な物語。
人にはいつか訪れる死。
その日が来てしまった家族に、過去の悲しい出来事に終止符を打たなければならない日が来てしまった。
受け入れられない母と、そんな母を心配する娘。
そしていつも傍に寄り添う猫。
猫に対する故人の思いと、家族の美しい思い出。
猫は本当に、息子の生まれ変わりなのだろうか。
でも、この猫こそが、とんでもない猫だった。
巻き込まれ召喚された賢者は追放メンツでパーティー組んで旅をする。
彩世幻夜
ファンタジー
2019年ファンタジー小説大賞 190位!
読者の皆様、ありがとうございました!
婚約破棄され家から追放された悪役令嬢が実は優秀な槍斧使いだったり。
実力不足と勇者パーティーを追放された魔物使いだったり。
鑑定で無職判定され村を追放された村人の少年が優秀な剣士だったり。
巻き込まれ召喚され捨てられたヒカルはそんな追放メンツとひょんな事からパーティー組み、チート街道まっしぐら。まずはお約束通りざまあを目指しましょう!
※4/30(火) 本編完結。
※6/7(金) 外伝完結。
※9/1(日)番外編 完結
小説大賞参加中
アルファポリスとカクヨムってどっちが稼げるの?
無責任
エッセイ・ノンフィクション
基本的にはアルファポリスとカクヨムで執筆活動をしています。
どっちが稼げるのだろう?
いろんな方の想いがあるのかと・・・。
2021年4月からカクヨムで、2021年5月からアルファポリスで執筆を開始しました。
あくまで、僕の場合ですが、実データを元に・・・。
タロウちゃんと私達
鏡野ゆう
キャラ文芸
『空と彼女と不埒なパイロット』に登場した社一尉と姫ちゃん、そして羽佐間一尉と榎本さんがそれぞれ異動した後の某関東地方の空自基地。そこに残されたF-2戦闘機のタロウちゃん(命名は姫ちゃん)に何やら異変が起きている模様です。異動になった彼等の後を任されたパイロットと整備員達が遭遇したちょっと不思議なお話です。
『空と彼女と不埒なパイロット』に引き続き、関東方面の某基地にF-2戦闘機が配備されたという架空の設定になっています。
追放された偽物聖女は、辺境の村でひっそり暮らしている
黎
キャラ文芸
辺境の村で人々のために薬を作って暮らすリサは“聖女”と呼ばれている。その噂を聞きつけた騎士団の数人が現れ、あらゆる疾病を治療する万能の力を持つ聖女を連れて行くべく強引な手段に出ようとする中、騎士団長が割って入る──どうせ聖女のようだと称えられているに過ぎないと。ぶっきらぼうながらも親切な騎士団長に惹かれていくリサは、しかし実は数年前に“偽物聖女”と帝都を追われたクラリッサであった。
訳あり冷徹社長はただの優男でした
あさの紅茶
恋愛
独身喪女の私に、突然お姉ちゃんが子供(2歳)を押し付けてきた
いや、待て
育児放棄にも程があるでしょう
音信不通の姉
泣き出す子供
父親は誰だよ
怒り心頭の中、なしくずし的に子育てをすることになった私、橋本美咲(23歳)
これはもう、人生詰んだと思った
**********
この作品は他のサイトにも掲載しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる