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まずは私を責めなさい
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「安和のサイトに現れる人が、本気で安和のことが好きなのか、上辺しか見てないのか、ただ冷やかしてるだけなのか、それは分からない。
本音を言わせてもらえば、中学生の女の子相手にあんなコメント送ってる時点でドン引きだけど、気持ち悪いからって攻撃していいってわけじゃないんだよね。
これは、普段からビクビクオドオドしてる子について、
『ビクビクオドオドしてるのがムカつくからってイジメていいわけじゃない』
ってことにも通じるんだ。
あと、普段から不良っぽい見た目してる人も言ったりするよね。
『見た目で判断すんな!』とか、
『不良扱いすんな!』とかさ。
見た目で判断されたり不良扱いされたくないんなら、ビクビクオドオドしてるのがムカつくからってイジメるのとかおかしくない?
自分は思いっきり不良っぽい見た目してるのに不良扱いされたくないって言うんだよ?
これは、いわゆる<オタク>でもそう。
いかにも<オタク>っていう言動してて、それで、
『オタクだからってバカにするな!』
とか言いながら、その一方では、
『ビクビクオドオドしてる奴はイジメられても仕方がない』
なんて言ってたら、それこそ、
『お前だっていかにもなオタクのクセに、オタクだからってバカにするなと言ってんじゃん。オタクだってバカにされたくないんならオタクっぽいとこ直せよ』
って話になっちゃうよ。
そんな風に言われて、<不良っぽいとこ>とか<オタクっぽいとこ>とか直せんの?
直せないんでしょ?
だったら、ビクビクオドオドしてる人に、
『ビクビクオドオドしてるのを直せ!』
とか言っちゃいけないし、それを理由にイジメられても仕方ないなんて理屈を認めちゃいけないよね?
安和や悠里は、人間なんかより圧倒的に強い存在だ。その安和や悠里が、
『人間はムカつくから痛めつけてもいい』
とか言ってたら、私は二人の母親として、二人をこの世界に送り出した者として、そんなこと認めるわけにはいかない。そう思いたくなる気持ちそのものは否定しないけど、実行することは認められない。
もし人間が許せないと思うのなら、まずは私を責めなさい。二人をこの世界に送り出した張本人で<人間>の私を」
「……」
「……」
ビデオ通話の画面の向こうから真っ直ぐに見詰めながら諭す母親に、安和も悠里もいつしか背筋を伸ばして耳を傾けていた。
そしてミハエルは、そんな三人の姿を、目を細めて見ている。
彼にとってもここまで素晴らしい家庭を築けたのは想定以上だった。
ミハエルとて、自分が吸血鬼に生まれたことを恨んだ時期もあった。吸血鬼を研究材料のように見て研究していた父親に複雑な感情を抱いたこともあった。
けれど、今はそのすべてが報われたような気がしていたのだった。
本音を言わせてもらえば、中学生の女の子相手にあんなコメント送ってる時点でドン引きだけど、気持ち悪いからって攻撃していいってわけじゃないんだよね。
これは、普段からビクビクオドオドしてる子について、
『ビクビクオドオドしてるのがムカつくからってイジメていいわけじゃない』
ってことにも通じるんだ。
あと、普段から不良っぽい見た目してる人も言ったりするよね。
『見た目で判断すんな!』とか、
『不良扱いすんな!』とかさ。
見た目で判断されたり不良扱いされたくないんなら、ビクビクオドオドしてるのがムカつくからってイジメるのとかおかしくない?
自分は思いっきり不良っぽい見た目してるのに不良扱いされたくないって言うんだよ?
これは、いわゆる<オタク>でもそう。
いかにも<オタク>っていう言動してて、それで、
『オタクだからってバカにするな!』
とか言いながら、その一方では、
『ビクビクオドオドしてる奴はイジメられても仕方がない』
なんて言ってたら、それこそ、
『お前だっていかにもなオタクのクセに、オタクだからってバカにするなと言ってんじゃん。オタクだってバカにされたくないんならオタクっぽいとこ直せよ』
って話になっちゃうよ。
そんな風に言われて、<不良っぽいとこ>とか<オタクっぽいとこ>とか直せんの?
直せないんでしょ?
だったら、ビクビクオドオドしてる人に、
『ビクビクオドオドしてるのを直せ!』
とか言っちゃいけないし、それを理由にイジメられても仕方ないなんて理屈を認めちゃいけないよね?
安和や悠里は、人間なんかより圧倒的に強い存在だ。その安和や悠里が、
『人間はムカつくから痛めつけてもいい』
とか言ってたら、私は二人の母親として、二人をこの世界に送り出した者として、そんなこと認めるわけにはいかない。そう思いたくなる気持ちそのものは否定しないけど、実行することは認められない。
もし人間が許せないと思うのなら、まずは私を責めなさい。二人をこの世界に送り出した張本人で<人間>の私を」
「……」
「……」
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そしてミハエルは、そんな三人の姿を、目を細めて見ている。
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けれど、今はそのすべてが報われたような気がしていたのだった。
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